ルナ④
「そうだよ。えっと…カイル王子様。あんたは俺ら、トランス王国に滅ぼされた、エポス国の王子様なんだよ。」
「っ!そんなのに、だまされるもんか!俺はっ、ボブじいちゃんの孫だ!」
「でもねぇー、王子様。ウェッジが言っていたんだけれど、このネックレスはエポス国の紋章なんだってさ。裏にはおまえの名前が書かれているし、髪や目の色だってぜんぜん似てないじゃあないか。」
ネックレスを見せながらベンが言った。
「それはじいちゃんがくれたお守り!……目や髪の色?俺はじいちゃんと同じ青い目と茶色の髪……」
カイルの声はそこで止まった。
木のうろの中に集めたカイルの宝物の一つである鏡に映っている自分を見て絶句した。
そこには、金髪でエメラルドグリーンの目をしたカイルが映っていた。
「これ…何?……本当に…じいちゃんの孫じゃあないんだ…俺……」
「そう言う事さ。そして俺達はおまえを殺さないといけないんだ。そうしないといつか復讐されるのではないかと王様がおっしゃっていたからな。」
そして、再びカイルに剣が降ろされる。
カイルの目にはいつもの輝きが消えていた。
数分後、あんなに良かった天気は雨に変わっていた。
そして、草の上には赤黒い液体が大量に広がっり、木のふもとにはウェッジとベンの遺体が残っていた。
血まみれになったボブは、雨で血をある程度洗い流し、ボーッとしているカイルを抱きかかえ、家に帰った。
家に帰るとカイルを風呂に入れ、服を着替えさせ、傷口に薬を縫ってやった。
薬を塗るときいつもしみる!と泣き叫ぶカイルが、今日は静かだった。
薬を塗り終わると、カイルはベッドに入り込んだ。
「はぁー。全く、どうすればいいのじゃろうか…」
ボブは頭を抱え悩んでいた。
あれから三日が過ぎた。
「カイルは一体どうしたのじゃ?」
この三日間、カイルは飲まず食わずで眠り続けた。
どんなに大きな声で呼んでも、体を揺さぶっても全く反応はなかった。
しばらく頭を抱えていたボブは思いついたように呟いた。
「そうじゃ。ジーニァばあさんの所に行こう。ジーニアならどうにかしてくれるじゃろう。」
ジーニアとは、この山の更に奥の方に住む魔法使いで、前にカイルの封印をしてくれた人だった。
ボブは素早く用意をすませると早足でジーニアの家に向かった。
ありがとうございます。




