ルナ②
「じいちゃーん!森に言ってくるねぇー!」
「おー。気を付けていくのじゃよー。あー、それと昼までには帰ってくるのじゃぞー。わかったかー、カイルー。」
「うん!じゃあ、行ってきまーす!」
朝日の中、手を振って森の方に走って行くカイルに、ボブは手を振りながら答えた。
「もうあれから、11年も経ったのか。」
嵐の夜にカイルが来てから11年の月日が流れていた。
その間も、トランス兵らしき者達が、例の男と少女とカイルの行方を探っていた。幸いカイルは髪と目の色を変えていたのでばれることなく、すくすくと育っていた。
男と少女が捕まったと言う噂もなかった。
カイルの後姿を見ながらボブは呟いた。
「本当にやんちゃに育ってしもうたのー。」
* * *
草を掻き分けカイルは森を奥へ奥へと進んでいった。
「よーし!今日こそウサギを捕まえて、じいちゃんにあげるんだ!」
そばに落ちていた木の枝を拾い、カイルはウサギを探し始めた。
ガサッ!
目の前を白いウサギが飛び出した。
「よし!」
カイルはウサギを追いかけ、森を更に奥へと進んでいった。
カイルが向かった森の奥。
三十代くらいの男が二人、歩いていた。少し太りぎみの男の方はめんどくさそうに歩いている。二人が身に着けている鎧にはトランス国の紋章がはいっていた。
「おい!こんな所に本当に居るのかよー?」
「わからねぇが、オリバーって奴が11年前ここを通った事は確かだ。」
「でもよー。こんな山の中だぜ?人が住んでいるわけねぇだろー。」
「しっ!静かにしろ、ベン!」
「何だよ?」
急に行動を制するように自分の胸元に延ばされた手を煩わしげに見ながら、太りぎみな男、ベンは少し不満げに聞いた。
「見てみろよ。」
「何か居るのか?……あっ、あれは!」
覗け、と言わんばかりに顎を動かして指し示す先、ベンが木々の間からそっと覗くと、ウサギを捕まえて喜んでいるカイルの姿があった。
「でもよー、あのガキは金髪でもねぇーぞ。ウェッジ。」
「だが、こんな山奥に住むなんておかしいぜ。とりあえず、捕まえるか。」
「おうっ!」
ガサッ。ガサッ。
突然現れた二人の男に驚いたカイルはその場を動く事が出来なかった。
そしてあっという間にカイルはウェッジとベンに捕まえられた。
「おまえ、なんて言う名前だ?」
「………」
カイルはおびえて声が出なかった。
「おいっ、ウェッジ。こいつ女の子じゃあねぇのか?」
こそっとベンか聞いた。
「女の子?うーん、確かに女の子にも見えるが、こんな山奥まで女の子が一人でこないだろう。まー、本人に聞くのが一番だろう。と言う事でおまえは男の子か?それとも女の子か?」
カイルのほうに向き直し、ウェッジは聞いた……いや、聞こうとした。
が、そこにはもうカイルの姿はなかった。残っていたのは服の切れ端だけ。
二人が話している間に逃げ出したのだ。
「くっそー!あのガキめー!」
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