ルナ①
「カイルの額のあざに傷がついているでしょう。」
そう話しながらルナは俺の前髪を少し上げた。
「えっ?……本当だ。」
目の前でフワフワ飛びながらファーは俺の額を見つめている。
ルナが手を離すと、ファーも離れてリーと同じくベッドの枠に腰を掛けた。
「それのせいで、封印が解けちゃったのよ。」
「封印って?何のために?まさか、髪と目の色を変えるためだけって事はないだろう?」
ルナの言葉にクロックが問いを投げかける。
「そのまさかよ。それにその封印をしたのは私よ。」
「えっーーーー!」
皆、一斉に驚きの声をあげた。
「うっ、嘘だろ?」
思わず額を抑えながら俺はルナを見つめる。
「失礼ね!本当よ。」
「まさか、村で言ってたすごい魔法って……これの事か?」
「そうよ。」
「でも、ちょっと待ってよ。それじゃあ一つ変な事が起こるわよ。」
「ファーが言いたいのは赤ん坊のカイルに誰が封印をしたのかって事でしょう?」
「うん。まさかルナだって赤ん坊から魔法を使えるわけないもん。」
「最初に封印をしたのは私のおばあちゃん。って言っても血は繋がっていないけどね。」
「えっ?おばあちゃんって?それに最初って言ったよね?一体どうなっているの?カイルと一緒に育てられたんじゃあないの?もう頭がぐちゃぐちゃになってきちゃった!」
「もう、ファーのあわてん坊さん。…ところでカイル。私がいつボブおじいちゃんの家に来たか覚えている?」
ファーがルナの周りを飛び回り、矢継ぎ早に質問を投げかけるのをルナが小さく笑いながら宥めた。
そしてファーを手のひらに乗せてから、今度は俺へと向き質問をした。
「……いや。覚えていない。って言うより小さい頃から一緒だと思っていた…小さい頃?あれ?そーいや、俺、11歳より前の記憶がなかったんだっけ。」
「えーーーーーっ!」
皆、一斉に驚きの声を再びあげた。
「俺、何か変な事言ったか?」
「君はそんな事も気づかなかったのか?」
信じられないものを見るかの様なクロックの視線に顔を顰め、
「いや。気づいていたさ。」
「えっ?」
「気づいていたけど、別にいっかー、って思っていた。普通こんな事って深く考えても無駄だと思わねぇか?」
「君って奴は……」
クロックはなんだか落胆した様子だった。
「なあー、ルナ。俺の記憶と、この封印って何か関係あるのか?」
「ええ。最初の封印が、今回みたいに額を怪我して、封印が解けた事があったのよ。」
ありがとうございます。




