カイル①
「カイル。目が覚めたの?」
ルナが静かに部屋に入ってきた。
「……おい、ルナ。これはどういう事だ?」
「………何のこと?」
そう言いながらルナは水の入った桶を机の上に置いた。
いつものポーッとした感じがない。何かを必死で隠している。
「この目と髪のことだよ。」
「なっ、なんで私に聞くのよ。そんなこと。」
「だってさ、今さっきから俺と目を合わせないじゃあないか。ルナが嘘をつくときはいつもそうだ。」
……………
しばらくの間、沈黙が続いた。
バン!
「カイル!大丈夫!」
ドアを勢いよく開けサンディー達が入ってきた。シルフィーも一緒だった。
「カイルさん。ごめんなさい。私のせいでそんな……」
「シルフィーを守ることが俺の仕事だ。謝ることはないよ。」
「僕の作った薬を塗ったからすぐに良くなるよ。だから安心して、シルフィー様。あっ、それと、カイル。皮袋にまたウィル・オー・ウィプスをいれておいたからね。」
「もう!いくらシルフィーを守るためって言ってもあまりむちゃをしないでね!それと!ちゃんとリーにもお礼を言わないと駄目だからね!」
そんな憎まれ口をたたくファーの目は赤く腫れていた。
しばらくの間みんな、俺が意識不明だった時の事を話してくれた。
あれからもう四日もたったらしい。森の中で俺が放ったウィル・オー・ウィプスの光を見て、リーがシルフとドリヤードの力を借り、俺達の所まで案内したらしい。
俺達を襲った男達は、リー達が来たのを見て逃走。俺は重体。泣き続けるシルフィーを連れて、どうにか宿に帰り着いた。俺はリーの処置がよくどうにか助かった、という事だ。
みんなでわいわいと騒いでいた雰囲気がクロックの一言で静かになった。
「でも、カイルが僕と同じ、金髪でエメラルドグリーンの目をしていたのには驚いたなー。」
…………
一斉に皆、黙り込んだ。
「そうだな。一体何でなんだろうな。ルナ。」
今さっき皆でわいわい騒いでいた時もルナは一人、青ざめた顔で黙り込んでいた。
皆がルナの方を向く。ルナはしばらく黙っていたが諦めたように、ふっと笑った。とても悲しそうな顔で。
「そうね。ボブおじいちゃんと約束をしていたけど、こうなったらもう話すしかないわね。」
そう言うと少し待ってて、と言い部屋を出た。
再び部屋に戻って来たルナの手には古ぼけた小さな木箱があった。
「それは?」
「これはカイルの本当の両親の形見よ。」
「俺の本当の両親?」
ルナは頷くと、箱を開けた。
箱の中にはドラゴンが翼を広げたネックレスが入っていた。
そして裏には “我が息子、カイルへ ”という文字が刻まれていた。
「それは……」
サンディーが驚いた声で言った。
「これはエポス国の紋章。サンディーも持っているでしょ。」
「なんだって?サンディーも……だと?」
「なんで……知っているの…?」
サンディーとシルフィーの顔に驚きの色が見えた。
「実はね、サンディーと一緒にお風呂に入った時に見えちゃったの。あなたは隠そうとしてたみたいだけど。」
「でも、何でルナが知っているの?」
「もう。ファーのあわてん坊。それは今から話すのよ。この話、ボブおじいちゃんに聞いたのよ。おじいちゃんが死ぬ二、三日前にね。」
ありがとうございます。




