お前は誰だ?②
「あらっ。カイルさん?」
近くの森でサンディーの怒りが消えるのを待っていた俺に、リンとした声が話し掛けてきた。
「シルフィー。」
淡い月の光の中、シルフィーが立っていた。
「何でこんな所にいるんだ?しかも一人で。危ないだろ。」
はかない月の光のような微笑みをして言った。
「月があまりにも綺麗なので散歩をしようと思いまして、供の者達には内緒でこっそりと出てきましたの。だって、皆さんがおられますとうるさくなって森の動物の皆様に悪いですもの。カイルさん、私もそこに座ってもよろしいですか?」
「ああ、どうぞ。」
俺はマントをはずし、シルフィーがその上に座れるようにした。
「ありがとう。」
微笑みながらシルフィーは座った。
しばらく俺とシルフィーは月の光が夜露に反射している美しい森を眺めていた。
そして思いついたようにシルフィーが聞いてきた。
「ねぇ、カイルさん。なぜいつも額にバンダナを巻いていらっしゃるのですか?」
そう、俺は額に赤いバンダナを巻いている。寝るときも、風呂に入るときも、いつもだ。
「実は小さい頃に怪我をしたらしくその傷跡を隠すためなんだ。結構、大きな……っ!」
キラッ。
森の中で何かが光った。
「危ない!」
俺はシルフィーを抱きかかえ横に飛びのいた。
ズキューン!
次の瞬間、シルフィーの頭があったあたりの木の幹に穴があいていた。
くそっ!武器を持ってねぇのに!
ガサガサっと茂みから五人ほど男たちが現れた。
「その女をシルフィーと見うける。シルフィー!覚悟しろ!」
リーダーらしい男がそう言うと、男たちが一斉に襲い掛かってきた。
「シルフィー、木の陰に隠れろ!おまえら!シルフィーには一切、手をださせねぇぞ!」
「ふっ。武器もないのにどう戦うんだ?お嬢ちゃん。」
「剣や銃だけが武器だと思うなよ!…それから俺は男だ!シルフィー!目をつぶれ!」
俺は腰に釣っていた小さな皮袋の紐を解いた。
カッ!
「うわーーーーーっ!」
辺りが真っ白になり男達の目を眩ませた。
実は、念のためにリーに頼んで光の精霊、ウィル・オー・ウィプスをいつも皮袋にひそましているんだ。
「シルフィー!今のうちだ。」
俺はシルフィーの手を取り逃げ出した。
ヒュ!
俺の横を矢がかすめ飛んだ。どうやら男の一人が闇雲に放ったみたいだ。
「おい!止めるんだ!仲間に当たったらどうする!ここは俺に任せろ!おいっ、おめぇ達そこを動くんじゃあねえぞ!」
リーダーらしき男がそう言って何かを投げた。
ありがとうございます。




