お前は誰だ?①
「ねぇ、カイル。クロックの事、どう思う?」
「どうって?…あの話を聞いてか?」
少し記憶の混乱を起こしていたが、目を覚ましたクロックから彼の話を聞いた。
クロックは俺と同じ十六歳。生まれは不明。捨て子だったのをクミナ村と言う村の村長に拾われ、育てられた。音楽が好きで小さい頃から、竪琴を習わせてもらったらしい。
そして一ヶ月ほど前、村長に別れを告げ戯遊詩人になるため旅に出た。この町に二日前に着いて、早々に財布を盗まれ行き倒れになっていた所に、俺達が現れた、ということだ。
「まー、なんて言うか、運のない奴だなー。サンディーもそう思わないか?」
「ちがーう!あの金髪!エメラルドグリーンの目!あれは正しく弟君様よ!」
「そう言えばそうだったな。」
あの金髪やエメラルドグリーンの目は。
「何か証拠になるような物は持ってないのか?」
「うーん……シルフィー様は王様からネックレスを頂いていらっしゃったけど弟君様はどうか……」
「そうか…仕方ない。しばらく様子を見よう。」
* * *
「なあ。カイルって言ったっけ?」
明日この町を出発するってことで、荷物をまとめていた俺にクロックが話し掛けてきた。
「ああ。このくそ忙しい時に何の用だ?」
「サンディーさんとはどういう関係なんだ?」
「はあっ?」
「はあっ?っじゃあなくて、こっ、恋人なのか?」
顔を真っ赤にして言うクロックを見て俺は気がついた。
「おまえ、サンディーが好きなのか?」
ニヤリと笑い、尋ねるとクロックの顔がますます赤くなった。
「ならどうなのですか!」
「サンディーはやめた方がいいぞ。あいつ人使い荒いし、力もかなりあるからなー。あんな凶暴女と付き合ったら、死ぬぞ。おまえは。」
笑いながらそう告げると、クロックのあんなに真っ赤だった顔が、みるみるうちに真っ青になっていた。
「ん?どうした?俺の話を聞いて怖くなったのか?」
「だ〜れ〜が、凶暴女、ですって!」
「うわーーーっ!」
俺の体は無意識に走り出していた。
そして今まで俺が立っていた所には銃によって打ち抜かれた、憐れな床があった。あと一歩遅かったら、俺も床と同じ運命になっていただろう。
「ごめんなさーーい!」
俺はそのまま部屋を出て、外に飛び出した。
「今度あんなこと言ったら、体に穴があくわよ!」
遥か後ろの方でサンディーが恐ろしいことを言っていた。
ありがとうございます。




