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麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
第三章 ちゃんと私を見て下さいよ先輩!
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推し事

 これは……。

 作ったのはいいけどどうやって動かしたらいいんだろう……。


 私は花火が弾けるような音を立てているその盾を見て困惑した。

 何しろ持ち手が無いのだ。


 イメージで動かせないかな……黄玉はそれで動かせられたんだよな。

 私は盾に手をかざして右に移動するようにイメージした。


 すると盾が一瞬で、光の尾を引き右に動いた。

 速っ……! 


「そういえば個体になったのかな……」


 盾のスピードに自分でも驚かされつつ、盾が個体になっているかどうか軽く叩いて確かめる。


 手が盾に当たるとコンコンと高い音を立て、その堅さを物語る。

 個体になってる……! 


 もしかして八重染琥珀は結構すごい物質なんじゃ……。

 これならあの化物にも通用する! 


 私がそう確信した時。


「バァァァァァァァァァァァァ!!!」

「うわっ!」


 化物が私の目の前まで迫り、腕を振り下ろそうとしていた。

 私は慌てて盾を自分の体の前に持ってくる。


 化物の凶悪な爪を、私の輝く盾が受け止めた。

 ガキン! と甲高い金属音が鳴り響く。


「グァァァ……!?」

「防いで……る……?」


 化物の爪を正面から受け止めても盾はまるで動じない。

 この盾……固い! 


「そらあっ!」

「バァァァッ!?」


 私は盾を前に突き出し、光を引き連れながら化物の爪を弾き返す。

 その余波が風になって私に来た。


「ぶわっ!」


 この盾は防御だけじゃない……。

 力もあるみたいだ。


 どうやら八重染琥珀の集合体であるこの盾は盾自体の硬度に加え、八重染琥珀の推進を使ってこの威力とスピードを出しているらしい。


 いける……! この盾なら絶対……!


「食らえ!」

「ガぃぃぃ!?」


 煌めく盾で化物の腹を殴りつける。

 盾の圧倒的高度と速度に化物の巨体が揺らぐ。


 化物は負けじと私に爪を振るうが、また盾が瞬時にそれを防いだ。

 すごい……この盾本当にすごいぞ……! 


 峠ですら勝てなかった化物相手に、戦えている。

 自分の身を、守れてる……! 


「はあっ!」

「ギィィィィィィィィィィィィ――ッ!!!」


 私は盾で化物の爪を押し返しながら、盾の強さに感動した。 

 そして私はこう考える。


 この力が使えるのは、推しが力を貸してくれたのと、皆が私を鍛えてくれたおかげだと。 

 皆に感謝しないとね……!


 名前を付けるなら――推し事の盾! 

 ……うん、私のネーミングセンスはどうかしている。


 でもそれがいい。

 私はオタクなのだから。


 想う力が強いから、オタクになるんだよ!

 それこそがオタクの、私の強さだ!


 オタク魂舐めるなよ、化物! 


「“推し事の盾”」

「グィィィ!!」


 化物の攻撃を、推し事の盾が受け止める。

 推し事の盾は揺るがない。化物の力に耐えきっていた。


 その時までは。

 不意に、推し事の盾に爪を立てていた化物が腕をうねらせる。


 峠の氷の槍を破った、あの虫のような動きだった。


「シィィィィィィ……!」

「なっ!?」


 推し事の盾に、みるみる亀裂が入っていく。

 嘘でしょ……!? 


 これでも、オタク魂でも奴には勝てないのか……? 


 ――いや、そんな事は無いはずだ。


 もう一度八重染琥珀を注げば固められないかな? 

 私は推し事の盾に、固めるイメージでさらに八重染琥珀を掛けた。


 すると、推し事の盾の亀裂はすぐに塞がり元通りになった。


「なんだ……大丈夫じゃん……」

「グギィィィ……!!」


 化物が憎々しげに低く唸る。

 お前と私じゃ、背負ってるモノが違うんだよ……! 


 だから防げる。

 だから守れる。


 だから――勝てる! 


「おらあっ!!!」

「グェェェェェェェェェェっ!!!」


 推し事の盾が、化物の体を吹き飛ばす。

 これで――最後だ。


 私は推し事の盾を地面と水平になるように向きを変える。

 そして角を化物に向けて――。


 ――解き放った。


 個体となり、凝縮していたエネルギーが元の形に変換され、莫大な力を発揮する。


 推し事の盾は三日月型に形を変え、太陽よりも眩しい輝きを放ちながら化物に飛翔した。


 凄まじい轟音と暴力的な光が周囲を走り抜ける。


「はああああああああああああっ!!!」

「ギぃぃぃぃぃぃぃぃっ――がああああああああああ!!!」


「……っ!?」


 自分で撃ったとは到底思えない威力だ。

 これは今みたいによっぽど追い詰められた時じゃないと使えないな。


 現に化物が居た辺りが全部焦土になっている。

 生き物が居た形跡が欠片も残っていない。


 ……気を付けないとな。

 もう、使う事は無いと思いたい。


 化物、元熊は死んだのかな……。

 向こうは殺しに来てるし正当防衛にはなるだろうけど……。


 でもとりあえず凍牙は助けられた。

 意識はまだ戻ってないけど、息は安定しているし大丈夫みたいだ。


 私は少し安心した。


「で、あいつは……」


 私はおそるおそる化物が立っていた場所に近寄る。

 するとそこには……。


 血や体液などが混ざったような、謎の液体が落ちていた。

 








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