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麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
第三章 ちゃんと私を見て下さいよ先輩!
72/213

海でーとその1

「すごい……この島が全部麗紗の物なのか……」

「いえ、私は琥珀先輩のモノなので必然的にこの島も琥珀先輩のモノですよ!」


「到着していきなり何言ってるの?」


 私が島の大きさに驚いていると麗紗がそんな訳の分からない事を言ってくる。

 脳みそ全部私で構成されてそうで怖い……。


 私達は今、麗紗が持っているヘリで元こはく島に来ていた。


 元こはく島は私の想像よりもずっと大きく、うちの高校の敷地よりも広いかもしれない。

 目の前には透き通った水色の海が一面に広がっており、足元を見れば砂浜が白く光り輝いている。


 爽やかな潮風に、浜辺の松林がそよいでいる。

 そんな松林の中に自然を感じる木造の立派な別荘が佇んでいた。


 来てすぐなのにも関わらず、私はもうここに強く魅力を感じていた。


「ふーっ、ちょっと喉乾いたな。水飲むかぁ……ぶぇ! しょっぱ!」

「当たり前じゃないですか耕一郎さん! 何海水飲んでるんです!? しかも海水では水分補給になりませんよ!?」


「おい! せっかく景色に感動してたのにあんたらのせいで台無しじゃん!」

「あなた達……次ムード壊したら……分かってるわよね?」


「すみませんでしたぁ!」

「何で僕まで!?」


 いきなり海水を飲む耕一郎。

 ……こんな奴に能力の使い方教わった私って何なんだろう。


 まあでも今の麗紗の脅……説教で大人しくしてくれるはず。

 巻き込まれた凍牙は可哀想だけどね。


「ねえ……みんな……ハァハァ……はやく荷物置いて着替えて泳ぐわよ! ぼーっとしてる場合じゃないのよ!? 行くわよ!」


「ええ……もうちょっと潮風を堪能させてよ千歳……何でそんなに掛かり気味なの……」

「どうせ千歳は私たちの水着姿を見たいんですよ。このヘンタイ」


「確かにそうだけど麗紗ったら酷いわ! あと変態に変態って言ったら逆に興奮するから言ったら駄目よ! ハァハァ……」


「……最近千歳暴走してない大丈夫? 性癖に刺さるイラストでも見たの?」

「これは元からよ! そんな事よりもはやく行くの!」


「元からかぁ……」

「さすがは特色者って感じですね琥珀先輩。私もですけど……」


 変態と化した千歳に引く私達。

 でもその圧に押されて私達は早々と水着に着替える事になった。


 まあ潮風を味わうのは着替えてからでもいいか。

 私達は荷物を持って別荘に入った。


「おじゃましま~す」

「ここに来るのも久し振りね」


「前に来たのはいつでしたっけ……去年の夏くらいですかね」

「そういや俺前も海水飲んでたような……」


「よし、早く着替えるわよ」

「どんだけ見たいんだよ……ていうか水着屋さんで見たでしょ? もういいじゃん……」


「違うわ! それは断じて違うわ!! 大間違いよ!!!」

「うわなんかめっちゃ否定してきた……」


 私の冷静なツッコミを千歳はどこぞの弁護士のような勢いで否定してくる。

 そして早口でこうまくし立てる。


「服は店で着るのと外で着るのとでは見え方が全然違ってくるのよ! 水着も同じよ! 海で着れば魅力は倍増! 服っていうものは着る場所がすごく大事なのよ! 琥珀ちゃん、あなたもし人通りの多い道の真ん中でふんどし一丁の力士が居たらどう思う!?」


「へ、変だと思う……」

「そうでしょう!? 力士のあの格好は土俵でこそ輝くもの! 場所って大事よ!」


 力士のあの格好って輝いてるのか? 伝統衣装でしょあれは……アイドルの衣装とは違うんだぞ。

 土俵では力士が磨き上げて来た強さの方に目が行くと思うんだけど。


 例えが若干おかしいような気が……。

 いや、相手は千歳だ。気にしてたら日が暮れる。


 私達は千歳の言う通りとっとと水着に着替える事にした。

 部屋に入って荷物を下ろして服を脱ぎ、ビキニをバッグから取り出して身に着ける。


 水着特有のパツパツとした感覚を味わう。


「どうも慣れないなこの感じ……ってあれ千歳?」

「ん? あら! すごく似合ってるじゃない!」


 私や麗紗が水着を着終わっている中で、千歳だけ普段の白衣のままだった。

 この子まさか……。


「いやそうじゃなくて……千歳、あなたはあれだけ私達に勧めて来たクセに自分は水着着ないの?」

「え……でも私……胸ないし……」


 千歳はそう言って恥ずかしそうに腕をクロスさせて胸を隠すようなポーズをとった。

 ふざけんな! 何が胸ないからだ! 


 そんなの私だってそこまで自慢できる程の大きさじゃないし麗紗に至ってはひ……。

 ……ここは触れなくていいとして、そこまで差は無いはず! 


「麗紗!」

「はーい!」


「千歳に水着着せて」

「分かりましたっ♪ しゅばっ!」


「え? いや、私は着な……きゃああああああ!!!」

「自分だけ安全地帯に居ようだなんて許さないよ?」


 私の言葉通り恋色紗織を使って一瞬のうちに千歳を水着姿にする麗紗。

 うん、いい子だ。


 そして私は涙目で叫ぶ千歳に向け圧を込めてそう言った。

 千歳はその場にヘタリと座り込み、目から涙をツーっと流す。


 因果応報とはこの事だ。

 相当きてるなこりゃ……トドメを刺そう。


 私は近くにあった全身鏡を千歳の目の前に持ってきて耳元で囁いた。


「……千歳、水着よく似合ってるよ」

「あああああああああああああ!!!」


 その全身鏡には、水色のフリル水着を着せられたかわいい千歳が発狂している姿が映っていた。


 何であんだけ押し付けてきた割に自分で水着着るのは恥ずかしいんだよ! 


「うぅ……私付いてるのに……」

「……そういえばそうだったね。すっかり忘れてたよ……」


 ぽつりとそう呟き両手で顔を抑えて蹲る千歳。

 ちょっとやりすぎたかもしれない。


「ほら千歳、はやく行くんでしょ~」

「やだ……ここに残る……永遠に引き籠っていたい……」


「あ~あ、千歳が泣いちゃった~。琥珀先輩のせいですよ全く……」

「うん……ごめんやりすぎた……」


 私と麗紗は千歳を強引に海まで引きずる事になった。

 そうして約一名が心に傷を負いつつも、私達の海水浴が始まった! 










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