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麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
第一章 ここから私達の全てが始まったんですよね先輩!
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見つけた……

昨日投稿時間を書き忘れてしまい申し訳ありません。

毎日夜8時に投稿致しますのでどうぞよろしくお願いします!

 厨二病襲撃事件のその翌日。

 私はアイツみたいな奴に遭う事もなく無事学校に着いた。


 そしてまたぼんやりと午前の授業を受け、昼休みの時間になった。


 退屈なのも嫌だけど昨日みたいに非日常がどんどん舞い込んでくるのもそれはそれで嫌だな。


 世界のどこに朝は熊に襲われて夕方には不良に殴られる女子高生が居るんだろう。


「ねえ琥珀ーー? パン買いに行こうよ~」

「あっごめんぼーっとしてた。行く行く~」


 私は優紀に声を掛けられて我に返り、財布を取って優紀と一緒に購買に行く。


「ほんと今日大丈夫琥珀? 授業中もめっちゃぼーっとしてたじゃん」


「うん……日本史の小テストで明智光秀が分からなかったのは流石に自分でもヤバいと思ったよ……」

「よかった自覚あったよこの子……」


 優紀が哀れみと安堵のこもった目で私を見てくる。


 そう、今日の授業は漢野と戦った時の怪我と疲れで全く集中出来ず、安土桃山時代の小テストで明智光秀が答えの問題が出たのだけれどなんと私はそこを空欄にした。


 小テストの答え合わせで答案を交換した優紀はそれを見て噴き出した。このやろう。


「まあ元気出しなよ……今日は奢るからさ」

「優紀……ありがとう!」

「ちょっと~分かったからそんなに引っ付かないでよ~」


 私は優紀に思いっきりハグをした。優紀は笑いながら私を引っぺがそうとする。

 そんな風に私達がイチャついていると。


「……あ! 居た! 琥珀先輩~!」

「君は……!」


 昨日の一年生が声を掛けてきた。

 うん……同じ学校な訳だしそりゃ会うよね。それでヒーロー面とか私は何考えてんだ。


 ていうか何で私の名前知ってるんだろうこの子。

 あ……もしかしてお礼を言う為に私を頑張って探したのか。うわあ……申し訳ない事をしてしまった……。


 私がそう自分の過ちを全力で後悔していると、一年生がそんな私を不思議そうに見ている。


 おっと、悔やんでいる場合じゃない。何とか先輩としての面子を保たなければ。


「あれこの子……琥珀の後輩なの?」

「先日色々と助けて頂いたんです。それでお礼を言いたくて……」

「なるほど……」


「また会ったね。あの後大丈夫だった? また絡まれたり喧嘩に巻き込まれたりしてない?」

「は、はい! 琥珀先輩のおかげで私は大丈夫ですよ! おっと、そう言えば名前を言っていませんでしたね。私は桜月麗紗と申します」


「麗紗かあ……おしゃれな名前だね」

「そ、そうですか? ありがとうございますっ!」


 一年生改め麗紗ちゃんは嬉しそうに笑った。桜月ってあの桜月財閥のかな……いやでもそんなお嬢様がこんな学校に居る訳無いか。


「今から購買に行くんですか?」

「そうだよ~」

「それなら一緒に行きましょう! お友達の方もご一緒に!」

「ま、まあ私はいいけど……」


 私は優紀の方を見る。優紀からしたら結構急展開だからなあ……今も不思議そうな顔してるし。


「あ~私はごめん。今日園芸部の用事があるの忘れてた」

「そっか~。ならしょうがないか……行ってらっしゃい~」

「うん」


「そうですか……残念です。ふふふっ、では行きましょうか琥珀先輩」

「ああ」


 優紀は園芸部の部室へと向かっていった。もしかしたら気を使ってくれたのかもしれないけど。だとしたらちょっと申し訳ないな……。


 それにしてもこの子はなんというか積極的だな。最初は大人しそうだと思ったけど意外と明るい子なのかもしれない。


 そうして私は麗紗ちゃんに連れられるまま購買に向かうのだった。

 狙っていたパンを無事手に入れた私達は結局昼ご飯も一緒に食べる事になった。


 学校の中庭に行って適当に空いた席を見繕って座る。中庭はあんまり使った事が無かったからなんか新鮮だな。


「いただきま~す……もぐもぐ」

 麗紗ちゃんがいちごチョコの菓子パンをちびちびと食べ始める。可愛い食べ方だ。見た目可愛い子は行動まで可愛いな。


 私もいちごチョコの菓子パンを頬張る。

 うん、美味しい。

 普通のいちごとはまたちょっと違った甘さがいい。


 いちごパンは購買でもかなり人気のパンだ。

 買えたのはラッキーだったな。


「あの~、琥珀先輩ってどこか部活入ってるんですか?」

「帰宅部だよ。気楽だし。麗紗ちゃんは?」

「私は吹奏楽部に入っています。楽器を弾くのが楽しいので……」


「あっ確かに麗紗ちゃん楽器弾けそう~お淑やかな感じするし」

「えへへ……お淑やかだなんてそんな……ちなみに私はトランペット奏者です」


「そうなんだ……確かに似合いそうだね」

「そうですか!? ありがとうございます」


 そんな風に話をしつつも私は別の事が気になっていた。


 私、ちゃんと先輩らしく振舞えているんだろうかと。


 中学から今までずっと帰宅部だったから後輩が出来た事なんて一度も無かった。だからどう接したらいいのかさっぱり分からない!


 とりあえず、優しくしておけば大丈夫だよね? ね?


 私がそう考えを纏めていると突然麗紗ちゃんが何かを思い出したように手をぽんと叩きポケットから二枚の紙のようなものを取り出した。


「どうしたの?」

「今先輩と話してたら思い出したんです。実は私映画のチケットを二枚友達から要らないって渡されたんですよ……良かったら一緒に行きませんか?」


「お? いいの? タイトルは?」

「これです」

 麗紗ちゃんが私にそのチケットを見せてくれる。それには“ホワイトリリィ”と書かれていた。


 確か結構名作って言われてたような気がする。一回観てみたいんだよな。


「“ホワイトリリィ”か……観てみたいけど友達はいいの?」

「皆興味が無いって言ってたので全然大丈夫です!」

「わかった、それなら行くね」


「やったー! 嬉しいです……! きゃああああああああ~!!!」


 私の返事に麗紗ちゃんは飛び跳ねて喜んだ。本当に人懐っこい子なんだろうな……この子。

 反応がもはや主人公へのアタックに成功した少女漫画の主人公だよ……。


「あっそうだ、連絡先交換しませんか先輩?」

「ああいいよ。ID教えてくれたらやっとくよ」

「いえいえそんな! 私がID入れますよ! 先輩が教えてください」


「いいの? じゃあ教えるね」

 携帯を取り出して麗紗ちゃんにIDを教える。麗紗ちゃんは教えてすぐに私の携帯のIDを入れた。


「待ち合わせ場所とかはこれで決めましょう」

「分かった。後で連絡するね」

「はい! うふふ……」

 そうして話が纏まった所で予鈴が鳴った。


「おっと、戻らないとですね。それでは!」

「うん、それじゃ!」


 私達はそこで挨拶をして教室に戻った。それにしてもコミュ力高いなあの子……どこで培ったんだろう。

 今度聞いてみようかな。







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