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麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
第二章 もう絶対に離しませんからね、先輩!
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琥珀VS童顔その1

「ゲボぶちまけなッ!」

「うわっ!」


 童顔が一瞬で私の目の前にまで詰めてきた。

 まるで瞬間移動してるみたいだ……! 速すぎる! 

 私の腹に童顔のパンチが入る。


「ぐっ……!」

「ちっ……吐けば良かったのに……クソが」


 それを私は何とか耐えた。童顔は舌打ちしてそう吐き捨てる。

 こいつどんだけ捩じくれた性格してんだ……。

 私はつくづくそう思いながらも右腕に八重染琥珀を溜める。


「あと何回で吐くかなぁ? オラァッ!」

「うっ……!」


 童顔はまた瞬間移動して執拗に私の腹を狙ってくる。

 拳が私のお腹に当たり吐き気を催させた。


 こいつと私にスピードの差がありすぎて攻撃がまるで見えない。 

 まだだ……これじゃ足りない……。


「おや~? さっきからずっと動かないでどうしたのかな~? もう諦めて胃の中のモノ全部吐く気になったの~? カツ丼食べる~?」

「ああ……吐いてやるよ……さんざん溜めまくったコイツをね!」


 散々煽りながら攻撃してくる童顔に私はそう言い放ち、童顔のパンチが来た方向に向かって琥珀色に光り輝く右腕を突き出した。


 私の拳が童顔の小柄で華奢な体を向こうの壁まで殴り飛ばした。


「ぎゃああ! クソがあっ……!」

「よし……!」


 今のはかなり効いたみたいだ。

 でもまだ決定打とはいかず童顔はフラフラとしつつも立ち上がった。


 ここは早いとこ決めてやる。

 ストーム……一緒に行くよ……! 

 私は体全体に八重染琥珀を注いだ。身体を金色の光が包み込む。


「ここからは悪いけど二対一で行かせてもらうよ!」

「はあ? 何言ってんの? あんたしか居な――うぐっ!」


 そして高速移動し童顔に回し蹴りを食らわせた。

 童顔は呻き声を上げながら床に倒れた。


「何だコイツ……! いきなり速くなりやがった……! どうなってる……!」

「だから言ったでしょ? 二対一で行かせてもらう、って」


 驚いている童顔に私は全身に勢いを与え踵落としをお見舞いした。童顔の腹に私の踵がめり込む。

 今の私達の速さに童顔は付いて来れていないらしい。


 これならいける……! 

 とか思っていると。


「ガキが……舐めやがって……!」

 童顔が鬼の形相で私を睨んだ後また凄まじい速さで移動し始めた。


「アンタがいくら速くなってもアンタが私を目で追えないのは変わらない。そうでしょ? それなのにもう勝った気でいるなんてまだまだ青いわね! キャハハハハハッ!」

「くっ……!」


 確かにこのまま高速に動かれたら状況は大して変わらない。

 まだ五分五分って感じ。どうしよう。


 ……そうだ! 

 動きが見えないから、それが何だ。

 目に追えないって言うんなら……居場所が分からないって言うんなら……! 


「ほらほらー? 私は何処にいるでしょ~か!」

「居場所なんてどこでもいい……!」


 勘でいけばいいんだ! 下手な鉄砲数撃ちゃ当たる!

 私は拳を前に突き出して気の赴くままに八重染琥珀で飛び回った。


「があっ!?」

「やった!」


 すると割とすぐに拳が童顔に当たった。


「コイツ……! 滅茶苦茶じゃない……!」

「ありがと。最高の誉め言葉だよ……!」


 床に突っ伏しながらそう呟く童顔に私は心の底から礼を言った。

 ストームも作中で敵に滅茶苦茶だ……! って言われるんだよな。

 うれしい……! 


 そんな風に感動しつつもふと童顔の方を見ると、奴の靴に水色のバネがくっついているのを発見した。


 さてはこれが童顔の能力だな。多分このバネの力で素早く動いてたんだろう。

 私は童顔の靴を脱がした。これならもう能力は使えまい。


 流石にタイツというほぼ生足状態じゃこの能力は使えないだろう。

 よし、さっさとこいつが起き上がる前に行くか。


 などとフラグを立てたのがいけなかった。

 たとえ心の中でもフラグは成立してしまう。


「また油断したわね?」

「な!?」


 私が次の階へと上がろうとしたその時、後ろからそう声を掛けられた。驚いて振り向くと、童顔が生まれたての小鹿のように足を震わせながらも立ち上がっている。

 そして何故かニヤニヤと笑いながらこう言った。


「子供だから手加減していたけど……そうも言ってられないわね……ねえクソガキちゃん。私が何を言いたいか分かる? 私はまだ全然本気を出してないって事よ!」

「何だって……!」


 追い詰められている筈なのに余裕の笑みを湛える童顔。

 まさか……! まだ奥の手があるのか……? 

 童顔は床に手のひらを向けながら続ける。


「私の能力名は“knightjump”。可愛い水色のバネを具現化して色んな所に設置できる能力よ。このバネの力がスゴイのは身を持って知ってるでしょ? でも本当にスゴイのはそこじゃないの! このバネの本当のスゴさ……色んな所に設置出来る事なの!  例えば――こんな風にね!」


 童顔がまるで子供のようにはしゃいだ声でそう言うと、床から突然夥しい数の水色のバネが出現した。


「なっ……!」

「さあ、遊びましょ!」

「ちょ、ちょっと待っ――うわっ!」


 普通のオフィスに水色のバネがキノコのように乱立しているという不思議な光景に呆然と立ち尽くす私。童顔はそんな私に素早くタックルを繰り出してきた。


 防御出来なかった私は童顔に床に生えるバネへと弾き飛ばされた。

 次の瞬間、突然身体に猛烈な浮遊感を味わった。


「わああああああああ!? ぎゃあっ!?」

「ふふっ、私の勝ちね!」


 その後どこかの壁に激突し、身体に衝撃が走る。

 バネはこういう使い方も出来るのか……! 


 ていうかあいつよくこんなのを制御できるな……! 

 私は目まぐるしく回る視界に混乱しつつも童顔の強さをさっきよりも更に深く感じた。


「まだまだあるわよ?」

 などと思っていると童顔のムカつく声が聞こえて

 また身体が浮遊感を味わい壁に激突した。


 これよくよく考えたら壁じゃなくて天井か……! 

 やっと自分がどこに居るかくらいは分かるようになってきた。


 ちょっとは慣れたっぽいけど……。

 全然身動きが取れない……! 

 ストームの力をもってしてもこのバネの力に対抗できないなんて……! 


 こうなったら。

 動けなくても出来る事をするしかない。

 制御が不安で使ってなかったけど、出し惜しみは駄目だ! 


「フッ。これが大人の力よクソガキ。思い知った?」

「うん……勉強になったよ……お礼に教えてあげるよ! 私もまだ切り札があるってね! 食らえ黄玉(トパーズ)ッ!」


 私は童顔の方に向けて右手を突き出し、空気に八重染琥珀を注いだ。









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