勝負服
唐突に語られるキャラのコンセプト的なもの:桜月麗紗編
メンヘラっていいよな〜可愛いよな〜百合にしたいな〜で生まれた子。最初ヒロインなのであんまり酷い事はしないようにしてもらっていましたがある時吹っ切れてこうなりました。
メンヘラってよりかはヤンデレも混ざっています。
よく壊れていて可愛いですね。
「それではお嬢様、私は千歳さんと耕一郎さんを呼んで参ります」
「分かったわ凍牙。その間に先輩にルールを教えておくわね」
「人数を増やすな! あとこれルールもクソも無いでしょ!?」
「いえいえ、ちゃんとありますよ。とりあえず聞いてください」
「じゃあ……一応聞いとくね」
研究室と農園に向かう凍牙を見送りながら、麗紗は私をそう諭す。私はとりあえずルールを聞く事にした。
「えっと……決闘はまず最初に千歳が用意した『勝負服』を着て貰います。そして能力を使って一対一で戦い、『勝負服』が破損したら負けです。特に禁止されている攻撃は無いですかね。千歳の『勝負服』を着れば痛みは無いですし。あと決闘できるリングはこの庭の中だけです。決闘の時間は二分。『勝負服』が破れなかったら戦いぶりや体力等で勝負を決めます。以上です」
「意外としっかりルールがあるんだな……」
「発案したのは耕一郎ですけどルールを決めたのは千歳ですから。そりゃちゃんとしたルールになりますよ」
「なるほど……」
それなら普通のスポーツみたいな感覚で出来るだろう。
などと呑気に考えながらしばらく待っていると、凍牙が千歳と耕一郎を連れてニコニコと微笑みながら戻ってきた。
ヤバいヤバい……やっぱり完全に私の事ボコる気だ……。
この庭サッカーくらいなら余裕で出来る位の広さがあるから結構思いっきり暴れられるし……。
「は~い、それじゃ下がってね~。リング展開するから~」
「ん?」
千歳が庭の四隅に何かを置いた。
すると、半透明な水色の障壁が庭に展開された。
建物を壊さない為のバリアか……便利だな……。
「よし、それじゃ『勝負服』を渡すわね~。はい琥珀ちゃん」
「ありがとう……ってこれが『勝負服』?」
「そうよ。割ってみて!」
千歳が手渡してきたその『勝負服』は薬のカプセルのような形状をしている。
透明な白と黒のそのカプセルは親指くらいの大きさだ。
言われた通りに割ってみると……。
「うおっ!? なんじゃこりゃ!」
カプセルから流れ出た何かの薬剤が私の身体を包み込み――光を放つ。
「うわっ――!」
そしてその光が止むと――私はいつの間にかバニースーツを着ていた。
「えっ……えええええええええええええええ!?」
「それが私の発明……『勝負服』ッ! 膨張する衝撃吸収性のある特殊な薬剤をカプセルを割るだけで衣服に変換出来るようにしたハイテクな代物よ!」
「じゃ、じゃあこのコスプレは……」
「私の趣味よ!!」
くわっ! とそう言い放つ千歳。
この子も大分ダメな部類かもしれない。
「千歳……何度もコスプレにしないでって言ってるじゃない……」
「しょうがないじゃない! 高級素材は存分に生かさないと!」
「うわあ……雇用主にまで……」
麗紗は白と赤の巫女服。
見た目上のイメージにはマッチしているけどさ……。
私が千歳の趣味に性癖を感じていると、麗紗が私におずおずと聞いてきた。
「に、似合ってますか琥珀先輩……」
「うん。可愛いよ」
「へっ!? あ、ありがとうございましゅ!?」
「そ、そんなに照れなくても……」
顔を真っ赤にして挙動不審になる麗紗。
こういう所は本当に可愛いんだけどね……。
「あの……僕のこれ……」
「衣装の落差が毎回毎回女と男で激しくねーか!? 何で俺らペンギンとクマなんだよ!?」
「え? バニー着たいのあなた達? 今それしか無いわよ」
「何ですと……この前はワニだったじゃないですか……」
「俺なんかこの前ふんどし一丁だったぞ……」
着ぐるみの男二人が跪いて落ち込んでいる。
どっちがどっちだか分からないけどとりあえず可哀想。
ていうか耕一郎ふんどしって……。防御力あるのかな……。
因みに千歳は婦警さんコス。かわいい。
本当に今から決闘するんだよね?
私がそう疑問に思っていると、千歳が仕切って言う。
「それじゃあ最初は麗紗と耕一郎でいい?」
「はーい!」
「おいおいおい! いきなりかよ! まあいいや、やってやんよ~」
「じゃ、出ない人は下がって~」
「障壁の外に下がりましょう、琥珀さん」
「うん……」
巫女服の麗紗とクマの着ぐるみ……耕一郎がリングに残る。
私達は障壁の外に出て決闘を見守る。障壁は千歳が何かの機械で操作して隙間を開けてくれた。
リングの中の二人はお互い少し間合いを取って見つめ合う。
「よし……レディ……ファイト!」
そして千歳がどこからか取り出したコングを鳴らし、決闘が始まった!
「日頃の恨み! 食らえ“百姓一気”!!!」
「名前ダサッ!?」
最初に仕掛けたのは耕一郎。
腰が砕ける程ダサい能力名に思わず私はそう叫んだ。
そんな私に凍牙がニヤリと笑いながら言う。
「そう言っていられるのも今の内ですよ」
「え?」
耕一郎が能力名を口に出したその瞬間、園芸用の土袋が夥しい数出現した。
ドズンッ!!
麗紗はその土袋の山に押しつぶされた。
なっ……!? 何だこの能力の規模は……!?
ていうか麗紗は大丈夫なのか!?
「やっぱり私の方が速いわね」
「だと思ったぜ」
私の杞憂は一瞬で晴らされた。
麗紗は土袋をあっさりと躱し耕一郎の下に一瞬で移動し蹴りを放つ。
それを耕一郎はまた大量の土袋を出して攪乱する。
麗紗の蹴りが土袋に当たりそれらは爆散した。土が衝撃で周囲に撒き上がる。
「うっ……! 目が……!」
「早いとこ能力使った方がいいぜ?」
耕一郎は麗紗にそう言って空中に高く跳び上がり。
「農耕用トラクターだッ!」
トラクターを掲げて麗紗を潰そうとした。
「何あの凄味のある戦い……さっきは滅茶苦茶ほのぼのな感じだったのに! どうなってんのよ凍牙!?」
「まああの二人はレベル10特色者ですし……そりゃ激しくも見えますよ」
「いやそういう問題じゃ……って耕一郎レベル10特色者だったの!?」
驚きの連続の私に凍牙が丁寧に教えてくれる。
「はい、その通りです。耕一郎さんの能力は“百姓一気”といって、体内の炭水化物から農具を大量に作り出す能力……敵に回すと物凄く厄介なのは見ての通りです」
「マジか……ていうか能力自体は強いんだか弱いんだか分からないな……」
凍牙の説明に私はそう感想をこぼした。




