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麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
第一章 ここから私達の全てが始まったんですよね先輩!
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千歳の実験その3

薬餌式ドライヤー銃とは?

千歳の作った薬品を使い炎などを弾にして撃ち出す事が出来るドライヤーのような形状の銃。

もちろん薬品を変えれば氷なんかも出せるがそれだと凍牙の仕事が無くなるので千歳はあまり使わないようにしているとか。

「もう本当許せない! 死ね! “モルアディクト”!」

 千歳はそう言ってまた何かの薬を飲もうとする。


「させない!」

 その行動を八重染琥珀の閃光で遮る。


 閃光は別に氷弾とか無くても使えるっちゃ使える。

 光はちょっと弱くなるけど、人の目を眩ませるには十分だ。


「うっ……!」

 閃光に怯む千歳。

 今だ! 


 私はその隙を付いて千歳が手に持っている薬を奪い取った。これを飲めば形勢逆転できるかもしれない。

 私はタカのような形をしているその薬を飲み下した。


 しかし目立った変化は無い。

 あれ……何の薬なんだ? 

 そう疑問に思っていると、千歳が歯を食いしばりながら言う。


「想定していた以上に応用が利く能力ね……! ちょっと見くびっていたわ……」

「お値段以上が八重染琥珀のモットーよ」


「まあいいわ……あなたのその舐めきった性格……治療してあげるわ!」

「舐めてるのはそっちの方だ!」


 その言葉を皮切りに千歳が攻撃を仕掛けてくる。

 あれ……? やたら動きがゆっくりに見えるぞ……? まるでスローモーションみたいだ。

 何がどうなっているんだ? 


 まさか……! これが薬の効果!? 

 あの薬を飲むと動体視力がバカみたいに上がるのか! 


 薬の効果をようやく理解した私は千歳の攻撃をゆっくりと躱した。

 この薬で上がるのは動体視力だけで自分は速くならないみたいだ。


 だから自分の動きもカタツムリのようなスピードに感じる。でも動きが読める分避けるのは大分楽だ。


「ちっ! もう“ベリーホーク”の効果が出たのね」

「よし、これなら……戦える!」


 私は八重染琥珀で加速した拳で千歳を殴り飛ばした。動きがスローモーションに見えるのは凝視した時だけみたいだ。切り替えられるのはすごく便利だな。どうせなら素早さも上げて欲しかったけどね。


「はあっ!」

「ぐっ!」


 千歳の華奢な体が壁に叩きつけられる。

 だが千歳の謎の執念はその程度では傷一つ付かない。千歳はすぐに起き上がってこちらに突っ込んで蹴りを放ってきた。視界をスローモーションに切り替え対応する。


 私は八重染琥珀で足に勢いを付けて跳び、蹴りを避けようとした。

 しかしその蹴りは強化された私の動体視力でも躱せない程のスピードで私の太股に突き刺さった。

 鋭い痛みが足に響き渡る。


「うぐっ!」

「いくら動体視力が良くても躱し方が下手だったら意味無いわよ!」

「それが何よ!」


 でも躱せないとは言ってもクリーンヒットを免れる事くらいは出来た。私は痛みを堪えつつ八重染琥珀で足を加速し千歳の横腹を蹴った。


「お返しだ! そらあっ!」

「がはっ……!」

 今のはかなり効いたようで千歳は苦しそうな表情を浮かべた。


「中々やってくれるじゃないの……!」

「あんたこそ……っ!」


 そうしてしばらくの間女同士の生々しい戦いが続いた。

 私が突きを入れれば千歳が避けて蹴り返し、千歳が蹴りを入れてくれば私がそれに耐えて殴り返す。


 その暴力の応酬は私達二人が力尽きるまで続いた。

 最後は、相打ちだった。


「がっ……!」

「ぐうっ……!」


 私と千歳の拳が、両者の顔に激しくぶつかりそこで私達は床に倒れ込んだのだ。

 しばらくして喧嘩で失っていた冷静さを取り戻した私は千歳に息を切らしながらも聞いた。


「ねえ……何であなたはそんなに貧乳を気にするのよ……貧乳には貧乳の魅力があるしそういう路線の同人も出てるじゃない……」


「うるさいわね……多少はあるあなたがそういう事を言っても嫌味にしかならないのよ……」

「いや千歳、それは勘違いだよ……私が今言ったのは慰めとかじゃなくて貧乳に需要はあるって事だよ……」


「……っ!?」

「やっと、分かってくれた?」


 はっと息を呑む千歳に私はそう諭す。

 千歳はそれで我に返ったようで私に申し訳なさそうにこう言った。


「ごめんなさい……こんなくだらない事で我を忘れちゃって……」

「正気に戻ってくれたんならそれでいいよ……それに元々はあなた私を食い止めないといけない立場だし……」


「ありがとう琥珀ちゃん……私を許してくれて……」


 やっと和解できた……。

 ていうかよくよく考えたら随分くだらない事で喧嘩してたな私達! 

 しかもこんな危険な状況で……。


 私がさっきまでしていた事を全力で後悔していると、おもむろに千歳が起き上がって水を飲み、私に薬を手渡してきた。


「琥珀ちゃん……これ飲んで……」

「あ、ありがと」


 その薬を飲むと痛みが全部一瞬で消えた。

 むしろ絶好調と言ってもいい。


「ごめんね本当に……」

「いやいやいいよ~。この後協力してくれるんだし」

「ありがとう……私全力で協力するから!」


「ふふっ、頼りにしてるよ」

「……あとさ、ちょっと言いたい事があって」

「ん? なに千歳?」


 千歳がもじもじと恥ずかしそうな顔で私にとんでもない事実を告げてきた。

「……私実は、男なの」

「ええっ!?」


 私は驚きのあまり思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

 千歳が男の娘!? 噓でしょ!? 


「本当に……!?」

「うん……」

「そんなに可愛いのに……!?」

「うん……」

「付いてるの……!?」

「うん……」


 顔を赤らめながらそう言う千歳。

 こんな娘本当にいるんだ……。


 てっきり創作の中だけだと……私もまだまだだな……。

 そして一番の疑問を千歳にぶつける。


「ていうかどうしてそうなっちゃったの……?」

「それはね……昔麗紗ちゃんがね……」

「えっ!?」


 ここで麗紗ちゃんが絡んでくるの!? 

 私は猛烈に気になり千歳の話を耳の穴をかっぽじって聞いた。







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