表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
最終章 最狂の愛
208/213

夫婦喧嘩

 ヘルル族の襲撃があってから、数日が経った。

 あれから特に何事もなく平和なままだ。


 エリアはちゃんと約束を守ってくれたみたいだ。

 意外と自分なりの正義を持っている奴なのかもしれない。


 まあ、どっちにしろあんまり会いたくはないけどね。自分の顔とそっくりな人間がいるのは結構気味が悪いし。


 それは向こうも同じだろう。


「ん? どうしたんですか琥珀先輩?」

「いや、何でもないよ」


「……まさか他の女のことじゃないですよね? あああああ! 今ほんのほんのちょっと想像しただけで蛆虫を大量に飲み下した気分になっちゃったじゃないですか! 責任取ってくださいよ! というかどうしてそんなことするんですか!? この前はあんなに愛してるって言って下さったのに……! あの愛は嘘だったんですか琥珀先輩!」


「いやいや、ヘルル族の奴ら大丈夫かなって気になっただけだよ」


「そうですか……って結局他の女の事じゃないですか! うあああああ虫が虫が虫が這いずり回ってくるぅぅぅぅぅ!」


 ぼーっとしてたら麗紗が壊れちゃった。

 おうちデート中に考えることでもなかったなあ。


 このままでもかわいいけど直してあげなきゃね。

 頭を掻き回す麗紗の顔を両手でつかみ、唇を重ねる。


「んっ……」

「んうっ……!」


 麗紗は喉を撫でられた猫のように力を抜く。

 これで直ったかな。


「……キスでごまかそうとしないでください」

「ごめんねずるくて。でも、好きなのが一番伝わるのはこれかなって」


「……これだけじゃ許しませんよ。もっと琥珀先輩をください」

「いいよ」


 麗紗は私に甘えるように両手を突き出した。

 ……ずるいのは麗紗もだな。


 細い体を、優しくベッドに押し倒す。


「きゃっ!」

「ごめん。ちょっと強引だったかも」


「別にいいですよ。いつもそうですしその方がドキドキします」

「それもそっか」


 麗紗は絶対Mだろうな。

 私をどこまでも受け入れてくれる、この感じは。


 だからいつも虜にされちゃうんだ。


「服、脱がすね」

「はい……私も、琥珀先輩の服を……」


「ありがとう」


 何回も何回も絡み合っていたら、さすがに手際がよくなってくる。


 それなのに、いざしようとなるといつも胸の鼓動が抑えられない。


 いつまで緊張してるんだ、私は。

 食事と同じくらいの頻度でしてるくせに。


「……琥珀先輩もドキドキしてますね」

「しょ、しょうがないでしょ……」


「私もですからね、琥珀先輩」

「……っ!?」


 麗紗は私の手を取って自らの胸に当てた。

 トクトクと心臓の音が柔らかい感触越しに伝わってくる。


「でしょう……っ?」


 麗紗はとろけた顔で微笑む。

 本能を直にくすぐられた私は貪るように麗紗の唇に舌を入れた。


「麗紗……ぁ! んむっ……!」

「んん……っ!」


 ぴくん、と麗紗の体が跳ねる。

 麗紗のスカートの中に手を滑り込ませると、食べごろになっていた。


 指を入れて味を堪能する。

 麗紗は電流が走ったように体をくねらせた。


「ひぅっ……あんっ……やああっ……!」


 甘美な声が麗紗のふやけた口から零れた。

 その可愛い声をもっと聞きたい。


 麗紗の好きなところをじっくりと、ひたむきに攻め続けてあげた。


「んんっ! うあっ! ああああああああああっ!!!」


 あっという間に達した麗紗の愛液が迸り、ベッドを濡らす。指にも麗紗の愛が絡みつく。


「はぁっ……はぁっ……」

「………………」


 でもまだ食べ足りない。

 もっと、もっともっと麗紗を味わいたい。


 もう一度、麗紗の熟れきったそこに指を入れて掻き混ぜる。


「こ、こはくせんっ、ぱい! ま、まだ、いった、ばかりでっ!」

「もっかい……するの……っ!」


「ひえっ……やあああああああああああああああ――」


 何回も何回もして、愛の証を刻み付け合った。

 刻んだ証がいつまでも残るように――。

「……麗紗、かわいかったよ」

「……かわいがりすぎです。琥珀先輩は猫飼ったら駄目ですよ」


「麗紗の方が圧倒的にかわいいから猫いらない」

「その言い方は猫がかわいそうじゃないですか……」


 麗紗の頭を優しく撫でながら、私は目を細める。

 この子に噛まれたせいで体のあちこちに跡ができてしまった。


 いつものことなんだけど。

 でもこの小さな痛みが気持ちいい。


「……琥珀先輩こそ、今日もかっこよかったですよ」

「ふふ。ありがと」


 お世辞なのか目がおかしいのか麗紗がそう言ってくる。私は軽く流して言葉を返す。


「でも麗紗の方が、かわいいしかわいいよ」


「いや~何を言ってるんですか琥珀先輩。琥珀先輩の方が私より美人に決まってるじゃないですか~!」


「は? 何を言ってるの? 麗紗の方が美人に決まってるじゃん! 私麗紗よりかわいい子知らないし存在しないよ?」


「え? どうしたんですか琥珀先輩? 眼科行ったほうがいいですよ? 琥珀先輩が世界一の美人なのは誰もが認める事実です。ふざけないでください」


「は?」

「え?」


 私と麗紗の意見が、珍しく食い違う。


 ……そういえばヘルル族と戦った時も、麗紗はこんなわけの分からないことを言っていたな。


 なんで? なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで? 


 麗紗の方が美人だし可愛い! 私なんて麗紗と比べたらダニ以下だよ! 


「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」「麗紗の方が美人だよっ!」「琥珀先輩の方が美人ですっ!」


「「ああああああああああああああああああああああもうっ!!!」」


 何回言っても、分かってくれない。

 言葉じゃ何一つ通じない。


 それなら。


「戦って、麗紗の方が美人だって証明してみせる――ッ!」


「戦って、琥珀先輩の方が美人だと証明してみせます――ッ!」


 夫婦喧嘩と、いこうじゃないか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ