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麗紗ちゃんは最狂メンヘラ  作者: 吉野かぼす
最終章 最狂の愛
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最高の肩書

「さて……能力の話は面白かっただろ? 楽しんで貰えたかな?」

「ああ……知らなかったら後悔してたよ……」


 お前が、人類を引っ搔き回そうとしてるって事を……! 人の事を何だと思ってるんだ……! 


「そんなに睨まないでくれよ。怖くて話が続けられないじゃないか」


「お前が起素をばら撒いたせいで……どれだけの人の人生が狂ったと思ってるんだよ……!」


 普通の人間が急に力を与えられてもロクなことにならないのは周知の事実だ。


 それを地球人全体にやるだなんて……! 

 絶対に間違ってる……!


 現に、優紀達とか、熊とか、麗紗だって。

 力を手に入れてしまったばっかりに、人生が狂ってしまったんだ。


「それはそうだろうね。でも、進化とはそういうものだろう?」


「……そんな進化なんていらないんだよ」


 エリアは当然のようにそう言葉を返してきた。

 その言葉からは、人の心を全く感じない。


 本能だけで生きている動物のような気味悪さがあった。自分と同じ顔をしているのも気味悪さを加速させている。


「さて……本題に入ろうか。君たちに提案だ。私達の傘下に入り力を持ち続けるか、私達の傘下には入らない代わりに力を失うか……。どちらを選ぶ?」


「どっちもお断りだ」


 私は断言した。

 これ以上引っ掻き回されたらたまったもんじゃない。


 今能力が無くなったらそれはそれでまた人生が狂う人がいる。


 こいつに介入をさせたら駄目だ。


「そうか……まあ君ならそう言うと思ったよ」

「じゃあ聞くなよ。ていうかそもそも何で私に聞いたの?」


「そりゃあ君たち二人が一番強そうだったからさ、地球人代表は君たち二人なのかなと思ったんだが……違うのかな?」


「違うよ。地球人の代表は私達じゃない。別の人だよ。代表かどうかぐらい最初に聞きなよ……交渉も何もないよ」


 めちゃくちゃ強くて麗紗が好きすぎて死にそうなこと以外は普通の女子高生な私に、そんな交渉を持ちかけてどうするつもりなんだ? 


 私何の権限も無いのに。

 まあ力でねじ伏せることは出来るけどね。


 私が正論を言うと、エリアの話を黙って静かに聞いていた麗紗がおもむろに口を開いた。


「……え? この世界の代表者は琥珀先輩ですよ? どうしちゃったんですか琥珀先輩?」


「いや違うよ……そんな肩書は要らないよ……私は麗紗の恋人っていう最高の肩書だけが欲しいんだ。ずっと持たせてよ」


「こ、琥珀先輩ったら……! もう……っ!」


 てれてれと嬉しそうに両手で赤くなったほっぺを抑える麗紗。この肩書を手に入れられた私は幸せ者だ。


 私はそれを、この命に代えてでも守る! 

 だから……! 


「地球人の代表は私じゃない。でも、これ以上人の人生を狂わせるな」


「そう、か……だとしても君達が最強格なのは確かだろう……? 君に勝てば事実上地球人は支配したも同然……だから、勝負をしないか? 君と私が能力で戦って……私が勝ったら私の条件のどちらかを地球人に飲んでもらう。もし君が勝ったら私は地球人から手を引く。どうだ? 断るからにはそれ相応の力を見せてもらわないとな」


「……わかった。いいよ。私が勝つから」

「私は一度も勝ったことはないよ。そもそも勝負にならなかったからね」


 エリアの勝負に、乗ってやった。

 今の私には、麗紗がいる。


 これで負ける要素がどこにあるんだ? 

 ないに決まってる。


 私の麗紗への愛は、無限大だ! 


「……さっきからあなたの態度はなんなの? イライラするんだけど! 勝負ですって!? 地球人ごときがエリアにナマイキなこと言ってんじゃないわよ! エリアの代わりにわたしがここで人生終わらせてあげようか?」


 そうしたら麗紗にそっくりな人が怒ってきた。

 麗紗と見た目は似てても性格に天と地の差があるな。


 麗紗は天使みたいだけどこの人は……。


「あなた何を言ってるの? 琥珀先輩はすべてが完壁無比な人間なの。むしろ生意気なのはあなたの方よ。身の程ってものを知りなさい。あなたごときの小さな物差しで測れるような方じゃないの。あなたの顔を見てるだけでも吐き気がするのに、行動まで吐き気を催すだなんて最悪だわ」


 麗紗が言葉のカウンターをお見舞いする。

 それに、麗紗にそっくりな人が激昂した。


「……はあ? 吐き気がするのはあんたのほうよ! 地球人ごときがこのわたしをバカにするなんて……許さない……! ねえエリア! わたしこいつ殺してもいい!?」


「んー……半殺しまでならいいよ。貴重な戦力になるかもしれないから殺すのはやめてほしいけどね」


「わかったわ」

「という訳で2対2になりそうだが……いいかな?」


「駄――」


「琥珀先輩。私にも戦わせてください。私だって琥珀先輩の力になりたいんです。それに……あの女の顔が気に障るんですよ……!」


「……わかった。いいよ」


 麗紗がそこまで言うんなら私は止めない。

 思いがけず2対2で戦うことになっちゃったけど、逆に都合がいいかもしれない。


 これで麗紗と力を合わせて戦える。


「それじゃあ、やろうか」

「弱く生まれてきたことを泣き叫びなさい」


「地球人の強さを、見せてやる!」

「泣くのはあなたの方よ、クズ」







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