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異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第1章 能力向上
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第6話 動物と魔物

小屋に戻ると、忠国は早速鎧を染める準備を始めた。


物置から赤と黄色の染料を持ってくると、それをそれぞれ大きな桶に入れ、その中に先ほど買った防具を入れた。


染料は木の実などで作ったものらしく、どちらも鮮やかな色合いで、とても良い匂いだった。


「先生、これで皮が染まるのですか?」


「ん、そうだな。このままでは染まらない。ここからは、魔法の出番じゃ。」


そう言うと忠国は防具を入れた桶の上に手をかざして何か念じ始めた。


しばらく待っていると、「よしできた。ではこれを小川で洗ってきなさい。」


「染料で小川の水が汚れてしまいませんか?それに折角染めた色が取れてしまうのではないですか?」


カズトは気になって聞いてみた。


「大丈夫だ。原料は木の実だから、害はない。三尺流れれば水清しと言うだろう。染料は魔法で粒子を細かくして、しっかりと染みこませてあるから、ちょっとやそっとで落ちることはない。」


(三尺流れれば水清し?昔聞いたことがあるような気もするが、何かのことわざかな。までも先生がそう言うなら大丈夫なんだろう。)


カズトはその言葉を聞いて安心すると、大佐と共に防具を持って小川で染料を洗い流した。


「先生洗ってきました。」


カズトと大佐の防具は鮮やかな赤と黄色に染まっていた。


「ところで先生。ミヤの防具が黒なのは分かりますが、我々は赤と黄色でよかったのですか?」


「ふむ、一応これには理由がある。魔物などと戦闘になったとき、赤は魔物からよく見えるんだ。ミヤや大佐に比べるとカズト君の防御力は格段い高い。だから、敵の目を引きつけるために敢えて目立つ赤で良いんだ。大佐の黄色も目立つが、大佐もミヤと比べれば防御力はかなり上だかな。」


「ミヤが目立たずに動きやすくなると言うことですね。分かりました。」


「では、森に入る前に、森での心得を教えておこう。」


(なんか冒険らしくなってきたな。いよいよデビュー戦か。まぁ、でもゲームで言えばチュートリアルみたいなものかな?)


「まず、動物は殺さない。もちろん我々は肉も食べるから、動物を殺すこともあるが、必要最小限にして欲しい。彼らは人間を恐れるから、襲ってくることはほとんど無いが、もし襲われたら、動きを止めるなして対処して欲しい。」


「食べる分だけと言うことですね。分かりました。しかし、俺はサイコキネシスを使えますし、ミヤも高速移動や穏行で動物を避けることはできますが、大佐はどうすれば良いのですか?」


「そうだな、大佐はこの間手に入れて威嚇のスキルがあるだろう。あれを使えばほとんどの動物は逃げていく。」


「あ、そうでしたね。大佐、分かったかい。」


「分かりました。カズト様。」


(何故か分からないが大佐はうれしそうにしっぽを振っているな。多分新しいスキルが使えることがうれしいのだろう。)


「動物については分かりました。ミヤも良いね。」


「はい。カズト様。」


「次に魔物なんだが、あやつらは、生きているものは何でも襲ってくるし、人の肉が大好物だ。更に悪いことに人肉を食うと進化して巨大化したり知恵を持ったりするようになる。どうやって生まれてくるのかは分からないが、いつの間にか森などに住み着いて、周辺の村などを襲うようになる。何にしてもやっかいな代物だから、わしは見かけたら殺すことにしている。」


(異世界っぽくなってきたな。あまり血を見るのは好きではないが、この世界で仕方ないのだろう。」


「先生。この森にも魔物はいるのですか。」


「この森にはゴブリンが住み着いている。外観はそれほど大きくはないが、こざかしい手を使ってくるから、気を抜かないように。」


「先生、ではあの気配はゴブリンですか。」


森の中の気配ぞさぐる練習をしていた大佐が忠国に尋ねた。


「そうだ。大佐はあの気配をもう覚えたな。」


「はい。」


「あの気配を感じたら直ぐに皆に知らせるんだ。」


「分かりました。」


「この森には今のところゴブリンだけだが、他の所では、オーガーやトロールなどという魔物もいる。この森のゴブリンは、カズト君達がこちらに来る前に退治しておいたんだが、どこからかまた沸いて出たようで、結構な数に増えてきておる。」


「と言うことはイタチごっこのようなもので、減らしてもまた沸いてくると言うことですね。」


「そう言うことだ。魔物が生まれる原因が分かれば対処できるかも知れんが、現状ではその原因は分かっておらぬ。わしから仕えておくとは以上だが、何か質問はあるか。」


「先生。魔物は刀で斬り殺していくのですか?」と大佐が尋ねた。


「そうだな。ミヤと大佐はまだ魔法が弱いからそれでよい。カズト君はサイコキネシスとパイロキネシスも併用して戦ってみて欲しい。それから、戦闘の時は全てテレパシーで会話すること。」


この頃にはミヤと大佐もカズトや先生、ボックとはテレパシーで話せるようになっていた。


「分かりました。」


3人は忠国に返事をした。


「あ、そういえばボックはどうすれば良いのですか?」


「もちろんボックも連れて行く。この先カズト君とボックは常に一緒だ。ボック、あれになってくれ。」


「分かりました忠国殿。」


ボックは返事をすると、徐々に小さくなり、小さな首飾りになった。


「ボック、変身できるのか。」


【はい。私を首にかけて一緒にお連れくださいませ。】


ボックはテレパシーで話しかけてきた。


「ボックはこの大きさになると言葉で話せなくなるから、会話はテレパシーになる。まぁ、その代わり小さいから首からかけておけると言うことだ。」


(小さくなれるのなら大きくもなれるのかな。自分のことで手一杯でボックのことはあまり考えもしなかったけど、今度問い詰めてやらないといけないかもな。)


「そろそろ防具も乾いた頃だろう。皆着替えて着てくれ。」


カズト、ミヤ、退散の3人は小屋に戻って防具に着替えると、再び忠国の前にやってきた。


(なんか冒険者ぽくなってきたな。それにしても赤は派手だな。あと、勇者っぽく見せるなら金色の方がよかったかな。うん、次に作るときは金色にしよう。)


「よし、そろったな。では、出発するのだが、その前にこの短剣渡しておく。森の中では刀だと木が邪魔で使いにくい場所もあるから、その時はこの短剣を使うように。」


「はい。先生。」


3人はそろって返事をしたが、カズトはミヤの返事は少し元気がないように感じた。


(やっぱり黒が気に入らないのかな。ちょっと褒めておくか。)


「ミヤ、お前の黒い防具はなかなか良いな。お前の綺麗な黒髪とぴったりでとっても綺麗だよ。」


大佐もカズトの真意を感じたらしく、ミヤを褒め始めた。


「ミヤ、かっこいいなぁ。これならどんな敵からも見つからずにかっこよく仕留められそうだね。」


ミヤは、少しふてくされていたが、カズトと大佐に褒められて、ニコニコし始めた。


「カズト様は私が守りますから!任せておいてください。」


ミヤはそう言うと短剣を受け取り、腰に取り付けた。



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