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異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第1章 能力向上
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第4話 剣術

翌朝目が覚めると、味噌汁の良い匂いが漂ってきた。


「カズトさん、朝食の用意ができたようです。この服に着替えていただき下に参りましょう。」


ボックに言われてテーブルを見ると、服がたたんでおいてあった。


麻布で作ったズボンとシャツ、それと、サスペンダーと一体になった革製のベルトが置いてあった。


カズトは服を着替えると、ボックを抱えて下に降りた。


ミヤと大佐は既に起きていて、忠国と一緒に朝食の準備をしていた。


「先生、おはようございます。」


「カズト君起きたか。今日の朝食は鯖の塩焼きと味噌汁、それとあったかご飯にしたぞ。」


「この世界に味噌があるのですか?」


「ああ、この味噌は、わしの先生から作り方を教わったんだよ。醤油もある。日本人にはこの二つは必需品だろう。そのうちカズトにも作り方を伝授する。」


カズトは母親が死んで以来、宅配のピザや弁当場ばかり食べていたので、こんな朝食は久しぶりだった。


「カズト君、さぁ、食べよう。食事が終わったら早速剣術の訓練を始めるぞ。」


「はい、いただきます。」


カズトは味噌汁を一口口に含んだ。


すると、母親の懐かしい顔が心に浮かんできて、涙がこぼれ落ちてきた。


両親はカズトが高校の卒業式の日に交通事故で亡くなってしまい、それ以来カズトは一人で引きこもり生活をしていたのだった。


カズトは必死に涙を止めようとしたが、涙が止まらなかった。


そして、その様子を見ていたミヤと大佐もカズトに釣られて泣き出してしまった。


「カズト君、母親を思い出したんだね。泣きたいときは泣いても良いんだよ。ミヤと大佐もカズトの思い出が伝わってしまったようだね。」


カズトは言葉を発することができず、黙々と朝食を食べた。


朝食が終わると、全員外に出て剣術の訓練を始めることとなった。


外に出ると忠国はカズトに一振りの日本刀を差し出した。


「カズト君、この日本刀は、君のものだ。少し重いかも知れないが、この刀を自在に操れるようになって欲しい。」


カズトは忠国から刀を受け取ったが、忠国の言うとおりかなり重たい刀だった。


「それから、訓練はこの木刀で行う。」


そう言うと一振りの木刀をカズトに渡した。


木刀も日本刀と同じくらいの重さだった。


「当面は重さになれるために素振りをやってもらう。ミヤと大佐も一緒にやりなさい。」


3人は元気よく返事をすると、素振りを始めた。


ミヤと大佐は、こちらの世界に来て10歳ぐらいの少年少女になっていたので、カズトより軽い木刀を渡されていたが、3人そろってへっぴり腰で重そうに素振りを続けた。


「見事なへっぴり腰だな。まぁ、そのうちちゃんと触れるようになる。はははは。」


忠国にそう言われて、3人は必死に素振りを続けた。


「それからカズト君、昨日言うのを忘れておったが、森には決して入ってはならんぞ。森には君ではまだ対処できない動物や魔物が住んでおる。この泉の周辺は私がバリアーを張っているのでそのようなものは入り込んでくることはないが、バリアーの外では何が起こるか分からんからな。」


(そんな危ない所なんだ。まだ転移したばかりだし、そんな奴らに殺されたらたまんないから、森には入らないでおこう。)


「分かりました。」


3人は時々休憩を挟みながら素振りを続けた。


そして午前中の素振りを終えると、忠国は3人に1枚ずつ葉っぱを差し出した。


「カズト君、これはいわゆる薬草というものだ。これをかじると体力が回復し、軽い傷なら治してしまう優れものだ。ミヤと大佐もこれをかじりなさい。」


カズト達は言われるままに薬草を受け取ってかじってみた。


「うへ。苦い・・・」


カズト達は思わずはき出しそうになった。


「カズトさん、はき出しては駄目でございます。良薬口に苦しと申しますので、きちんと飲み込んでくださいませ。」


カズトははき出したい思いをぐっと我慢してボックに言われたとおり薬草を飲み込んだ。


すると不思議なことに、素振りで疲れ切っていたのに、身体がスーッと軽くなり、筋肉の痛みも取れてしまった。


(すげぇー。苦いけど何だこの効き目は。)


「皆、この袋を腰に下げておいて、疲れたときにかじりなさい。」


そう言うと忠国は3人に薬草の入った袋を渡した。


皆は小屋に入ると、既に準備されていた昼食を摂り、午後の訓練まで、少しだけ休憩した。


(いつの間に料理したんだろう・・・)


休憩を終えると再び全員で外に出た。


「午後は超能力の練習だが、カズトには昨日の続きで小石を使った練習をしてもらう。カズト君、あちらの的を見てくれ。」


忠国が指さす方向を見ると10メートルほど先に、木で作った的がいつの間にか置いてあった。


「今日はあの的に向かって小石をぶつける練習をしてもらう。手を使わずに石を持ち上げて的にぶつける。そしてぶつけた石を手元に引き寄せる。再びぶつける。この繰り返しをする。最初は1メートルくらいから初めて、徐々に距離を伸ばすように。」


「分かりました」


返事をするとカズトは早速的の前に向かい、練習を始めた。


「ミヤには高速移動の練習をしてもらう。そこに線が引いてあるから、反復横跳びをやって、1分間になるべく沢山飛べるように練習しなさい。時間はボックに計ってもらおう。」


「大佐はここで、森の中の獣等の気配を耳で追って、その位置を地面に書くように。カズトやミヤが動く音が聞こえるだろうが、それに惑わされないように、最初は泉の周辺の森の獣を、そして徐々に範囲を広げていくように。」


では始めなさい。


「はいニャ。」「はいワン。」


こうして各自別々の訓練を始めた。


その後も忠国の指導の下、3人は着々とその実力を上げていった。


そして1年の歳月が流れた。


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