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異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第2章 グリング王国
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第30話 ミヤと大佐

依頼を終えてギルドに報告後、カズト達は各地の温泉を巡りながらマンダールを目指して旅を続けた。


特にもんだもなく旅を続けていたが、徐々にミヤの様子がおかしくなってきた。


最初は特に気にならなかったが、比較的大食らいのミヤがあまり食事を食べなくなり、妙にカズトにまとわりついてくるようになった。


「みや、どうしたんだ?どこか痛いのか?」


「んニャ。何処も悪くないニャ。」


「そうか、それなら良いんだが・・・」


そして、更に数日が過ぎると、夜中に奇声を発したりするようになった。


(あ、これってこっちに来る前もあったな・・・)


ミヤは、カズトの母親が、買い物帰りに拾ってきた捨て猫で、カズトにとっては最初のペットだった。


妙に人なつこい小猫で、鳴き声が「ミャ、ミャ」と聞こえたので、母親がミヤと名付けいつも膝の上に乗せて可愛がっていた。


母親が死んだ後は、カズトがいつも膝の上に乗せていたが、母親が死んだ翌年から、今回みたいに奇声を発したことが何度かあった。


「アニエス、最近ミヤの様子がおかしいけど、何か分かる?」


カズトは、いよいよ困ってアニエスに聞いてみた。


「ああ、あれは発情期よ。」


「は、発情期?」


「うちには猫人のメイドがいるから、何度も見たことがあるわ。そのうち収まるわよ。」


「そ、そうなんだ。」


アニエスに話を聞いてほっとしたカズトだったが、しばらくすると、大佐の様子がおかしいことに気がついた。


大佐は、ミヤが拾われた後に、カズトの父親が拾ってきた子犬で、とても姿勢が良かったので、こいつは軍人だなと言って父親が大佐と名付け、ミヤと一緒にカズトの家で飼われることになった犬だった。


大佐は、いつもカズトの後からついてきていたが、最近は、ミヤの後を歩くようになり、いつもミヤのそばにいるようになっていた。


日本にいるときから、ミヤと大佐は仲良しでいつも一緒だったが、カズトは、今回は何か違う気がしていた。


その後、1週間ほどすると、ミヤの奇声も収まり、大佐はいつものようにカズトの後を歩くようになったので、カズトは安心していたが、再びミヤの様子がおかしくなってきた。


見るからに、体型に変化があった。


今まで、お子様体型だったミヤの胸がかなり大きくなっていた。


カズトは、ミヤも大人になってきてたんだなと思い、あまり気にもしなかったが、更にしばらくすると、お腹のあたりが少し膨らんでいるようだった。


カズトは少し気になったので、ボックに聞いてみた。


「なぁ、ボック。猫と犬って後尾はしないよな。」


「はい。」


「じゃ、猫人と犬人は?」


「猫人と犬人がまぐわうかと言う意味でございましょうか?」


「そ、そのま、ま、まぐわい・・・」


「犬も猫も遡れば同じ先祖にたどり着きますので、この世界では可能でございます。」


「そ、そうなのか。えーーーーー。」


カズトは、自分の常識が崩れ去るのを感じた。


「ところで、ミヤなんだけどさ。なんかこう体型が変わってきたとというか、今までと違う感じだけど、やっぱり、成長してきたと言うことかな。」


「ミヤでございますか。そうでございますねぇ、ある意味成長の結果と言えるかも知れません。」


「そうか、それなら良いんだけど。」


「カズトさん、ミヤのお腹をクレヤボヤンスで見てみては如何でございましょうか。」


「なんで?」


「ミヤが成長した理由が分かると存じます。」


カズトはボックに言われて、ミヤのお腹のあたりをクレヤボヤンスで透視してみた。


「あ、あ、ああああああ。」


カズトは思わず奇声を発した。


カズトがミヤのお腹の中に見たものは、紛れもなく赤ん坊の姿だった。


(え、まじか!父親は・・・まさか・・・・)


カズトはミヤの所へ行くと、小声でミヤに聞いた。


「ミヤ、お前妊娠しているのか?」


「はいニャ。」


ミヤは脳天気に答えた。


「ち、ち、父親は誰なんだ?」


「大佐だニャ。」


「そ、そうか。大佐か・・・」


「えええええええ。」


カズトは再び大声を出してしまった。


すると、その声に気がついたみんながカズトの所へやってきた。


「カズトどうしたの?大きな声を出して。」


「ア、アニエス。じ、実はミヤが大佐の子供を身ごもったんだ。」


「それがどうしたの?仲良しの猫人と犬人が一緒に旅をしていれば普通のことでしょ。」


「え、なにそれ、まじ?そうなの?」


「この間、ミヤが発情していたから、もしかしたらと思っていたけど。ミヤ、大佐、おめでとう!」


アニエスがそう言うと、ノラとエマもミヤと大佐を祝福した。


(え~、まじか・・・普通のことなのか・・・)


「ミ、ミヤ、た、大佐、おめでとう。」


カズトはちょっと変な気分だったが、二人にお祝いを言った。


(しかし、どうするかなぁ・・・赤ん坊を連れて旅をするわけにも行かないしなぁ・・・)


カズトが真剣な顔で考え込んでいると、それに気がついたミヤがカズトに言った。


「カズト様、ミヤは妊娠しては駄目だったのですかニャ。」


カズトはハッと我に返りニッコリ微笑むとミヤに言った。


「そんなことある分けないじゃないか。ミヤと大佐の子供なら、俺の家族だよ。家族が増えるのはとってもうれしいよ。」


「良かったニャ。」


ミヤはそう言うと、うれしそうにカズトに抱きついた。


それから数日旅を続け、カズト達はマンダールの街へ到着した。


相変わらず宿屋はいっぱいだったので、カズト達は海岸にキャンプをすることになった。


そして、その夜、カズトはミヤのことをアニエスに相談した。


「なぁ、アニエス。ミヤのことなんだけど、お腹に子供がいるから戦闘には参加させない方が良いよね。」


「そうね。」


「でも、キャンプで留守番させるのもかわいそうだよな。」


「私もそのことは考えたわ。それでなんだけれど、ミヤを爺様に預けてはどうかしら。」


「ミヤを先生に預ける?」


「猫人は妊娠期間が人より短いから、後1~2ヶ月で出産すると思うわ。生まれた子供も5年くらいで一人前の体格になるから、それまで爺様に預けておくのが一番だと思うわ。」


「ミヤと離れるのは寂しいけど、子供が一人前になればまた一緒に旅も出来るしな。それが良いか。でも、大佐はどうするかなぁ。」


「大佐は自分で決めさせてあげれば良いわよ。」


「うん、そうだね。じゃ、先生に手紙でも出しておくか。でも、手紙だと時間がかかるから、テレポーテーションでグレンザまで言って頼むか。」


その時、ボックがカズトに言った。


「カズトさん。お手紙なら、アスポートを使われると宜しいかと存じます。」


「アスポートって何だ?」


「アポートの逆で、送り届ける超能力でございます。」


「そんな超能力があるのか!」


「はい。」


「でも、俺は使ったことないが。」


「アポートが使えればアスポートも使えます。」


「なぁ、ボック。他にも俺が使える超能力があるのか?」


「ございます。」


(しまった、迂闊だった。ボックは聞かないと基本的に教えないんだった・・・)


「まぁ、いいや。とりあえず、今はミヤのことだな。」


カズトは、ミヤが妊娠したことや、しばらく預かって欲しいこと、そして新しい仲間が増えたことを手紙に書いて忠国へと送った。


すると、1分もたたないうちに忠国からの返事が届いた。


「え、どうやって俺の場所を確認したんだ?」


「カズトさん、サイコメトリーでございます。」


「ああ、サイコメトリーで、手紙の残留思念を見たのか。さすが先生だな。」


カズトとアニエスは、手紙を読んだ。


『カズト君。家族が増えて良かったな。私が面倒を見るから、連れてきなさい。ついでに新しい仲間も紹介してくれ。』


「と言うことだ、アニエス。」


「じゃ、明日にでもグレンザへ行きましょうか。」


その後カズトは、みんなを集め、グレンザへ行くことを話した。


ミヤと大佐は、またあの屋敷のメイド達に会えると喜んでいて、ノラとエマも忠国に会えると聞くとととても楽しみにしていた。


そして、翌朝、カズトは出発の準備を終えると、ボックに尋ねた。


「なぁ、ボック、テレポーターションって、馬車ごとでも出来るのか?」


「今のカズトさんなら出来るかと存じます。」


「分かった。じゃ、馬車ごとテレポーテーションでグレンザに行くとしよう。」


カズトはみんなを馬車に乗せると、テレポーテーションで、馬車ごとグレンサの街へと移動した。


(出来た。ふぅ~。)


カズトがテレポーテーションで移動した場所は、グレンサの街の西門だったので、そこから街へ入り、忠国の屋敷へと向かった。

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