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異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第2章 グリング王国
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第29話 岩風呂

翌朝、アニエス達は朝食を終えると、森へ入っていった。


カズトは、みんなが居なくなると、ボックに場所を聞いて、クレヤボヤンスとテレポーテーションを使い、源泉へと行った。


源泉は、小さな山の中腹にあり、地中からお湯がわき出していて、直径5メートルほどの泉になっていた。


お湯からは沢山の蒸気が出ていて、見るだけで高温であることが分かった。


源泉からはかなりのお湯が沸き出していて、わき出たお湯は、泉を出ると小さな川になって下へ流れていた。


カズトは、川に沿って歩いて行き、しばらくすると、少し平らな場所を見つけた。


「作るならあのあたりか。」


その場所は、雑草に覆われていたので、カズトはクレヤボヤンスで地中の様子を確認した。。


(粘土質の土だな。丁度良い。)


カズトは10メートル四方の表層をサイコキネシスで梳き取った。


そして真ん中あたりに、ざっと深さ60センチで3メートル四方の穴を開けた。


「ボック、大きさはこれくらいで良いかな。」


「これなら6人一緒に入ることが可能かと存じます。」


「じゃ、これに石を敷き詰めていくか。そのまま並べるか、エアカッターで平らにカットしてから並べるか、どうしようかな。」


カズトは独り言のよう言った。


「カズトさん。ちょっとお話がございます。」


「なんだ?」


「石の加工のことで少々お話ししておくことがございます。」


「何か良い方法があるの?」


「はい。カズトさんは、先日土の妖精と契約いたしましたので、土魔法を使うことが出来ます。その土魔法に、錬成というものがございます。」


「なに?その錬成って。」


「錬金術の一種で、石の形を変えたり、土を固めたりすることが出来ます。」


「それは便利そうだな。じゃ、それを使えばエアカッターを使わなくても自由に石の形を変えることが出来ると言うことだな。」


「はい。」


「今回も聞いてもいないのに教えてくれるんだな。」


「それは、ここでお教えしないと、さすがに後でおしかりを受けると思いましたので。」


「まぁ、この作業が終わってから教えてもらったら、少し頭にくるかも知れないな。ははは。」


その後は、アポートで石を取り寄せて、錬成で湯船の底に引く石を作って並べていった。


錬成は初めてやったことも有り、何度も失敗したので、半分ほど石を引いたところで夕食の準備に取りかかる時間となった。


「じゃ、ボック、今日はこれくらいにして帰ろう。」


カズトがキャンプに戻って夕食を作り終えた頃、アニエス達が戻ってきた。


ミヤと大佐は、先生からしっかり鍛えられていたので、まだ余裕の表情だったが、まだら3人衆はふらふらになっていた。


「おいおい、ミヤと大佐はまだ元気だぞ。まだら娘達も元気をださくちゃ。」


「カズト、その呼び方はやめて・・・・」


3人は口をそろえたが、それ以上怒る元気も無さそうだった。


「アニエス。今日はどうだったんだ?」


「それはもう、沢山やっつけたわよ。」


「そうか、でも先に吸血コウモリをやらないといつまでたったも減らないんじゃないのか?」


「そうしたいんだけど、吸血コウモリのねぐらまでたどり着けないのよ。」


「そうかぁ・・・まぁ、沢山倒せばプレートのまだらも取れるだろうから頑張って!」


「頑張るわ。」


「夕食の準備は出来ているけど、先にお風呂に入る?」


「ええ、そうさせてもらう。」


「そう言うと思って準備してあるよ。ミヤと大佐は後で良いね。まだらの3人先にどうぞ。」


「有り難う。って、その呼び方は・・・・」


3人は怒る元気もなくお風呂へフラフラと歩いて行った。


それから7日が過ぎた。


カズトは、床、側面、浴槽周りの石を張り終え、いよいよ温泉を流し込むこと段階となっていた。


「じゃ、ボック、温泉を流すぞ。」


川から湯船の間には溝が作られていて、完成するまでせき止めてあった。


カズトは、水が流れないように塞いであった石をとって、湯船に温泉を流した。


沢山流すと熱すぎるので、お湯はちょろちょろと湯船に流れるようになっていて、少しずつ湯船に流れ込んだ。


その後はお湯の温度を確認しながら流すお湯の量を調整し、適温になると木で作った板で湯船に蓋をすると、キャンプへ戻っていった。


(後は、まだらの3人がゴールドになるのを待つだけだな。)


一方アニエス達は、昨日から、獣のアンデットが少なくなったので、吸血コウモリ退治を始めていた。


そして、夕方になってアニエス達が戻ってくると、カズトはアニエスに状況を尋ねた。


「吸血コウモリはほとんどやっつけたと思うわ。明日で吸血コウモリ退治は終わって、後は残っているアンデットを始末すれば終わりよ。」


「じゃ、一度ランクの確認をやってみないか?」


「ん~そうねぇ。ノラ、エマ、どうする?」


「いく~!」


エマが大きな声で叫んだ。


「じゃ、言ってみようかしら。」


ノラもそろそろ試したかったようで、全員でヴァイムの街へテレポーテーションで移動した。


「じゃ、誰からやる?」


「私がやるわ。」


そう言うとアニエスは水晶に手をかざした。


すると、無事にプレートのまだら模様が消えて、ゴールドのプレートになった。


「やった!これでもうまだらのアニエスとは言わせないわ!」


「おめでとう。良かったね。」


「次はエマがやる!」


そして、エマもゴールドのプレートになり、最後のノラもゴールドのプレートになった。


「みんなおめでとう。じゃ、夕食は街で食べて、明日は吸血コウモリ退治の最後の仕上げをしよう。」


こうして、カズト達はヴァイムの街で食事を終えると、キャンプへと戻った。


そしてキャンプに戻ると、カズトはみんなを集めた。


「そろそろ、みんなもアンデットとコウモリ退治に飽きてきたんじゃないかと思うんだ。それで、明日は俺も手伝うから、一気に依頼を終わらせて、昼からちょっと出かけないか?」


「何処に行くのよ?」


「ははは、アニエス。それは内緒だ。でも、中々良いところだよ。まぁ、まだら3人衆がゴールドになったお祝いかな。」


「お祝いお祝い!」


エマがいつものようにはしゃぐと、ノラも「アンデットとコウモリはもう飽きたわね。」と言うので、カズトが手伝って午前中に依頼をかたづけることになった。


そして翌日。


カズト達は朝食を済ませると、まず吸血コウモリの住む洞窟へテレポーテーションで移動した。


「じゃ、みんな、宜しく。」


カズトがそう言うと、5人は一斉に洞窟へ入り、ぶら下がっている吸血コウモリを次々に射貫いていった。


そして、30分ほどで吸血コウモリをかたづけると、最後に残った吸血コウモリの巣へテレポーテーションで移動した。


現地には大きな滝があって、滝の裏に大きな穴が開いていた。


吸血コウモリはそこに住み着いていて、かなりの数がいるようだった。


「どうしよう?俺がやろうか。」


「そうね、少し休憩させてもらおうかしら。」


「分かった。」


カズトは、そう言うと、滝の裏に回り込み、洞窟に向けてパイロキネシスで火炎放射を放った。


強烈な炎が洞窟の中を燃やし尽くし、ものの数分で吸血コウモリは全滅した。


そして、生き残った吸血コウモリがいないことを確認すると、カズトはアニエス達のとこりへ戻った。


「終わったよ。」


「カズト早すぎだよ~、エマ、まだ休んでないよ。」


「ごめんごめん。じゃ、少し休憩してからアンデット退治をしようか。」


「いや、いいわ。このまま一気にやってしまいましょ。」


石の上に腰掛けていたアニエスが立ち上がって言った。


「じゃ、トルネードで上空まで上がるよ。」


アニエスと大佐は自分でトルネードを使い、カズトは、ノラ、エマ、ミヤをトルネードに乗せて上空へと舞い上がった。


「じゃ、俺がアンデットを持ち上げるから、どんどん射殺していってね。」


カズトは、目をつぶって集中すると、森の中にいるアンデット化した獣を次々にサイコキネシスで上空へ持ち上げ始めた。


「みんな、やるわよ。」


アグネスの号令で、5人はカズトが持ち上げたアンデットを次々に射貫いていった。


森が広いため、カズトは時々場所を変えてアンデットを持ち上げ、その都度アニエス達が射貫いていった。


そしてカズトが認識できた全てのアンデットを射殺すと、大佐に念のため、アンデットが残っていないか確かめてもらった。


大佐は、トルネードに乗って、森の上空から、アンデットの気配を探った。


「大佐、どうだった。」


「はい、アンデットはもういないと思いますワン!」


「よし、これで依頼は完了だな。キャンプに戻ろう。」


カズトはみんなに掴まらせると、キャンプへテレポーテーションで移動した。


「ねぇ、カズト、それで、何処に連れて行ってくれるの?」


「アニエス、慌てない慌てない。ちょっと早いけど昼食を食べてから向かおう。」


アニエスは少し不服そうな顔をしたが、それでも、さっさと昼食を食べると、カズトを急かした。


「分かった分かった。じゃ、みんな水着に着替えて。」


「水着?海にでも行くの?」


「違うよ。着替えたら直ぐに移動するから。」


アニエス達は馬車に入ると、着替えを始めた。


(お風呂の時は恥ずかしがらないのに、着替えを見られるのは恥ずかしいんだよな・・・)


カズトと大佐も、水着に着替えて、待っていると、アニエス達が馬車から出てきた。


「じゃ、移動するからみんな俺に掴まって。」


その時だった。


「カズトさんお待ち下さい。」


「ボック、どうしたんだ?」


「実は、先ほど吸血コウモリの巣になっていた滝から更に上流へ行くと、小さな滝がございます。先にそちらへ行かれては如何でしょうか。魔力量もそこそこ上がると思います。」


カズトは、クレヤボヤンスで、先ほどの滝の上流を見てみた。


すると、ボックの言うとおり、小さな滝があった。


「じゃ、先に滝行をしようか。みんな掴まって。」


カズトは、テレポーテーションで、滝まで一気に移動した。


滝は小さかったが、幅は結構広かったので、6人一緒に滝行を始めた。


水はかなり冷たく、滝行が終わるとみんなガタガタと震えていた。


「カズト、先にヴァイムの温泉に行かない?」


「アニエス。その必要は無いよ。じゃ、みんな俺に掴まって。」


カズトは、当初の目的地の岩風呂へテレポーテーションで移動した。


そして浴槽の蓋を外してみんなに岩風呂を見せた。


「わ、なにこれ。すごいじゃない。」


アニエスは思わず声を出した。


「どうだい。俺が作ったんだよ。」


「でも、いつの間に?」


「アニエス達がアンデットと戦っている間に暇つぶしで作ったんだよ。ちなみにこの温泉の名前は『まだらゴールドの湯』と名付けたよ。」


「まだらって、もうどうでも良いわ、それより寒いから早く入りましょ。」


と、その時だった。


「わぁ、石のお風呂!」


そう言うと、エマが水着を脱いで、お風呂に飛び込んだ。


それを見ていたミヤも水着を脱いで飛び込んだ。


「おいおい、水着のままで良いんだぞ。」


カズトは慌てて二人に言ったが、間に合うはずもなく、「ふぅ~」とため息をついた。


「そうなの?でも、アニエスがお風呂は裸ではいるもだって言ってたよ。」


「その通りよエマ。」


そう言うと、アニエスも水着を脱ぎ捨ててお風呂に入った。


当然のように、ノラもそれに続き、結局全員裸で入っていった。


(こんなはずでは・・・・)


「カズト、何しているの、一緒に入りましょ。爺様が、裸の付き合いは大切だって昔言ってたわよ。」


「それは同性同士なら・・・・」


その時、ノラがカズトに尋ねた。


「カズト、この温泉ってもしかしてあれなの?」


「温泉の説明がまだだったね。この温泉は、ヴァイスの温泉の源泉を引いてあるんだ。ここなら魔力が上がるのを実感できるんじゃないかな。」


「ええ、分かるわ。入った瞬間から、エルフの滝のような感じがしているの。」


「ボックにここを教えてもらったんだけど、源泉が熱すぎてそのままでは入れないから、岩風呂に少しずつお湯を引いて冷ましてあるんだ。」


「カズト、有り難うね。」


「どうせ暇だったしね。さっきの滝行とここの温泉でノラも直ぐに『まだらプラチナ』になれるね。」


「まだらは嫌!あははは。」


その後、水着をなんとか死守したカズトも一緒に温泉に入り、ゆっくりと温泉を楽しんだ。

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