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異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第2章 グリング王国
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第28話 まだらゴールド

アニエス達は、魔物が現れないか夜遅くまで起きていたが、結局その夜、魔物は現れなかった。


そして翌朝。


すっきりと目覚めたカズトは、みんなが起きる前に、一人で温泉に入った。


(昨日はゆっくり入れなかったからな。いやぁ、温泉気持ちいいな。)


「なぁ、ボック、温泉にも魔力を沢山増やせるものとそうでないものがあるんだよな。」


「はい、そうでございます。」


「じゃ、魔力を沢山増やせる温泉はどんな温泉なんだ?」


「簡単に申しますと、人間があまり入っていない、秘境の温泉などでしょうか。」


「ここみたいに街から近い温泉は効果が低いんだな。」


「はい、カズトさんのおっしゃるとおりでございます。」


(次からは、秘境の温泉にするかな。)


カズトがゆっくり温泉に入っていると、アニエス達が起きたようだったので、カズトは慌てて温泉から出ると、服を着て馬車に戻った。


「あれ、カズト何処に行ってたの?」


「ノラ、おはよう。温泉に入ってきたんだよ。」


「え~、起こしてくれれば一緒に入ったのに!」


「あはは。うん、そうね。それはまた別に機会があればね。」


そして、しばらくすると、みんな起きてきて、次の目的地を決める相談が始まった。


「次はどの温泉にしようかしら。」


「アニエス、さっきボックに教えてもらったんだけれど、秘境の温泉の方が魔力を増やす効果が高いんだって。」


「秘境かぁ・・・・」


アニエスがそう呟くと、みんなは、昨日エイドラに教えてもらった温泉で秘境にあるものを思い浮かべているようだった。


「あ、でもその前に、ヴァイムの街に行ってランクの確認をしてみないか?みんな沢山魔物を倒し、戦闘力も上がっているから、ランクが上がっているんじゃないかな。」


「それもそうね。じゃ、秘境の温泉に行く前にヴァイムのギルドへ行きましょう。」


アニエスがそう言うと、皆異論は無いようで、カズト達はヴァイムの街のギルドへ向かった。


「ミヤ、大佐、やってごらん。」


カズトに言われて、まずミヤがプレートとギルドカードを水晶の横に置いて、手をかざした。


すると、予想どおりミヤはゴールドランクに上がっていた。


続いて、大佐もやったが、大佐もゴールドになっていた。


「次はだれが・・・」


「エマがやる!」


そして、エマが水晶に手をかざすと、プレートが金色と銀色のまだら模様になった。


「何これ?受付さーん。水晶壊れてる!!」


エマがぷぅーっと頬を膨らませて受付さんに怒った。


「あ、それはまだらゴールドですね。最近冒険者ランクの仕様が変わって新しく追加になったランクです。」


「え、どういう意味なの?」


カズトは受付さんに聞いた。


「今までは、倒した魔物からランクポイントが決まって、そのポイントでランクが決まっていたのですが、現在は、実際の実力と、これまでのランクポイントを別々に評価することになりました。ですので、このまだらゴールドですと、実力はゴールドで、ランクポイントはシルバーと言うことになります。」


「え~~。まだらってかっこわるい!こんなんなら、シルバーのままの方がいいよ。」


カズトは、そのなんとも言えないまだら模様を見ると、思わず吹き出しそうになった。


その様子が目に入ったエマは、「あ~カズト、笑ってる!!ひどい!!」と今度はカズトに怒った。


「エマ、ごめんよ。ははは。なんか、笑いのツボに入ってね。」


「ひどーい!」


「そうだ、ノラとアニエスもやってごらんよ。」


そして、ノラが水晶に手をかざすと、ノラもまだらゴールドだった。


「あ、私もまだらゴールド・・・」


「まだらゴールドになったらいやだなぁ・・・」


そう言いながらアニエスが水晶に手をかざすと、アニエスもまだらゴールドだった。


「プッ。ははははは。」


カズトは我慢できずに笑ってしまった。


「あーカズト。じゃ、カズトもやってみなさいよ。」


「俺のは、まだらブラックになるだろうから、やめておくよ。ブラックはめだちすぎるだろ?ははははは。」


「でも、なんでミヤと大佐はゴールドなんだろう。」


「ああ、ミヤと大佐は、俺と修行中に沢山ゴブリンを倒しているからね。多分それでランクポイントが高いんだと思うよ。」


「ねぇ、ノラ、エマ、魔力量も大切だけど、まだらは嫌よね。温泉巡りは一時中断して、魔物退治をしない?」


アニエスが二人に提案した。


カズトは秘境の温泉へ行きたかったが、結局アニエス、ノラ、エマの3人に押し切られて、当面は魔物退治をすることになった。


「なぁ、まだらのアニエス。魔物退治は良いんだけれど、何処でやるんだ?」


「そうねぇ、って、その呼び方はやめて。」


アニエスは怒ってカズトをにらんだ。


「とりあえずギルドの依頼をやるのが良いと思うんだけれど・・・」


「じゃ、この街のギルドの依頼からだね。」


「全員ゴールドになったら、いくつか秘境の温泉へ行って、その後にマンダールへ戻ってダンジョンの続きをやりましょう。ちょっと依頼を見てくるわ。」


そう言うと、まだら3人衆は依頼を見るために掲示板へ行った。


「カズト、吸血コウモリと獣のアンデット退治の依頼があったわ。」


「どっちからやる?」


「それが一緒なのよ。」


「どういうこと?」


「吸血コウモリが大量発生して、森の獣の血を吸い始めたらしいの。最初の頃は死ぬほど血を吸われる獣は居なかったらしいのだけれど、段々吸血コウモリの数が増えて、最近は致死量まで獣たちが血を吸われるようになったんだって。」


「じゃ、吸血コウモリを退治すれば良いんじゃないの?」


「それが、吸血コウモリに血を吸われて死んだ獣がアンデット化しているんだって。このまま放置していると、吸血コウモリとアンデット化した獣が森から出てきそうだから、その前に退治して欲しいという依頼よ。」


「で、場所は何処なの?」


「馬車で2~3時間の所ね。」


「じゃ、そこまで馬車で行って、キャンプだな。」


「昼食を済ませてたら、向かいましょ。」


カズト達は、昼食を簡単に済ませると、馬車で森へと向かい、3時間ほどで、森の前に到着した。


森はかなり大きく、森へ入る道があったが、最近は使われていないようで、草に覆われていた。


「この辺にしましょうか。」


アニエスがみんなに言った。


「じゃ、俺がキャンプの準備をして夕食を作っておくよ。」


「有り難う。まだ明るいから、とりあえず様子見がてらアンデット化した獣を日暮れまで退治してくるわ。」


そう言うと、ミヤ、大佐、そしてまだら3人衆は森へ入っていった。


カズトはさっさとキャンプの用意をすると、クレヤボヤンスでアニエス達の様子を見た。


案の定大佐が探して4人で倒しているようだったが、小さなリスやネズミから、大きなイノシシやシカまでアンデット化した獣がそこら中にいたので、5人は休む間もなく走り回っていた。


(みんな頑張っているな。でも、この森は結構広いみたいだし、時間がかかりそうだな。)


「なぁ、ボック。例えばだけど、俺が魔物をサイコキネシスで空中に浮かせて、それをみんなが射殺していったら、ランクポイントってやっぱり少なくなるのかな?」


「そうでございますねぇ。8対2か7対3ぐらいでしょうか。」


「持ち上げるだけで8割なのか?」


「いえ、持ち上がるだけなら2割くらいでございます。」


「じゃ、俺が手伝った方が早くランクポイントが稼げるのか。」


「はい。ではございますが、ノラさんとエマさんは、我流でここまでやってきたためか、戦闘の熟練度という意味では少し物足りない部分もございますので、ミヤや大佐の動きを見て学習されるのも宜しいかと存じます。」


「それもそうだな。ダンジョン攻略では今までよりも強い魔物に遭遇するだろうから、しばらくは手助けするのはやめておくか。まぁ、まだらのままの方が面白いしな。」


「カズトさんもお人が悪い。」


「しかし、そうなると、俺はすごく暇になるな。」


「それでは、昨日の温泉の源泉に行かれてはどうでございますか。」


「源泉?」


「源泉なら魔力量も実感できるほど増えると思います。」


「それは良いね。俺が行っておけばテレポーテーションで連れて行ってあげることも出来るしね。それにしても、ボックが提案するなんて珍しいね。」


「カズトさんが暇をもてあそんでいるお姿は見たくはございませんので。」


「そううことね。」


「はい。ただ、源泉はかなり熱うございますので、近くにに岩風呂でも作って冷まさないと入ることが出来ません。」


「じゃ、俺がそこで岩風呂を作れば良いんだな。それなら良い暇つぶしになるね。」


カズトはその後夕食の準備をし、ボックと再び雑談をしていると、アニエス達が帰ってきた。


「カズト、ただいま。」


「みんなお帰り。アンデットはどうだった?」


「沢山居たわ。ネズミみたいに小さなものから、イノシシやシカもいて、もうクタクタよ。最初は大佐に探してもらっていたんだけれど、途中からはとにかく休む暇も無いくらい襲ってきたわ。」


「それは大変だったね。ところで夜もやるの?」


「夜はやめておくわ。あの数のアンデットに吸血コウモリまで襲ってこられたら、さすがにしんどいから、もう少し数を減らすまでは日中だけにしておくわ。」


「分かった。ミヤ、大佐、まだら3人衆のみんな、ドワーフ風の美味しいスープを作ってあるから、みんな食べてくれ。」


「その呼び方はやめて!」


アニエス、ノラ、エマの3人が口をそろえていった。


「あはは。」


「カズト、食事の前にお風呂に入りたいわ。カズト、頼めるかしら。」


「もちろん。」


カズトはドワーフの街で買った組み立て式の大きな桶を組み立てると、火と水の魔法を組み合わせて中にお湯を張った。


一度に入れるのは3人だったので、最初にアグネス、ノラ、エマが入り、その後ミヤと大佐が入って、みんながすっきりしたところで食事を摂った。


そして、食事を終えると、カズト以外は余程疲れたのか直ぐに眠ってしまった。


カズトはみんなが眠るとキャンプをバリアで覆い、星を見ながらどんなお風呂を作るか考えていたが、やがて眠りについた。


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