表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第1章 能力向上
11/30

第11話 忠国の屋敷 

第11話 忠国の屋敷 


翌朝、カズトは朝食を終えると、ミヤと大佐の3人で小屋を綺麗に掃除した。


そしていよいよ出発の時間となった。


「3年間有り難う。47年後にまた帰っている。」


カズトはそう言うと、小屋に向かってお辞儀した。


「では先生。行きましょう。ミヤ、大佐、つかまって。」


「はいニャ。」「はいワン。」


ミヤと大佐は、返事をするとカズトの袖につかまった。


「では、カズト君。グレンサの街の正門!」


忠国はそう言うと、瞬間移動でグレンサまで移動した。


カズト達も泉に向かって一礼すると、瞬間移動でグレンサへ向かった。


グレンサの街は国の外れに位置し、東は隣国との国境であったが、国境には大きな川が流れており、直接隣国が攻めることはきわめて困難で比較的安全な地域だった。


南門を入ると、通りの両側には商店が並んでおり、しばらく進むと、大きな広場に出た。


この広場からは東西に道が延びており、この道を挟んで南側に庶民達が暮らしていた。


広場ににはギルドや大きな商館、教会などが有り、また公園にもなっていたので、街の人達の憩いの場になっていた。


東西の通りの北側には裕福な人々が暮らしていて、敷地も広く大きな家ばかりだった。


そして、公園を抜けて更に北へ行くと、そこにはこの地を治める貴族の城があった。


カズト達は、忠国に連れられて、公園を西に進み、途中から右にお折れて、北へと向かった。


そしてしばらく進んでいくと、忠国がおきな屋敷の前で止まった。


「カズト君、ミヤ、大佐。我が家へようこそ。」


「こ、ここが先生のお宅ですか・・・・」


カズトはあまりに大きな屋敷で、腰を抜かしそうになった。


ミヤと大佐は「大きい、大きい」とはしゃいでいたが、小さな1戸建てに住んでいたカズトにしてみれば、まるで貴族の屋敷のようで、しばらく言葉が出なかった。


大きな屋敷の前には広い庭が有り、真ん中には噴水があった。


「カズト君、さあ、中へ入ろう。」


カズトは、はっと我に返り、忠国の後からついていった。


玄関の前に着くと、忠国は大きな声で、「わしだ。帰ったぞ。」と言った。


少し待っていると、大きな玄関の扉が開き、なかから、若くて綺麗な女性が出てきた。


「忠国さんお帰りなさい。」


その女性は、そう言うと忠国を抱きしめた。


「おいおい、若い者達の前で恥ずかしいだろう。」


「あら、私はまだまだ若いつもりですよ。」


「ふむ。まぁよい。」


「それで、こちらが、転移された方々ですか?」


「そうだ。彼はカズト君と言う。そして、ミヤと大佐だ。カズト君、わしの家内だ。」


「え?先生、息子さんの奥様ではないのですか?」


「あらやだ、うれしいこと言ってくれますね。忠国の家内でございます。カズト様。」


「カズト君、昨日話したとおり、わしの家内はハーフエルフなんだ。エルフほどではないが、年を取るのが遅いのだよ。」


(若い頃にはお似合いの夫婦だったのだろうけど・・・)


「あーそう言うことでしたか。失礼いたしました。タダノカズトと申します。先生よりお招きを受けてお邪魔いたしました。宜しくお願いいたします。あ、それから、ミヤと大佐は私の家族です。」


「ミヤですニャ。」「大佐ですワン。」


「あらあら、かわいい猫ちゃんとワンちゃんですこと。私は、忠国の妻で、ソフィーと申します。宜しくお願いいたします。」


挨拶が終わると、カズト達は、応接室へ通された。


「ソフィーあやつらはおらんのか?」


「今朝方、大きなゴブリンの巣穴が見つかったとかで、3人で討伐に出かけました。それ程遠くはないので、夕方には戻ると思います。」


「そうか。」


忠国がそういったときだった。


「失礼いたします。お茶をお持ちいたしました。」


カズト達が声のした方を見ると、かわいい犬人のメイドが、お茶を持って応接室へ入ってきた。


お茶を置いている間中大佐が見つめていたので、犬人のメイドは、顔を真っ赤にしながら、お茶を置くと慌てて出て行ってしまった。


「ほら、大佐。お前があんまり見つめるから、逃げちゃったじゃないか。」


「ごめんだワン・・・」


「初めて見る犬人の女の子だから、仕方ないな。次からは、横目でちらっと見るんだぞ。」


「はいワン。」


大佐があまりにも元気よく返事をしたので、皆で大笑いすると、大佐は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。


「先生。猫人はここには居ないのですかニャ?」


「猫人のメイドも居るぞ。廊下の向かいの部屋におるから、良かったらあちらで話してくるとよい。大佐も行っておいで。」


「はいニャ。」「はいワン。」


返事をすると、二人は急いで応接室を出て行った。


「カズト君。堅くならなくて良いから、ここを君の実家だと思って気楽に過ごしてくれ。」


忠国は堅くなっているカズトにそう声をかけた。


「はい、有り難うございます。」


「今日はごちそうを用意させるから、楽しみにしておいてくれ。ソフィーはわしの何倍も料理が上手だからな。」


「それは楽しみですね。」


「そうじゃった、昨日話した馬車を見せよう。騒がしいのもおらんから、乗り方も今のうちに教えておく。」


(さわがしいのって?)


「はい。」


「では、私はお昼の用意をしておきますね。」


「ふむ。では、カズト君、行こうか。」


忠国に連れられて馬車が置いてある小屋へ行くと、幌がついた4輪で結構大きなものだった。


(これなら3人で中に寝ることもできるな。)


馬を連れて来るから少し待っててくれ。


そう言うと忠国は厩舎へ行って2頭の白馬を連れてきた。


カズトは馬を間近で見るのは初めてだったので、その大きさに少し驚いた。


(おいおい、近くで見るとばかでかいな・・・)


「結構大きなものなのですね。」


「そうだな。この2頭は、比較的立派な体格をしておる。」


忠国は最初に、馬を馬車につなぐ方法をカズトに教えた。


何度か練習して、カズトができるようになると、馬車に乗り込み、庭を走って練習を始めた。


カズトは、初めのうちは少しぎこちなかったが、お昼前にはなんとか馬車を操ることができるようになった。


その後もカズトは夢中になって練習していたが、ソフィーがお昼の用意ができたと呼びに来た。


ミヤと大佐はメイド達と食べるというので、カズトは忠国とソフィーの3人で昼食を摂った。


「うぁー、これは美味しい。先生の料理も美味しかったのですが、これはもう別格の美味しさです。」


「どうだ、旨いだろう。この味は人間にはだせん。エルフ特有の味なんだ。カズト君もこの味を味わいたかったら、いつでもここに寄ってくれ。」


「はい。それにしても美味しい。」


「食事が終わったら、今度は3人で街の外まで馬車で行ってみないか?ソフィーは馬の扱いも上手だから。」


「はい。宜しくお願いします。あ、でも、ミヤと大佐はどうしましょう。」


「あの二人はメイドと楽しくやっているから、ボックに見ておいてもらおう。ボック頼めるか?」


「はい、忠国殿。」


こうして、ボックを大佐に預けると、カズト達は馬車に乗って出かけていった。


馬車で街を出ると、農家が転々と有り、牛や馬があちこちで放し飼いにされていた。


カズトはソフィーに教わりながら、馬車で農道を走り回った。


時には道を外れたり、でこぼこ道の走り方なども教わった。


そして、日暮れが近づいてきた頃に、忠国の屋敷へと戻った。


屋敷に戻るとカズトは馬車を小屋に入れ、馬を厩舎に連れて行ってえさを食べさせた。


その時だった。


「爺様、戻られたのか!爺様!」


大きな声と共に、一人の若い娘が厩舎へやってきて、カズトと共に馬の世話をしている忠国に飛びついた。


「おお、アニエス。久しぶりだな。大きくなったな。」


「爺様、約束は覚えておられますか。」


「もちろん覚えているぞ。ほれ、そこに居るのが転移者のカズト君だ。カズト君、これが昨日話したわしの孫だよ。」


「おおお、カズト殿、お初にお目にかかります。私は爺様の孫で、アニエスと申します。私のことはアニエスとお呼び下さい。敬語も敬称も不要でございます」


(え、女の子?おとこじゃないんかい!)


「あ、カズトです。初めまして。では私のこともカズトと呼んで下さい。」


男だと思っていた忠国の孫は、何と若い娘だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ