表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行きませんか?と言う言葉に釣られた俺は異世界で最強になった!  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第1章 能力向上
10/30

第10話 精霊魔法

カズト達が魔法の練習をするために、いさんで的のあるところへ向かおうとした時だった。


「カズトさんお持ちくださいませ。まだ使い方をお話ししておりません。」


そう言ってボックに呼び止められた。


「あ、そうだった。」


「えへニャ。」「ワンワンワン。」


もはやミヤと大佐は猫と犬に戻ったようだった。


「それではご説明いたします。やり方と言っても特に難しいことはありません。魔法が発動された状態を思い浮かべます。これだけでございます。その時に、この魔法に対する名前なり合図なりを決めて、精霊に言葉と結果を伝えます。精霊が覚えてしまえば、その言葉を念ずるだけで魔法が発動するようになります。では忠国殿にお手本を見せていただきましょう。」


ボックがそう言うと、3人は一斉に忠国を見た。


「そうだな、では、水魔法からアイスススピア、風魔法でエアカッターをやるから、よく見ておきなさい。」


まず忠国は、「アイススピア」と声を出して、右手の手の平を泉の向こうの木に向けて手を伸ばした。」


すると、忠国の手の平から、次々に氷の槍が飛び出して、泉の向こうの木に突き刺さった。


「おーーー。」


3人は声をそろえて感嘆の声を上げた。


(こりゃすごい。)


ミヤは、「すごいニャ。すごいニャ。」と言いながらその辺を走り回った。


次に忠国は、右手の手を広げて、左肩のあたりに手を置くと、「エアカッター。」と声を出し、すっと右手を泉の向こうの木に向かって振った。


次の瞬間、圧縮された空気の円盤が木に向かって飛んでいき、1本の木を切り倒した。


(これもすごいな。風魔法は水魔法よりも威力が弱いとボックが言っていたけど、十分強いじゃないか。)


すると今度は大佐が、興奮して「ウォー、ウォー」と遠吠えあげた。


「カズトさん、ミヤ、大佐。お分かり頂けましたでしょうか。今、忠国殿がなさったように、最初はは声を出して練習してくださいませ。慣れれば頭の中で考えるだけで大丈夫でございます。まずは精霊にどんな魔法を使いたいか、しっかり伝えることを練習してくださいませ。」


「では練習開始を始めよう。」


忠国は、3人に、カズト君とミヤにはアイスショット、大佐にはエアショットを泉の向こうに向かって放つように言った。


「参考までに、私は手を鉄砲の形にして、『バン』と頭の中で言っている。」


「では、ミヤやってごらん。」


カズトは最初にミヤにやらせてみることにした。


「はいニャ。」


ミヤはそう言うと、右手で鉄砲の形を作ると、「バン、バン、バーン!」と言った。


いきなり3連発かと思った次の瞬間、たカズトは、思わず「ぷっ」と吹き出してしまった。


ミヤの指先から、氷になっていない、水の玉が3つ、ポチャン、ポチャン、ポチャンと1メートルほど飛んで湖に落ちた。


「カズトさまぁ~。」


ミヤは涙目でカズトを見た。


「ミヤ」


「ぷっ」


「カズト様、ひ、ひどーいニャ・・・・」


「ごめんごめん、練習すればできるようになるよ。頑張ろう!」


「うぅ・・・・」


「では、大佐、やってごらん。」


「はいワン。」


大佐は元気よく返事をすると、ミヤと同じように手を鉄砲の形にして、「バン!」と言った。


大佐の指先から出た圧縮された空気は、泉の真ん中あたりまで飛んでいくと、消えてしまった。


「うん、良い感じじゃないか。」


「カズト様有り難うございます。」


大佐は、うれしそうに答えた。


「最後は俺だな。」


カズトもミヤや大佐と同じように、「バン!」と言った。


カズトの指先から出た氷の弾丸は真っ直ぐ泉の向こうまで飛んでいき、木の幹に突き刺さった。


「良いぞカズト君。では、3人ともここからは的に向かって練習を続けなさい。」


こうして3人は精霊魔法の練習を暗くなるまで続けた。


そして翌日からは、精霊魔法以外のバリア、ヒールの練習も始めた。


カズトは魔法の他にも万能回復薬の作り方や、この世界の状況、料理、味噌や醤油の作り方、金の稼ぎ方など、この先必要になる事を忠国から教えられ、3年目は忙しい日々を過ごすことになった。


そして時は流れ、3年目の最後の日を迎えた。


「みんなよく頑張ったな。わしが教えられることは全て教えた。しかし、君たちはまだ強くなれる。これからも高みを目指して頑張って欲しい。ボック、53年間有り難う。これからはカズト君達を宜しく頼む。」


「はい、お任せ下さい。」


ボックは少し寂しそうに答えた。


「先生。3年間どうも有り難うございました。感謝の気持ちを込めて、歌いますので、聞いて下さい。」


カズトがそう言うと3人で『仰げば尊し』を歌い始めた。



仰げば 尊し 我が師の恩

教の庭にも はや幾年

思えば いと疾し この年月

今こそ 別れめ いざさらば


互いに睦みし 日ごろの恩

別るる後にも やよ 忘るな

身を立て 名をあげ やよ 励めよ

今こそ 別れめ いざさらば


朝夕 馴れにし 学びの窓

蛍の灯火 積む白雪

忘るる 間ぞなき ゆく年月

今こそ 別れめ いざさらば



カズト達は歌いながら、この世界に来る前の事や3年間の出来事など様々なことを思い出し、歌い終わる頃には涙をボロボロと流しながら歌った。。


ミヤと大佐も歌い終わると大声を上げて泣いてカズトにしがみついた。


「さぁ、泣くのは止めて、最後の晩餐を楽しもう。これで最後というわけではないからな。ははは。」


忠国はそう言いながらも、少し目を潤ませていた。


カズト達は、沢山用意されたごちそうを食べ終えると、忠国がカズトに尋ねた。


「ところでカズト君。今後はどうするつもりだね。」


「とりあえず、これと言った目的もないので、土と火の精霊でも探しに行こうかと思っています。」


「そうか。カズト君、これは相談なんだが、わしの家に2,3日滞在してみないか。」


カズトは忠国がこの世界で結婚して子供もいることは以前ボックから聞いて知っていたが、忠国はカズトに気を使ってか、家族のことはほとんど話さなかった。


「先生のご自宅ですか。」


「そうだ。」


「ご迷惑でなければ、是非伺わせて下さい。」


「来てくれるか。良かった。実はな、わしが冒険者だった頃に使っていた馬車があるんだが、それをカズト君に貰ってもらいたいんだ。」


「それはありがたいです。」


「その馬車は、わしが先生から貰ったもので、この小屋に来る前にきちんと整備してある。2,3日あれば馬車の操作も覚えられるだろう。」


「有り難うございます。」


「それと、実はカズト君に来てもらいたい理由はもう一つあるんだよ。」


そう言うと、忠国は家族のことを話し始めた。


忠国が若い頃、ハーフエルフの冒険者の女性と知り合って、一緒に旅をしている内、お互いにを好きになり、やがて結婚して子供が生まれた。


子供が生まれると、忠国はグレンサの街で家を買い、奥さんは冒険者を辞めてそこで子育てをすることになった。


そして忠国は、グレンザを拠点にして、ギルドの依頼で魔物の討伐などを請け負って生活しいた。


やがて、子供が成長すると、家族3人で冒険者となり、再び世界各地をまわった。


そして時は流れ、息子も結婚し忠国が50歳を過ぎた頃に孫が生まれた。


忠国は、それをきっかけに再びグレンサに戻り、そこで暮らすようになった。


「まぁ、簡単に言えばこんな感じだ。で、もう一つの理由なんだが、わしがカズトの教育のために3年間家を離れるといったら、孫が一緒について行くと駄々をこねてな・・・そこで、3年が過ぎたら、必ず転移者を連れて来ると言う約束で、なんとか納得させたんだ。と言うことで、わしの孫と会って欲しいのだ。」


忠国が気乗りのしない表情で話すので、どんな大変なことかと思っていたカズトは拍子抜けして忠国に言った。


「先生。そんなことならお安いご用です。」


「そうか、そう言ってくれると少し私の気も晴れる。すまんなカズト君。」


「先生のお孫さんはおいくつですかニャ。」


孫のことが気になったのか、ミヤが忠国に尋ねた。


「ん。今17歳だ。カズト君の一つ下だな。」


「しかし、先生。グレンサの街ならば買い物で何度も行きましたが、ご実家には戻られていないのですか?」


「孫には会いたかったが、顔を見せるとまた駄々をこねられそうだから、あやつが居ないときにグレンザには行くようにしていたのだ。今は、両親と一緒に魔物の討伐などをやっておるから、街を離れていることも結構多いのだ。」


「息子さん一家も冒険者なのですね。お目にかかるのが楽しみです。」


「そうか。いや実は・・・」


忠国が何か言い出そうとしたとき、ボックが、「では、今日はこれくらいに致しましょう。」と言って、忠国に目配せをした。


(あれ、何か言いかけたような気が・・・まぁ、いいか。)


「それではお休みなさい。」「おやすみニャ。」「おやすみワン」


3人は挨拶をすると、部屋に戻り、ベッドに横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ