南昌の空は高く!!
南昌の空高く舞い上がった我が12空戦闘隊。
今日は護衛ナシの全機遊撃部隊!!
司令から聞いた時は全員が大喜びだった。
ガッチリと編隊を組み、見張りを開始。
ペアの編隊も同じく。
上下左右と忙しく首を回すが、疲れる・・。
だが戦闘の厳しさを思えば疲れたとか言ってられない。
もし一撃でも受ければ死ぬのは自分。
やがて編隊は南昌上空4000m!
敵はまだ見えぬが、既に離陸し迎撃開始してるだろう。
武藤が無電で敵発見!と告げ上を指さしてる。
増加タンクを切り放し、メインタンクに切り替え迎撃開始!
プロペラピッチを切り替え機銃装填を確認。
安全装置解除!!
準備を確認し迎撃!!
ペアの本田にも背後を援護せよ!と命じ、スロットル全開。
唸るエンジンの心地よさよ!
まずは敵の軸線を外す。
撃っても軸線が外れれば怖い事は無いのだ。
そして反撃開始。
残念ながら20粍では無いが、7,7粍機銃は銃弾の搭載も多いので弾幕を張れるのは有難い。
敵の背後に食い込み弾幕射撃で敵のパイロットを射止める。
のけぞる敵パイロット・・。
機はイ16の新型だった。
錐もみで墜落し地上に激突。
初陣の戦果本田と共同で0,5機!
進撃戦闘ではまず生き残るのが大切だ。
武藤ペアが戦闘を開始したのを確認すると我等のペアは彼等の援護。
この繰り返しで戦果を挙げるのが我が編隊の約束。
進撃戦闘の総合戦果、目視で15機の撃破。
ワシはライカカメラで墜落した敵を撮影し帰還後に即座に現像。
本当なら機銃連動カメラが欲しいがまだ技術的に不可能。
将来的には開発して貰うつもりだ。
戦果を挙げ我が部隊の被害は0!!
これぞ戦闘の醍醐味よ。
一機も欠けず蕪湖に帰還。
本田もYもニコニコしてる。
だが戦闘後のアクロバットは禁じた。
被弾してる可能性もあるので無理な機動をすると良く空中分解をするのだ。
無事着陸すると愛機の点検。
整備員に任せる前に燃料の残りや機銃弾の残り、被弾の確認などを行う。
全てノートに記録し戦闘報告に記載するのだ。
ペアも整備兵任せにせず、自分で調べよと命じておる。
大陸は夏は暑く、冬は極寒の僻地。
楽しみは監獄宿舎で飲む宴会のみ。
ワシは飲めぬが、本田やYにギンバエに出撃させ、夜の楽しみにしてる。
無理はさせぬが、ワシの小隊の列機と知ると烹水所の兵も融通してくれる。
たまにワシの事を知らぬ下士官に追い返される事があるが、ワシが出向くと彼等もスイマセン!と謝罪し、以後はギンバエ兵を追い払う事も無くなる。
映えある我がS井小隊員として本田やYは誇りを持ちつつあった。
96式艦戦の整備も整備兵任せにせず、食後に整備員にタバコや酒を差し入れ、
メカニックを教わる事も多々。
戦果はボチボチで良いのだ。
大切なのは毎回無傷で帰って来る事。
ダメなのが敵の奇襲を受けて死ぬ事。
出撃した瞬間から我が小隊は一瞬の油断も無く、前後左右を見張る小隊として最初は笑われた。
臆病過ぎだと!!
だが我が小隊は数多くの戦闘でもほぼ奇襲を受けず、僅かな被弾のみで戦死は皆無。
他の小隊は負傷や戦死が増えてるのにだ。
ワシは内地の教育航空隊に見張りの厳命を教えるべき!と報告書を申請。
早速、内地では見張りの大切さを教育に入れ、目を大切に!とも・・。
大陸での戦闘生活を数か月行い、我が12空は13空と交代となり、内地に帰国。
ワシは本田とY,武藤を連れ横須賀航空隊へと転勤した。
大陸での戦闘は短くします。
次回、12試艦上戦闘機との出会いです。堀越技師とも会います。




