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大空の出戻り  作者: 自宅防衛隊
銀翼連ねて南の前線♪
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ブイン

モレスビー襲撃後、我々は三日程ラバウルで休暇を取った。

ラエには留守部隊と交代し、山の上の保養施設で存分に遊んだ。


>妻よ許せ!!


休暇を終えるとラエからガダルカナル攻撃に転進を命じられる。

ラバウルから一時間程飛行した島のブインに移動。


ワシはガダルカナル初日に負傷したのでブインは知らぬが、ワシの後の後輩が苦戦したと聞く。

ワシに良く噛みついた杉多もブインで負傷したと聞く。

噛みつくだけあって戦果も多く、立派な男だったな。

まだ19か20歳の小僧だったのに。


ガダルカナル戦ならかなりの激戦になるのは確実。

ラバウルで編成を組みなおし、一週間サイクルで交代を頼もう。

こればかりは米軍方式が正しいのだ。

前線に出ずっぱりでは体力が持たない。

一週間前線に居たら一週間後退し休養。


このサイクルを認めない限りワシはブインには行かせないと司令部に談判。

少佐になってて良かったと思うのは、司令部でも話を聞いて貰える点よ。


如何にキャリアがあれど、下士官兵では意見の上申も出来ないのが官僚制度

の辛さ。


ワシの上申が通ったと部下に話すと皆大喜び。

前線生活も一週で後退なら辛さも半減。

上層部は山の上で連日宴会なのに兵やパイロットは泥水すすって戦ってるのだ。


零戦の空中分解が発生しなかったので下川千兵大佐がラバウル方面の総指揮官として赴任してたのも幸いだった。


ワシ等は5個小隊、計20機でラバウルを飛び立つとグリーン礁を超え、ブインに赴任。


ブイン駐在の在部隊と交代を告げると彼等も大喜び。

聞けば戦死者が出ても補充すら無かったそうだ。>指揮官戦死のため。


休暇後、彼等はラエに赴任と言うとブインよりはマシですと喜び、

迎えに来た陸攻でラバウルに帰還して行った。

>在戦闘機は前線に残すため。


ブインの宿舎は野戦テント。


誰も文句も言わずに泥の川で身体を洗い、洗濯も自分で・・。

士官、下士官兵は同じメシを食い、朝日が昇るとテント宿舎から起きて、

愛機の手入れ。そして弾丸の装填確認。


ブインは最前線のため、何時奇襲があるか分からない地獄の戦場なのだ。


電探所はジャングルの奥深くに隠ぺいされ、我々でさへ所在を知らされぬ機密の場所。

だが彼等は日も当たらぬ密林の更に地底深くに設置された電探を睨み、常時監視してくれるのだ。

電探探知距離は更に性能が上がり、半径400km以内なら確実に敵を察知出来ると聞く。

国内でも後のSONY創立者、盛田氏や松上幸之助氏が共同で日本電波公社を設立。

優秀な電探ブラウン管を生み出して居ると聞く。


今朝も朝メシを軽く食うとワシ等は愛機の傍で待機。

暑いからと褌一枚で居る事は許さない!!

マラリア蚊に食われる元だと戒めているのだ。


やがて何時もの如く朝10:30.

電探が敵編隊をキャッチし迎撃命令が下る。

ワシ等の部隊は必ず低空を突っ走り飛行場を離れてから上昇し迎撃が基本。


パワーの上がった零戦22型は前世の紫電改とほぼ同等の性能を誇る優秀機。


高度を6000mまで上げると酸素マスクを装備。


敵の侵入を待つのだ。


やがて高度4000m付近を這う様に敵の戦闘機、P39とP40が我がブインに向かって侵入。


ここ最近は零戦の強度が高いせいもあり、格闘戦より一撃離脱戦法が主流となってる。


「敵発見、全機自由に突入せよ!!ただし2~4番機は援護に徹せよ!!」


ワシの通信を受信した各編隊はマスクを取り敵に向かい突っ込む。

敵はまだワシ等に気づかず増加タンクを装備したまま・・・。


ヨシ!!今日も勝った!!


ワシは敵のパイロット目掛け20粍を発射!!

一瞬でキャノピーは真紅に染まり敵のP40は火も噴かずに海中へとダイブして逝く。

列機も次々に突っ込み敵を討ち捕って居た。

敵は奇襲を受け大混乱。


「コチラS井、敵は混乱しておる。生かして帰すな!!」


部下も心得たとばかりに敵を蹴散らし壊滅に追い込む。


襲撃した敵機、約30機。

全て殲滅セリ!!



迎撃戦では低空で速度を上げ上昇が基本でした。

急上昇をすると速度が乗らずカモにされます。>杉田庄一もノロノロ飛び上がった所を食われました。

この世界ではS井の意見が通り、電探が発展してます。>無電も。

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