制圧セヨ!!
ココはトラック諸島沖。
山口太門提督率いる第一航空艦隊に配備された我等S井小隊は敵の制圧を命じられた。
「戦闘機隊の諸君。キミ等には苦労をかけるが、敵の編隊を全て制圧して欲しい。
護衛は要らぬが、敵の爆撃機、雷撃機は全て排除するのだ!
そのために我が艦隊は全て零戦だけで編成した。」
そう、本海戦は戦艦を主力として戦う最後の海戦とする事になったのだ。
艦攻や艦爆は搭載はしてるが、本作戦では出番はナシ。
零戦を空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴と全てに搭載し、何と・・。
500機以上もの零戦が搭載されたのだ。
ワシ等の任務は敵の制圧のみ。
護衛する攻撃隊が無いので楽な仕事である。>無電と電探で各戦隊を誘導するし。
空母は脆弱なので艦隊の中央で護衛。
前世と違い、戦艦はガンガン使う作戦にしたのだ。
ワシが高野長官に進言したのも効いたのだろう。
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「高野長官、真珠湾を攻撃するのは愚策です。ですが敵艦隊は制圧せねばなりません。
大和、武蔵は完成したのでしょう?使いましょうよ!!」
「S井、貴様の脳はどうなってる?ワシの考えの斜め上を行ってるのぉ・・。」
「長官、ワシは前世で84まで生きました。そして今生で既に10年以上。
ワシは見た目は青年ですが中身は爺ですよ。太平洋戦争の全てを網羅し、作戦を反省し続けました。
一番の反省はせっかくの戦艦部隊が全て柱島やトラック島で眠り続けた事です。
打撃力はあるのに、アシが遅いと言う理由でね。」
「ウム・・。確かに黒島の作戦では空母艦隊での攻撃を主張してた。」
「長官、攻撃隊を主力にすると言う事は彼等を数多く死なせると言う事ですよ。
ご承知でしょうか?我が航空隊の採用は10000人受験し合格者は僅か250人。
そして制式採用になるのは80人に満たないのです。
そりゃ世界でも有数の技量を持つのも当然です。
ですが前世の海軍はそんな彼等をコマの如く使い潰しました。
良いですか?10000人の中の80人にも満たないパイロットを使い潰せが後はどうなると思います??
残るのはヘボのヒヨコばかりですよ。
事実、末期にはヒヨコしか居ないのでマトモな作戦も出来なくなり、特攻作戦が主流。
多くの優秀なヒヨコにロクな訓練もさせずに爆弾を抱かせて突っ込ませたのです。
ワシも鹿屋で多くの後輩を見送りました。」
「・・・そうか・・。で、貴様は戦艦を使え、使い潰せと言うのだな?」
「どうせ役に立たなくなるのです。開戦初期にガツンと戦艦の威力を敵に見せましょう。
陸奥と長門だけなら苦しいでしょうが、武蔵、大和が加われば制圧可能です。
そしてエアカバーで我等が空を制圧しましょう。
護衛が無ければ可能です。」
高野は納得したのか、真珠湾奇襲を取りやめ敵に第一撃を許し、堂々と戦艦での殴り合いに挑む様に命令。
攻撃隊は最後の始末にのみ!!
我が戦闘部隊の士気は盛り上がった。
敵の戦闘機や爆撃機のみを襲えば良いのだ。
中国戦線で鍛えた腕の見せ所。
しかも手柄を上げれば進級も可能なのだ。>編隊に従うのは当然だが。
合計6隻の大空母から飛び立った零戦は艦隊上空を覆い尽くし、怒涛のエアカバーを結成。
全て鈴鹿工場製の純三菱製の零戦だ。
国内ではヒヨコが鍾馗で迎撃訓練を繰り返しておる。
前世の如くB25での奇襲も当然あり得るだろう。
そのためにも電探を開発させ各地に設置。
全国の航空隊に鍾馗迎撃隊を陸海で設置。
中島も陸海で採用されたので増産に次ぐ増産で鍾馗を続々と配備してる。
さてそろそろ敵のお出ましだ!!
「こちらS井総隊長、配下の戦隊に通達。敵を制圧せよ。
弾やガスが切れた編隊は交代で母艦に降りよ。個別の空母で無くても良い。
手近な空母で補給し、即座に作戦に復帰せよ!」
ワシの訓示無電で各機はバンクし返答する。>無電での返答は混信の元なのだ。
「敵が見えたぞ!!まずはグラマンを潰せ!!突っ込め!!」
「全機突入せよ!!」
怒涛の勢いで多数の零戦11型が突入!!
蒼空は翼端から流れる飛行機雲で染まった!
前置きが長いですが端折れんのでお許しを。




