二式単座戦闘機
ワシは中島航空機に来ておった。
陸軍が中島に開発させたと言う迎撃戦闘機の視察だ。
ほほぅ・・。
鍾馗だな・・。
前世同様に短い主翼にドデカイエンジン。
迎撃機としては良さそうだ。雷電を潰した詫びにコレを貰うとするか・・。
(S井は三菱は艦載機専門メーカーとするべきと力説し、迎撃機開発を止めさせたのだ。
堀越は無理が無くなったと大喜び。
零戦の改良に時間が裂けると喜ばれた。)
中島の総帥、知久平氏に面会を申し込み、海軍側にも迎撃機を回して欲しいと申し込む。
まだ陸軍も制式採用されて無いが、迎撃機としてはかなり優秀だそうだ。
「S井少佐、(また昇級しました。)海軍側の申し込みありがとうございます。
我が中島航空機としても喜ばしい事ですが・・。」
「始めまして、海軍戦闘機隊隊長、S井少佐です。我が海軍でも迎撃機は欲しいのですが、
三菱だけに負担をかけるのは心苦しく・・。
そこへ陸軍が迎撃機を開発と言う噂を聞き、陸軍にも交渉済です。
もし使えるなら我が海軍にも納入をお願いします。」
「陸軍にも交渉済なのですね?分かりました。まずは試作機で試乗して見て下さい。」
隣接する尾島滑走路に引き出された鍾馗(まだ命名されてません。)の詳細を聞き、ワシは鍾馗に
飛び乗る。
ハ41とか言う発動機を起動車で発動して貰い始動。
狭い滑走路では苦労しそうだがワシの腕なら問題無い。
僅か1000mの滑走路なので、用心し滑走路の末端でブレーキを力一杯踏みスロットル全開。
前面で吠えるエンジンの悲鳴を聞きつつブレーキを解き放つ。
艦載機乗りを舐めるな!!
見事600m程度で上昇。
脚は収納せず。>まだ信用出来ないため。
飛行場を数周回り、飛行場末端を空母と見て着陸。
三点で着地しバウンドなしでビタ着陸。
ウム、満点だな・・。
だがブレーキが弱いのか中々止まらぬ。
滑走路ギリギリでようやく止まる鍾馗。
ワシはタキシングし格納庫前に持って来ると知久平氏が駆け寄る。
「S井少佐、さすが海軍ですね。見事な着陸でした。」
「社長、迎撃機としては良いと思います。ただブレーキが弱いのは何とか対策出来ませんか?」
「新型ブレーキが開発途中ですが・・。コレを装備して見ましょう。」
鍾馗は二式単座戦闘機として陸海軍で採用され、迎撃戦闘機として国防の任務に就く事になった。
中島も陸海軍で正式採用されたので喜んで生産を開始。
昭和17年二月までに陸海軍に500機もの出荷が成された。
そんなある日・・。
雷電を潰したので鍾馗です。
次回開戦!




