第88話 引っ越しのことを伝えよう
「そういう訳で、6日後にドノバン達は引っ越してくることになった」
リンゴを植える為の場所を作るために、水魔法で草を刈って、刈った草の根を引き抜きながらヴィーヴルに伝えた。
「6日後か……ノアの瞬間転移は間に合いそうかの?」
「長い距離はまだ駄目だけど、短い距離ならいけるようになった」
「どの位までじゃ?」
「此処からだと、アン達が作業している所ぐらいかな?」
「ほう、やってみるのじゃ」
俺は作業を中断して、瞬間移動の準備を始める。
「じゃあ、マーク」
移動先となる目印を、この場所に作って置いておく。
「あそこから瞬間移動して、こっちに来るから待っていてくれ」
ヴィーヴルにそう言い残して、アン達の方へ歩いて行った。
「じゃあ、行くぞ、探索」
目印の場所は分かってはいるものの、一応の確認のため探索を行う。
後は瞬間移動するだけだ。
「瞬間移動」
魔力の紐を目印まで伸ばして、くっ付けた空間をこちらへと持って来る。
次の瞬間には、魔力の紐が霧散して無くなり、空間に対して元に戻ろうとする力が働いて、俺の身体ごと空間が元の位置に戻る。
そうして、俺の身体は元の位置から、目印のあった場所へと移動する。
「上手く行ったと思うけど、どうだ?」
「瞬間移動については問題が無いようじゃ。
あとは、距離を伸ばすことじゃな」
「そうなんだけど、なかなか距離を伸ばせないんだ。
今のところは、このくらいの距離で頭打ちって感じかな」
「距離を伸ばすにはどうすれば良いのか、分かっておるかの?」
「もっと早く魔力の紐を伸ばさないといけないんだから、もっと早く魔力濃度を高めれば良いんだよな?」
「そうじゃ、そう考えると、答えが出てくるのではないのか?」
(魔力濃度を早く濃くするには、どうすれば良いんだ? 出口の大きさは変えられないのだから……漏斗の通過時間を短くすれば良いのか? だとすれば……)
「漏斗の長さを短くすればいいのか?」
「多分、それが正解だと思うのじゃ。
妾の場合、漏斗に例えるならば、限りなく長さがない漏斗を通して魔力の濃度を高めておることになるのかもしれんのじゃ」
「長さを短く……半分くらいから、試してみるか……」
その後、リンゴの種を植え終わるまで作業をしながら、漏斗の長さ半分で魔力の紐を構築する練習を続けた。
上手く構築できなかったので、作業を終える頃にヴィーヴルから、「焦らずに、徐々に短くする方が良いのではないか?」とのアドバイスを受け、その方向で練習を続けることにした。
6日後までに間に合えば良いのだが……
あ、ドノバン達の家も作らないといけない。
家を作る時も、魔力の紐を作る時と同じ方法で作業をして行こう。




