表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/366

第82話 ドノバンの家を再訪しよう

 畑の方は、あれから成長が著しく良く、想像していたより早くに間引きを行った。

 ヴィーヴルには「何故、全部育てんのじゃ? 可哀想なのじゃ」と言われたが、そうしないと大きく育たないと言って納得してもらえた。

 間引いた物をサラダとして食卓に出した時には、「捨ててしまう訳じゃないのなら、早く言うのじゃ」とも言われた。


 ヴィーヴル、安心してくれ。

 此処では、何一つとして無駄に出来るものなど無いのだよ。


 そうこうして、前にドノバンの家へ行ってから10日が過ぎた。

 今日は、ドノバンの家に行く予定の日だ。


 ドノバンから頼まれた事への、返事もしなければいけない。

 返事の内容は、ヴィーヴルと話して決まっている。


 此処に、農業に続く産業として工業が出来るかもしれない。

 たった1軒だけだが……

 それでも、ミスリルやオリハルコンで作ったものを売れば、収入源としては途轍もないものになる。

 この場所が分からないようにしないといけないから、売りに行くときには瞬間移動を使わなければいけないのが、欠点だろうか。


 その瞬間移動も、俺はまだマスターしていない。

 短い距離ならばできるようになったのだが、長い距離を魔力の紐で結ぶ前に魔力が発散してしまう。

 ヴィーヴルには、「漏斗の先をもっと細い感じにすれば、より早く魔力を込められるのではないか?」と言われ、試してみたのだが、あまり上手く行かなかった。

 細くしてしまうと、魔力が出口付近で固まってしまった感じになり、出ていくのが却って遅くなってしまった。


「多分じゃが、今までその太さで練習していたので、出しやすくなっているのじゃ。

 当分はこのまま練習を続けて、魔力操作に慣れたほうが良いのじゃ。

 細く出すのは、魔力操作に慣れた後にやった方が良さそうなのじゃ」


 との、ヴィーヴルからの言葉に従い、今まで通りに練習を続けていた。


 今回は、ファーティ、アインスと一緒にドノバンの家へと向かう。

 俺が一人で行ってくると、ファーティが護衛を名乗り出てくれた。

 大丈夫だと伝えても、どうしても護衛させろと聞かないので、付いてきてもらうことにした。

 アインスは、護衛の練習の為とのことだった。

 もう既に、次はツヴァイと決めてあるらしいから、ファーティの教育計画通りに進めているのだろう。

 護衛の練習は、独り立ちするのには必要ないんじゃないか? とも思ったが、ファーティにはファーティの考えがあるだろうから、俺が口を挟んでいいものではない。


 家から歩き、程なくして川へと着いた。


「前は、此処から上流へ歩いて、渡れるところを探したんだよな」


『はい、その通りです』


「今回も同じように行くけど、ちょっと待っていてくれ」


『承知』


「セット」


 俺は目印を打ち込んだ。

 これで、帰ってくる時に、また上流まで行かなくても良いだろう。

 ここの川幅位ならば、瞬間移動でも行ける距離だと思う。


「これで良しっと。

 さぁ、ファーティ、アインス、行こうか」


『? 承知』


 ファーティは首を傾げていたが、帰りに分かるから楽しみにしていて欲しい。


 上流へと移動し、川を渡って、ドノバンの家へと向かう。

 途中で小休止を挟んだのも、前と同じような場所だ。

 今回は寄り道することなく、ドノバンの家へと着いた。


 家の玄関先まで進み、ドアをノックする。


「こんにちは。

 ノアだ、開けてくれないか?」


「よく来たな、ノアよ。

 待っておったのじゃ、入るがよい」


「遠慮なく上がらせてもらうよ。

 あ、こいつはアインスで、ファーティの子供だ」


「あ、こいぬさんだ! つれてきてくれたの? わたしは、アイリスだよ。

 よろしくね、あいんす」


『ワン』(よろしく)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ