第75話 種を蒔こう(1)
畝は昨日だけで作ることができた。
真っ直ぐに作ることができたので、畑としての見栄えも良いものになっている。
アンとドゥが作った畝の方が、綺麗に整えられている。
「今日は皆で、種蒔きをしようと思うんだが、どうだろう?」
アンとドゥはすぐに頭を縦に振った。
『わたしにもできるの?』
『たねまき?』
『たねまきってなに?』
トロワ、キャトル、サンクは、やっぱり良く分かっていないようだ。
「種蒔きって言うのは、植物の種を畑に植える事だ。
それで、種を土の中に種を入れていくだけだから、トロワ達でもできるぞ」
『『『やりた~い』』』
「よし、じゃあ、皆で種蒔きをしよう」
「妾もやるのじゃ」
ヴィーヴルが、家に入ってくるのと同時に言った。
「ヴィーヴルもやるのか? 別に構わんが、地味な作業だぞ?」
「狩りばかりやっていて、ちょっと飽きてしまったのじゃ。
気分転換に、偶には地味な作業もやりたいのじゃ」
「そういう事なら、大歓迎だ。
人手は多ければ多いほど、早く終わるからな」
皆で畑へとやってきた。
「まずは、種を蒔くための穴を作ろうか……クレイ」
土魔法で、太さ1cmくらいの、畑の幅と同じ長さの四角い棒を作った。
以前のような魔法の仕方だと、こんなに細かいものは作れなかったかも知れない。
思ってもいない所で、役に立った。
「クレイ」……
3回目から、無詠唱で発動できるようになっていた。
土魔法は練習のために、沢山使ったので無詠唱でも発動できるようになったようだ。
次は、何を無詠唱で発動できるように練習しようか?
おっと、今は種蒔きに集中しないとな。
クレイで作ったのは、長さ20cm位の土の棒だ。
これを、人数分作って渡した。
「ヴィーヴルは、此処で待っていてくれ。
他の皆は、俺についてきてくれ。
高くなっている所に乗らずに、低くなっている所を歩いてくるんだ」
『あぶな~い』
『ころぶから、おさないでよ~』
『はやく、あるけよ~』
「サンクはそこに居てくれ」
「トロワはそこに」
「キャトルはそこに」
「アンはそこに」
「ドゥはそこに」
次々と途中に留まるように指示して、畑の反対側の端まで歩いて行った。
「皆、この長い棒を持ち上げてくれ」
棒は途中で折れることなく持ち上がった。
強度的に不安だったが、大丈夫な様だ。
「次に、こんな風に、短い棒を長い棒に付けてくれ」
長い棒の横に、短い棒を付けながら言った。
「よし、皆、今度は長い棒と一緒にゆっくり下すぞ。
土が盛り上がっている端に、短い棒の端を付けるように置くんだ。
いいか、下すぞ」
皆がでゆっくりと棒を下ろしていく。
「よし、短い棒は長い棒から離して良いぞ。
その後は、長い棒を周りの土と同じ高さになるまで、上から押し付けて埋めるんだ」
長い棒押し付けて棒を埋めた。
「今度は長い棒を、土から取り出すんだ」
取り出した部分には、深さ2cm位の穴が開いた。




