第67話 瞬間移動を学ぼう(2)
「それでは、次はどうやって空間を持って来るのかということじゃ。
さっき、ノアは木を持って来るのに、縄を括り付けると言っておったのじゃ。
空間を持って来る時には、あらかじめ目印を付けておいた空間と魔力の紐を繋げる感じなのじゃ」
「その、目印って言うのは何だ?」
「自分の魔力の欠片というか、魔力の一部を置いてくるようなものじゃ。
目印となるものがないから、一度も行ったことがない場所には行けぬと言う事じゃ」
「あれ? でも、ヴィーヴルは前に、『俺が逃げたってすぐに追える』って言っていたよな? 俺がヴィーヴルの行ったことがない場所に逃げたら追えないんじゃないか?」
「ほう、よく覚えておったのじゃ。
理由はノアには妾の加護を与えたからじゃ。
加護により、二つの方法でノアの居場所が分かるようになるのじゃ。
まず、加護を与えられたものの魔力の感じは、加護を与えたものの魔力の感じと同じくなる性質があるのじゃ。
それを探れば、ノアの居場所が分かると言う事が一つじゃ。
もう一つは、魔力の感じが同じならば、それは瞬間移動の目印にもなると言う事じゃ。
ノアは、ずっと妾の目印を持ち歩いているようなものなのじゃ」
「そうか、俺は首に縄を付けられた状態だったんだな」
「そういう事なのじゃ」
「まぁ、加護のおかげで俺も魔法を使えるようになったのだから、結果オーライってやつだな」
「話が脱線してしまったが、まずは、ノアは目印を置けるようにならなけばいけないのじゃ」
「移動する先に置いておくんだよな?」
「そうじゃ、魔力の欠片を置く感じなのじゃ。
例えば、こんな使い方も出来るのじゃ」
そう言いながら、ヴィーヴルは俺の周りやちょっと離れたところへ出ては消え、消えては出てを繰り返していた。
「これは……瞬間移動を繰り返しているのか?」
「そうなのじゃ。
これを戦闘中に行えば、敵を撹乱することができるのじゃ。
まぁ、魔力はそこそこ使うことになるのじゃ。
そして……」
ヴィーヴルは俺の後ろに立っていた。
「この様に、簡単に敵の背後を取ることができるのじゃ」
「凄い……」
俺は絶句していた。
こんな簡単に背後を取れるのなら、ヴィーヴルに勝てるものなんて存在しないんじゃないか?
「まぁ、このようにしても勝てない相手はおるんじゃ。
出現場所を先読みしてしまうものや、魔力を辿ってしまうものがおるんじゃよ。
例えば、勇者と呼ばれるものは、そのようなことができるるはすじゃ」
「勇者はそんなことができるのか?」
「あやつは人外の存在じゃ。
魔王を倒すためには、ありとあらゆる奇跡を体現するのじゃ。
妾でも、勇者と1対1では勝てんのじゃ」




