第6話 引っ越しの準備をする
おっさんとともに街へ帰ってきた。
その足で商業ギルドへ向かい、家の売買契約を進めた。
俺は渡された何枚かの書類に名前を書いて、金貨27枚とともにおっさんに渡した。
「はい、確認いたしました。
鍵はこちらになります。
本日はありがとうございました」
「こちらこそ助かった」
商業ギルドを出て、宿屋へ向かった。
「ただいま~」
「よぉ、おかえり。で、どうだった?」
「あぁ、なんとか決まったよ」
「良かったな。
じゃあ、もう、行くのか?」
「とりあえず、今日はこっちに泊まって、明日からあっちで暮らすわ」
「分かった。で、新しい家はどこなんだ?」
「街から歩いて30分ぐらい離れたところにある家だ」
「随分、離れた所にあるんだな。もう少し探してみれば良かったんじゃないのか?」
「いや、手が届く範囲で一番良かったのがそこだったんだ。
それに、あんまり時間も掛けていられないしな」
「明日の朝、清算でいいのか?」
「あぁ、それで頼む」
俺は、部屋へと入って荷造りを始めた。
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「おはよう」
「あぁ、おはよう。まだ、眠そうだな?」
「あぁ、思ったより荷造りに手間取ってな」
「その割には、荷物が少ないようだが?」
「持っていくものを纏めようとしたんだけど、捨てるものを纏めるのに時間が掛かった感じだったな」
「そうか、もう行くのか?」
「あぁ、清算を頼むわ」
「おぅ、ちょうど銀貨6枚だ」
「あぁ、なら、これで頼む」
俺は金貨1枚をカウンターの上に乗せる。
銀貨4枚を懐にしまう。
「それじゃ、行くわ」
「あぁ、せいぜい達者でやれや」
俺は宿を出て、街外れにある新しい新居へと向かう。
引っ越しの荷物は、後ろに背負った袋1つだけだ。