第52話 ドワーフとの話し合い(2)
「それについてだが、ミスリルの一部を街で売って、それを加工代として小刀や農機具を作ってくれないか?」
「ミスリルの農機具か? 馬鹿を言うな! お主はミスリルの価値を知らんのか?」
「今の俺にとっては、武器より農機具が必要だからな」
「ふむ、では、こんな方法はどうじゃ? 儂がこいつで何かを作る。
それを街で売った中から、加工代を儂に貰えれば良い。
その場合には、ミスリルを儂に預けてもらうことになるが良いじゃろうか?」
「街で売るにしても、街がどこにあるのか知らないし、売り先の宛ても無いのだが」
「あら、じゃあ、私が売ってきてあげるわよ?」
イルデが声を上げた。
「イルデは元工房で働いておったから、売り先の宛ては見つけられるじゃろ」
「ミスリルの武器だと、領主様かその近衛騎士辺り、もしくはAランク以上の冒険者じゃないと手が出ないだろうから、先に売り先を聞いてきた方が良いと思うわ。
どんなものがどれだけできるか教えてもらえる?」
「ふむ、この大きさだと、両手剣が1本か、片手剣1本と短剣が2本かのう」
「それなら、小刀を作って俺にくれないか? ミスリルだと丈夫で長持ちするって聞くからな」
「それならば、片手剣が1本と短剣2本、うち1本はお主用じゃな」
「じゃあ、近衛騎士はそれらの武器は使わないはずだから、領主様か冒険者へ明日、話してくるわ」
「領主様にも宛てがあるのか? じゃあ、領主様ならこっちの方が良いかな?」
そう言いながら、袋の中からオリハルコンの塊を取り出す。
「お主! これは……オリハルコンではないか?」
「多分、間違いないと思うのだが、確認してみてくれ」
ドノバンが塊を手に取り、四方八方から眺めたり、叩いたりして確認している。
「うむ、間違いなくオリハルコンなのじゃ」
「ノアさん、随分と貴重なものを、そんな袋に入れて持ち歩いていたのね」
「これも……」
「あぁ、何処で拾ってきたのかは、教えることができない」
「当然じゃろうな。
こんなものまで拾えるとなったら、皆で目の色を変えて探し出そうとするはずじゃろう」
「領主様向けにはどうだろうか?」
「勿論、喜ばれるわね。
あなた、オリハルコンからは何が作れそう?」
「そうじゃな……こちらは、片手剣1本か短剣3本かの?」
「じゃあ、片手剣の方が喜ばれると思うから、それはもう作り始めても良いと思うわ。
一応、明日確認に行くけど、多分、大丈夫だと思うから。
これで、冒険者にミスリルの武器を売りやすくなったわ」
「何から何まですまないが、よろしく頼む」




