第5話 家を探そう(3)
小太りのおっさんの先導で、家を見に行く。
街はずれにあるらしいので、街の門を出て30分ほど歩いたところで
「見えてきました。まず、1件目はあれです。
金貨15枚の物件となります」
ぱっと見状態でも壁には穴が開いているし、屋根もボロボロだ。
修理するにしろ立て直すにしろ、大工がここまで来てくれるか疑問だし、別料金を取られるかもしれない。
自分で修理するには、どこから手を付ければいいのかもわからないくらいだ。
金貨15枚というのは魅力的だが、生活が成り立たない可能性がある。
「中もご覧になりますか?」
「来たついでだし、一応、確認しておこうかな」
「分かりました。外がこんなですから、期待しないでくださいね」
家の中は……うん、お察しって状態だった。
「……次の物件を見せてもらっても?」
「はい、こちらです。ここから10分ぐらい歩いたところにあります」
「街まではここより遠いのか?」
「あんまり変わらないと思いますよ。街から離れる方向に行くわけではありませんので」
おっさんに付いて行くこと約10分。
それほど大きくはないが、外見は何の問題もなさそうな家があった。
「こちらは住むには何の問題もないと思います。
では、中へ入りましょうか」
中を見てみると、ガランとしているものの1人で住むには丁度良いような大きさがあった。
「前の住人はここで1人で暮らしていたので、1人で暮らすには丁度良いかもしれません」
「前の住人はどうしたんだ?」
「他の国へ移住することになったらしくて、ここを引き払ったそうです」
「別に曰く付きというわけではないんだな?」
「はい、急に移住が決まったらしいです」
「なんで、こんなところに住んでいたんだ?」
「私が直接、取引したわけではありませんので詳しくは分かりかねます」
見たところ家に問題はなさそうだ。
街からは離れているが、最悪、毎日まで往復することになっても問題ない距離だと思う。
問題は金貨28枚というところだけだ。
「なかなかいいところだと思うが、空き家となってから暫く経っているようだな」
「まぁ、街からは外れていますので」
「予算内の25枚くらいにはならないのか?」
小太りのおっさんが考え始めた。
「25枚はちょっと難しいですね」
「じゃあ、どこまでならいけるんだ?」
「金貨28枚でも、かなりのお買い得な物件になっております」
「でも、俺に売らなかったら、また置いておくだけなんだろ?金貨26枚にはならないか?」
「金貨26枚ですか……金貨28枚でお取引したいところですが……
本日、決めていただくならば金貨27枚でいたしましょう」
「金貨26枚は無理なのか?」
「今回はご縁がなかったというこで、お願いいたします」
……うん、金貨27枚が限界だな。
これ以上は無理筋の様だ。
金貨2枚の余裕が1枚分増えたのだから、上出来だろう。
「分かった、金貨27枚でよろしく頼む」
「ありがとうございます。
では、街へ帰って手続きなどを行いましょう」