表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/366

第41話 料理を教えよう

 家に帰ってきて、晩ご飯を作ることになった。


「そうだ、ヴィーヴルも食べて行かないか? 皆で食べた方が美味しく食べられるだろ。

 食べなくても大丈夫だと前に言っていたけど、食べても問題ないのなら、一緒に食べようぜ」


「じゃが、妾は畑の作業を手伝っておらぬぞ」


「今日みたいに、偶に狩りを手伝ってくれればいいさ」


「分かったのじゃ、お呼ばれするのじゃ」


「よし、じゃあ、アン、ドゥ、作りに行こうか。

 ヴィーヴル、出来たら呼ぶから、自由にしていてくれ」


「では、妾も料理するところを見ているのじゃ」


「あぁ、構わないよ」


 肉の塊をストレージから取り出して皿の上に乗せる。


「これを、こうやって、これくらいの大きさに切り分けるんだ」


 肉を小刀で切り分ける。


「さぁ、やってみろ」


 アンに小刀を渡す。


「ゆっくり、小刀を前後に動かしていくと切れるから……そう、力を入れ過ぎると自分を切っちゃうから気を付けろ。

 よし、もう一回やってみろ……、よし、上手く出来るようになったかな? 次はドゥの番だ」


 アンが最初に2切れの肉を切り分け、ドゥも同じように2切れを切り分けた。


「その調子で、それを全部切り分けるんだ」


 やっぱり、物覚えは良いようだな。

 暫くして、全てを切り分けたようだ。


「次に、枝に肉を刺して行こうか」


「妾もやってみたいのじゃ」


「あぁ、いいぞ、ほら、枝だ」


 皆で枝に肉を刺していく。

 これは、教えるまでもなく出来ていた。

 全部で、7つ出来上がった。


「そして、こんな感じで塩をつまんで上から振りかけるんだ。

 この時に、下の肉を回しながら、全体に万遍なくかけていくんだ。

 胡椒も一緒に振りかけるともっと美味しいのだけど、今は無いから塩だけの味付けだな」


 アン、ドゥ、ヴィーヴルが肉に塩を振りかけていく。


「後は肉を焼くだけなのだけど、火を点けるのは難しいから、しばらくは俺が点ける」


 そう言って、松ぼっくりを中心にして、その上に薪を組む。

 そして、魔力を薄くして手のひら位の大きさでイメージする。


「ファイヤ」


 火の玉が出てきて、暖炉に向かって発射する。

 松ぼっくりに火が移って、松ぼっくりから薪へと火が移った。


「ここに肉を翳して焼いていくんだ」


 肉が焼けて、良い匂いが漂い始める。


「ほぉ、香ばしくて美味しそうな匂いなのじゃ」


「焼き過ぎると美味しくないから、気を付ける必要があるんだ。

 鹿の肉の場合は、表面の色が変わったら大丈夫だから、大体、これくらいで良いだろう」


「ふむ、料理と言うのは、そんなに難しくない様なのじゃ」


「俺が、あんまり難しい料理を知らないって言うのもあるからな。

 もっと手の込んだ、作るのも難しい料理だってたくさんあるんだ。

 それこそ、料理人っていう料理を作る専門の人だっているくらいだしな」


「そうなのか? そういうものも食べてみたいものなのじゃ」


「まぁ、此処の生活が安定したら、料理人に来てもらうって言うのも良いかも知れないな」


 そして、全部の肉を焼いて、皿の上へと置いた。

 今日は丁度人数と同じだけ枝に刺して焼いたので、刺したままにしてある。

 1人1本でちょうど良いと思ったからだ。


「ご飯ができたぞ、さぁ、皆で一緒に食べよう」


 真ん中に皿を置いた。


「今日は1本ずつ取ってくれ、じゃあ、食べよう」


 1本ずつ取って、食べ始めた。


「ほう、焼いただけでも、これほど美味くなるのか! 肉は生で食べるのが殆どじゃったけど、焼いた方が美味いのじゃ!」


『ですよね。私達も驚いたんですよ』

『やいたおにく、おいしいよね~』

『ね~』


「それは何よりだ。

 アン達も肉の焼き方は覚えただろうしな」


 前より騒がしい食卓ができた。

 冒険者をやっていた時も、騒がしい所で食べてはいたが、それとは違う騒がしくても心休まる食卓があった。

 こんな食卓を囲める日が来るとは、冒険者時代には思ってもいなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ