第4話 家を探そう(2)
1枚もないのではと思っていたから、まだ、良い方だろう。
おっさんが1枚を前に出しながら、説明を始めた。
「これは、一応、予算内の金貨22枚と銀貨5枚になります。
家というよりは小屋という方がしっくりくるかもしれません
また、場所が街はずれになりますので、買い物などは大変かもしれません」
小屋か……実物を見てみないと何とも言えないが、予算内というのは非常にありがたい。
場所は割り切るしかないだろう。
街中で金貨25枚なんて、まず無いだろう。
「そして、こちらはほぼ予算通りなのですが、同じく、街からは外れています。
最初の物件よりはもっと家らしいものにはなっています」
「総額でいくらになるんだ?」
「金貨28枚ですね」
予算とは金貨3枚オーバーか。
微妙なところではあるが、手が届かない訳ではない。
「そして、これは予算内の金貨15枚なのですが……」
「金貨15枚?」
「はい、一応ながら『建物』もあります」
「『建物』もあるとは?」
「現状ではまともに暮らせないと思われるので、撤去して立て直すか修理が必要です。
ですので、その分を引いてある感じですね」
「そんなに酷い有様なのか?」
「大きさとしては普通の大きさなのですが、至る所に穴が開いている感じです。
街中の物件ならば、ギルドとしても修理して売りに出そうと思うのですが、こちらも街はずれでして、買い手がつくかどうかも怪しいのです」
こちらとしては、安ければ安いだけ良いし、修理は暇を見つけてやれば良い。
今までの話だと、3件とも街はずれだから問題にならないだろう。
それでも、一応、街中の物件がないか聞いてみるか?
「街中で安い物件はないのか?」
「申し訳ございません。街中で一番安い物件でも金貨48枚でした。
また、これらより街に近い家でも安くて金貨35枚でした」
金貨35枚か……うん、無理。
「その3件とも見ることはできるか?」
「はい、すぐに見られますが、3件ともに街はずれですので、今日中にというのは無理です。
2件目と3件目は比較的近くにあるので、そちらはまとめて見に行くことができますよ」
「1件目は小屋みたいなものって言っていたよな。どんな感じなのかな?」
「う~ん、そうですね~。物置小屋って感じでしょうか。
水道、トイレは外に別にあります」
雨風は防げるかもしれないが、外で寝るよりはましって感じだろう。
暮らせないことはないだろうが、最後の手段として考えるといいのかもしれない。
2件目も一応は払える額ではあるのだから、そっちが駄目ならということでいいだろう。
「分かりました。では、2件目と3件目を見たいです」




