第37話 作業の話をしよう
「ところで、名前は決まったのか?」
毎度毎度、「おい」とか「お前」とか呼ぶわけにもいかないからな。
『いいえ、決まりませんでした』
『駄目でした』
『かんがえてなかった~』
『ぼくも……』
『なんだっけ?』
今までなかったものを突然付けろと言われても、難しいかもしれない。
子供のゴブリンに至っては、
「じゃあ、俺が付けようか? でも、あまり期待しないでくれよ」
5体、一度に付けるのなら何かシリーズ物で付けた方が良いか。
5か……よし、決めた。
「じゃあ、アン、ドゥ、トロワ、キャトル、サンクって言うのはどうだろうか?」
指で指しながら付けた名前を言っていく。
どこかの国の数え方と言うのは伏せておく。
余計なことだし、別に言わなくても良いだろう。
『私がアンですね、分かりました』
『私がドゥですね、分かりました』
『わたしはとろわ?』
『ぼくがきゃとるだね』
『ぼく……さんく?』
キャトルとサンクは今のところ見分けることができていないが、名前があれば呼べば返事をするだろうし、そのうち見分けられるようになるんじゃないかと思う。
「名前はそれで良いかな? 良いのならば、次に明日からの話をしたいのだが良いだろうか?」
ゴブリン達は全員首肯した。
「まずは皆に畑づくりを手伝って欲しいんだ。
明日は、畑の雑草抜きをするんだけど、トロワ、キャトル、サンクには難しいかもしれないから、その時には別の事をして手伝ってもらいたい」
『べつのことって、な~に?』
「小石を拾って、畑の外に捨てるとか、かなぁ?」
『うん、わかった~』
『畑って、草を抜いて小石を外に捨てるだけで出来るんですか?』
と、アンに聞かれた。
「いや、まだまだやらないといけないことが沢山あるけれど、さっき言ったのはとりあえずの作業だよ。
道具が無いとできない作業もあるから、代わりになるものを何か考えないといけないからな」
『そうですか』
「今日はご飯を食べ終えたら何もやる予定が無いから、この部屋で好きにしていて欲しい。
外を見に行っても良いが、あまり遠くへ行かないようにしてくれ。
迷子になったら大変だからな」
俺は肉の入っていた皿を持って、自分の部屋の方へと帰っていった。
部屋に帰ってから、また、窓から垂らす小枝を繋げたものを作らないといけない。
ゴブリン達の部屋からは、遅くまで話し声が聞こえていた。
明日に影響がないと、良いのだが……