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第348話 仕入れ担当を紹介する(1)

 仕入れの日の当日、俺とヴィーヴル、ラハブとリリスの4人で、街に向けて飛んでいた。


「リリスは、村でのんびりと待っていてくれても良いんだぞ?」


「いいえ、ベルゼバブ様に随伴を申し付けられましたので、私も参ります」


 確かに『随伴しろ』とは言ってはいたが、村の中だけじゃなかったようだ。

 家の前で押し問答をしていても仕方がないので、リリスも来ている訳だ。


「ノア様を運ぶ時は、こちらを使う様に申し付かっております」


 リリスが持ってきたのは、例の箱だ。

 俺を何処へ出荷する気なんだ?


「今回は妾も行くので、妾が連れて行くのじゃ」


 そう言って、ヴィーヴルが手を差し出してくれた。


「ありがとう、よろしく頼むよ」


 冷静を装って答えたが、内心では泣き叫ばんばかりに感謝していた。


「街の近くまでは飛んで行っても大丈夫だけど、街へ入る時には歩いて門を通って欲しい。

 前に一悶着あったから、これ以上の騒ぎは起こしたくないからな」


「「承知いたしました」」


 ラハブとリリスは首肯してくれた。


 今回、瞬間移動を使わずに空を飛んで行くのは、ラハブに街の位置とどの位時間が掛かるのかを確認してもらう為だ。

 『来たけど既に朝市は終了していて、何も買えませんでした』では意味がない。


 少し遠回りにはなるが、街の正門から少し離れたところで地上へと降り立ち、正門へと歩いて向かった。

 門まで行くと、当然ながら門番が居る。

 ヴィーヴルは角を隠しているので人間にしか見えないが、ラハブとリリスはどう見ても魔人にしか見えない。


「ちょっと待て、魔人を連れて何処へ行く気だ?」


 槍先をこちらへと向けて、厳戒態勢をとる。


「今後、こちらへと魔人が物の仕入れに来ることになるから、前もって知らせておいた方が良いだろうと思って話に来たんだ。

 ノアール村のノアが来たと領主のリチャード様に取り次いでもらえないだろうか?」


「良かろう。

 今、領主様に確認するので、此処で待っていろ」


「分かった」


 門の前でヴィーヴルと話しながら時間を潰していた。

 暫くすると、街の奥の方から馬車が勢いよく走ってきた。


「ノア、待たせて済まなかったな」


「リチャード、久しぶり」


 すかさず門番が「領主様に向かってその口ぶりは何だ?」と再び槍先を向けてきたが、リチャードが「良い」と手を俺の前へと翳し、遮った。


「今日はルシフェル様はいらしてないのか?」


「今日は村で仕事をしているよ」


「ノアール村のノアと言われて、最初は誰の事かと思ってしまったぞ」


「済まない。

 でも、思い出してくれたようで助かったよ」


「ノアの名前と魔族が来ているとの報告で繋がったのだよ。

 何でも、魔族がこちらに来ることになると聞いたのだが?」


「あぁ、仕入れでこちらの街に度々来ることになると思うので、事前に伝えておいた方が良いと思ってな」


「分かった。

 詳しい話は館の方で聞かせてもらえないか? 馬車を用意させるから、少し待ってもらえるか?」


「馬車は良いよ。

 俺達は歩いて行くよ」


「突然、魔族の者が現れたら、街の人々が驚いてしまうだろう。

 今はまだ、隠す意味もあるんだ」


「そうか、分かったよ。

 色々済まないな」


 暫くして、リチャードが用意してくれた馬車へと全員で乗り込み、リチャードの屋敷へと向かった。


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