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第347話 例の件のその後

「ノアよ、王国より再び報告があったのだ。

 読むか?」


「前の報告でもそうだったけど、難しい言葉や言い回しは俺には良く分からないから、掻い摘んで教えて貰えるか?」


「良かろう。

 報告によれば、黒幕は辺境伯だと思われるのだが、確たる証拠を探し出している最中との事だ」


「辺境伯か……橋を壊したことへの仕返しかな?」


「それもあろうが、辺境伯と言えば、国土防衛の指揮官であるのだ。

 当然ながら、脅威となり得るこの村へは何らかの手を打とうとするであろうな」


「起こるべくして起きたものという事か」


「国土としての価値は低いであろうが、隣接地である事は間違いない。

 国土としておけば、そのまま放置しておいたとしても、魔王領との緩衝地としての役目は果たすであろうからな」


「辺境伯だと分かっているのに、なぜ証拠が無いんだ?」


「口封じされたようだ。

 最近、辺境伯の下から職を辞した執事がおったそうなのだが、辞めた2日後に殺されておったそうだ」


「辺境伯からその執事経由であの冒険者達に依頼されたけど、その執事の口を封じて繋がりを断ったという事か」


「それで、他の証拠か繋がりを示すものを探しておるそうなのだ。

 王国側としても、確たる証拠も無しに辺境伯を取り調べることなど出来ぬであろうしな」


「それじゃ、あの件はどうなるんだ?」


「公式の発表としては、あの者たちが勝手に暴走した結果であり、王国は与り知らぬという事になるやも知れぬ。

 そうせねば、互いの不可侵を違えたことになるのでな。

 その点で言えば、ブロワ卿は信頼に値すると言って良いであろう」


「どうにか出来ないのか?」


「我としても、このままで終わらせるつもりは無い。

 先程、辺境伯の下へ手の者を送った。

 後は、何か掴んで来ることを期待して待つだけであるな」


「手の者?」


「つい先日、此方に来た者から2人を他国への密偵としたのだ。

 他の国と渡り合う為には、その様な者も必要になるのでな」


 知らぬ間に、やっていることが村から逸脱して国家のものになってきている気がする。

 やり過ぎのような気もするが、ルシフェルに一任したんだし、口を挟まない方が良いだろう。


「そう言えば、あの冒険者達はどうなったんだ?」


「今もまだ、アザゼルの所に預けてある。

 王国に引き渡すのは、まだまだ先のことになるであろうな」


「そうだな……片方が消されたとは言え、大事な証人だ。

 王国に送り返して、あいつらまで消されたら、それこそどうにもならなくなるしな」


「そう言えば、あ奴らにもアイリスの食事を与えておるのだが、甚く感謝しておったそうであるぞ」


「そうなのか?」


「それもあってか、何もしなくても聞かれたことに素直に話しておるそうだ。

 アザゼルの奴は、『つまらないので、少しは抵抗して欲しい』と嘆いておったがな」


 そう言ってルシフェルは微笑んでいた。

 その微笑みを見て、少し背筋が冷えたように感じた。


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