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第327話 カード大会開催(3)

 今、対戦場では魔犬とハーピー達による大人の部の敗者復活戦が行われていた。


 大人の魔犬、ハーピーともに初戦で敗れてしまった。

 しかし、大人の部の最終組が3人だったので、ここに敗者復活の1人を加えようとなったのだ。


 敗者復活戦は時間短縮のため、大人の魔犬全員、大人のハーピー全員でそれぞれ争い、勝った2人で戦った結果、勝った者を敗者復活とすることに決まった。


 熱戦の結果、魔犬からはムッティーが勝ち残り、ハーピーからはアーリンが勝ち残った。


 向かい合い、裏返されたカードを混ぜて、2人同時にカードを引く。

 ムッティーが足を置いたカードを返すと8で、アーリンが返したカードも同じ数字が出た。

 更にもう一枚ずつカードを引く。

 今度のムッティーのカードは5で、アーリンが7だった。


「よし、アーリンの先攻だ」


 表に返したカードを裏返し、再び混ぜ合わせる。

 敗者復活を決める戦いの始まりだ。


 どちらも冷静に場を見回し、次々とカードをめくり自分の得点としていく。

 静かに、熱い戦いが行われていた。


『あそこが7で、そこが3だったはず……』


 ムッティーの呟きは、アーリンには届かない。

 正確には、何を呟いているのか、アーリンには分からないはずだ。


「あそこが4……いや、6で、そこが4だったような気が……」


 アーリンも呟いているが、ムッティーにはやはり理解できていないはず。


(余計な心理戦がないが、これはこれで面白い戦いだな)


 今頃、2人の頭の中は返されたカードの位置を覚えることで精一杯だろう。


 俺があの立場だったら、途中で投げ出しているかも知れない。

 考えるのは、あまり得意ではないから。


 息詰まる熱戦も、やがて終焉を迎える。

 アーリンが隣のカードと間違う失敗を犯し、場に出ていたカードを全て取られてしまい、ムッティーの勝利に終わった。


「うぅ……あんな大事な場面で間違うなんて……」


 アーリンは一日中引き摺るかもしれないな。


 その後、まだ戦っていない3名と敗者復活のムッティーを含めた4名で戦い、そして、ムッティーが見事に勝ち上がった。


「魔犬に負けた……」


 そう言って、落ち込んでいるケンタウロスが居たが、負けて当然だと思う。

 そいつは、途中から考えることを止めて、適当にカードを返していた様だったから。


(ムッティーは一生懸命にカードを記憶していたからな。

 少なくとも、お前よりは頭が良いと思うぞ)


 口に出すと余計な軋轢を生みそうなので黙っておく。

 ムッティーが初戦で敗れたのは、巡り合わせが悪かっただけなのだが、それに気が付かなかったのだろうか? 頭が良くても、どうしようもないことは幾らでもある。


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