表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
315/366

第315話 蝗害(こうがい)?

「あなたの村は平気だったの?」


 何時ものあの露店で女店主から突然聞かれた?


「何のことだ?」


「隣の帝国の村なんだけど、蝗害(こうがい)の被害にあったらしいのよ。

 こっちには来なかったみたいなんだけどね。

 そう言えば、あなたの村って何処なの?」


 村の名前を明かしてもいいものか? 暫し思案したが、痛くもない腹を探られる必要はないだろう。


「その、蝗害って何なんだ?」


 質問で返して、話の矛先を変えておこう。


「バッタが大量発生して、あらゆるものを食い尽くしていくのよ。

 それこそ、服や酷い時は家なんかも食べられちゃうみたい」


「バッタって、あの飛びまわる小さいバッタか?」


「そうよ、そのバッタよ」


「あんなモノが家なんかを食べるのか?」


「そうよ、1匹や2匹ならそんなことは無いけど、それこそ、空が暗くなるくらいのバッタが一度に来るらしいのよ。

 ってことは、あなたの村も大丈夫だったのね」


「あぁ、そうだな」


「今日はあなたが来る予定だったからこっちに来たけど、明日から暫くの間は国境近くの村へ行く予定なのよ。

 食料を片っ端から集めているらしいからね。

 あなたの村にも要請はなかったの?」


「そうなのか。

 俺の村には要請は来ていなかったけど、遠いし、此処に仕入れに来ているくらいだから、要請があったとしてもそれに答えられるか疑問だしな。

 端から要請の対象外だったんじゃないか?」


「そうかも知れないわね」


「ノアよ、余計なお喋りは止めて、早く果物を渡すのじゃ」


「おう、そうだな。

 今回は幾らだ?」


「あら、ごめんなさいね。

 えっと、銀貨5枚と銅貨3枚になるわ」


「はいよ」


 ストレージ化してある袋の中から、銀貨6枚を取り出して渡した。

 お釣りの、銅貨7枚を受け取る。


「ありがとうな。

 少し聞きたいんだけど、それって、俺が突然持って行っても大丈夫なものか?」


「そうね……事が事だけに受け付けてもらえると思うけど、何か持っていくようなものがあるの?」


「あぁ、ラディッシュなら持っていけるかもと思ってな。

 じゃあな」


「まいど~、次もよろしくね~」


 俺とヴィーヴルは露店を後にした。

 そして、ヴィーヴルに今買ったばかりの果物の袋から、ナシを取り出して渡した。


「ノアよ、先ほどの話に首を突っ込むつもりなのじゃ?」


「さっきの話って、何のことだ?」


「バッタがどうのうと話しておったのじゃ」


「あぁ、あの話か。

 もし本当なら、食うにも困っているだろうからな。

 ラディッシュぐらいしか出せないだろうけど、助けられるなら少しでも助けてやりたい」


 その後、俺とヴィーヴルはドライフルーツの店の扉を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ