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第308話 出張料理店(2)

「商売しかも食べ物を扱う店ならば、内装にも凝る必要があるじゃろう。

 家具職人を連れていき、綺麗な内装を施してもらうのが良かろう」


 ドノバンから、出張料理店の進捗を聞かれたので、土魔法で箱を作り終えたと所だと伝えた。


「儂等が食べる場合は場の雰囲気とかは関係ないじゃろうが、態々食べに来るのじゃから、場の雰囲気も大切じゃろう。

 食器も、きちんとしたものを揃えた方が良かろう」


「王国の商人に頼んだ方が良いかな?」


「今後、食器を見る目も必要になるじゃろうから、ドワーフの街まで連れて行ってやってくれんかの? 物を見る目は数を見るしかないからの」


「あぁ、そうだな。

 分かった、じゃあ、明日は家具職人を店に連れて行って、内装を考えてもらうよ。

 そして、その次の日はアイリスを連れて行って、店で使う食器を見てくる。

 それで良いか?」


「うむ、良いじゃろう。

 しかし、まだ足りないものがあるのじゃが、分かるか?」


「他にもあるのか?」


「酒じゃ、美味い食事には美味い酒が付き物じゃろう。

 アイリスはまだ子供じゃからな。

 儂も連れて行くが良かろう」


「美味い酒も必要かも知れないが、その辺は商人に任せれば良いだろ?」


「ドワーフが好んで飲む酒というのもあるからのう。

 客の中にドワーフが居らんとは限らんじゃろうから、人間の物だけじゃなくドワーフの酒もあって良いじゃろう」


 確かに客は人間だけとは限らないから、そう言う物もあっても良いだろう。


「ドノバン、買ってきても、客に提供する酒だぞ。

 お前が飲めるわけじゃないんだぞ?」


「分かっておる。

 それでも、全て客に出す必要は無かろう」


 本当に分かっているのかな? まぁ、ドノバンの言う通り、買ってきた全ての酒を提供する必要はないし、晩酌用の酒の一部と考えてしまえば、何も問題ない。


「そうだとしても、その酒の名前を俺に教えてくれれば、俺が買ってくれば良いだろ?」


「ノア、お主には買えんのじゃよ」


「何故だ?」


「ドワーフ以外には売らん酒なのじゃよ。

 他種族の者には、決して売らん酒なのじゃ」


「そんな酒があるのか」


「そうなのじゃよ。

 であるから、儂が行かんとならんのじゃよ。

 仕方なく行くのじゃからな」


 ドワーフにしか売らない酒があるのなら仕方がないのかもしれないと納得しかけたところで、イルデから待ったの声が掛かった。


「私でも買えるので、私を連れて行ってください。

 どうせ、此処へ来てから酒の量を減らされたので、少し多めに買ってくるつもりでしょうから」


 ドノバンが必死に否定しているが、その様子が挙動不審者のそれだ。

 どうして、うちの村の男どもは、無駄な努力をするのだろうか?


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