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第307話 出張料理店(1)

「料理店か……」


 自室にて、天井を見上げながら考えていた。


「先程の話の事なのじゃ?」


「あぁ、出せるものなら出しても良いけどな……」


 定期的に行われている王国側との会食の席で、料理店を出してみないかと言われた。

 例えば、王やそれに近い者たちが此方への攻撃を行おうとしても、民意として反対するものが多くなるだろう。

 それが、結果的には王国との平和につながるかも知れないと教えられた。


「そうなる可能性が、全く無いわけではないのがな……」


 良い方向に転がる可能性があるのならば、是非とも実現させたい。

 例え、そうはならなくとも此方が損をすることは無いだろうと思える提案でもあるのだから。


「何か、問題があるのじゃ?」


「店を出すという事は、此処まで人が来ることになる。

 そうなると、入ってくるのは良い者だけじゃない、悪人だって来るだろう。

 何もせずに大人しくしてくれるのなら良いけど、そんな訳には行かないだろうしな」


「村民に害が及ぶ可能性も、出て来ると言う事なのじゃ?」


「あぁ、それに、真っ先にゴブリン達が襲われる可能性が高いだろうしな」


「ふむ、それは大問題なのじゃ」


「場所だけの問題なら、門の近くに料理店を作るというのも考えたんだけど、それも難しいと思ってな」


「どうしてなのじゃ?」


「最低でもドノバンは此処から動かないだろうから、此方で暮らすことになるだろう。

 そうなると、アイリスが毎日通うことになるのだけど、アイリスが大変だろうしな。

 それに、アイリスの作った物が食べられなくなるけど、それで良いのか?」


「それは困るのじゃ」


「そうだよなぁ……」


 ヴィーヴルも、首を捻りながら考え始めた。


「装備の店と同じように、10日に1度、開ける時間を限定して開けることはできぬのじゃ?」


「食べ物屋は毎日開けないと駄目だろうな。

 ヴィーヴルだって、食堂が10日に1度とか言われたら怒るだろ?」


「妾は食べなくても生きていけるので、問題無いのじゃ」


「ヴィーヴルはそうだったか……でも、人間は毎日食べないといけないから、それじゃ駄目なんだよ」


「毎日、食べないと駄目なのじゃ?」


「人間は、な」


「そうではなくて、アイリスの料理を毎日食べないといけないのじゃ?」


「そうか、別にアイリスの料理を毎日食べないといけない訳じゃないな。

 それなら、開ける日と時間を決めても問題無いな」


「そうなのじゃ」


「それじゃ、アイリスにこの方向で相談してみるよ。

 アイリスが嫌がったら、開けるわけにはいかないしな」


 次の日の朝、アイリスに店を開いてみないか確認し、店を開く条件なども話し合った。

 その際、店を開くとしても手持ちの食材だけでは足りなくなることも予想された。

 その対応として、店を開く前日に商人に注文した食材を、店前まで持ってきて貰えるように手配を要請することも決まった。

 序と言っては何だが、食材の他にもドワーフの街では手に入れられない物も運んでもらおう。


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