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第29話 手伝いを集めよう(2)

 俺は、ヴィーヴルに教えて貰ったゴブリンの村を目指して歩いていた。

 ついこの間まで討伐対象としてしか見ていなかったゴブリンに、畑を作るための手伝いを頼みに行くことになるとは思いもしなかった。

 そう簡単には良い返事を聞くことはできないとは思うが、切羽詰まっているので何としても人手を確保したいところだ。

 でも、あまりにも切羽詰まっている様子を見せると、足元を見られるかもしれない。

 上手く交渉できるだろうか……いや、上手く交渉しなければならないのだ。


(そろそろ、ヴィーヴルが言っていた辺りだよな)


 辺りを警戒しながら進んでいくと、小さな広場があった。


(ここが、ゴブリンの集落かな?)


 ゴブリンが30匹ぐらいいた。


(言葉が分かるようになると、(ひき)と言うのは違和感あるんだよな。

 なんて数えたら良いんだろ? (にん)は人間じゃないから違うし、(たい)が良いのかな?)


 そんなことを考えながら観察していたら、2~3体のゴブリンがこちらを警戒し始めた。

 多分、見つかったと思うので、両手を上げて出ていくことにした。

 両手を上げる意味をゴブリンが知っているのかは分からないが、武器を持ったまま行くよりは良いだろう。


「あ~、こちらから攻撃する気はない。

 話を聞いてくれるか?」


『何だ?』

『人間がきたぞ』

『皆、家の中に入るんだ』

『男は前に立つんだ』

『何処から来たんだ?』

『見張りは何やってたんだ?』


 云々かんぬん、混乱しているな。

 まぁ、突然、人間が現れたらこうなるよな。


「あ~、話をしたいんだ。

 ほら、俺は攻撃しない」


 腰にぶら下げている剣を抜いて、横に放り投げる。

 後で拾うから、放った場所は覚えておこう。


『何だ?話をしたいとか言ってるぞ』

『騙すつもりだ! 気を付けろ!』

『早く家に入るんだ!』

『何故、此処に人間がいるんだ?』

『武器を捨てたぞ。拾った方が良いんじゃないか?』


「俺はお前たちと話がしたいんだ。

 騙すつもりはない。

 騙すつもりなら、さっさと攻撃しているはずだろ?」


『さっきから、話がしたい、話がしたいって、通じるわけないのに何言ってるんだ? こいつは』

『誰か、武器を拾ってこい。あれは、まだ、使えるぞ』

『早く家に入れって!ぼさぼさするな、殺されるぞ』

『逃げた方が良くないか?』


「武器は攻撃しないって意味で放っただけだから、持って行かないでくれると助かるんだが……と言うか、そろそろ落ち着いてもらえないだろうか? お前らの言っていることは、俺は全部わかっているぞ」


『ん? 今、武器は持っていくなって言っていたぞ?』

『俺たちの言っていることが分かっているって言わなかったか?』

『うん、言っていたなけど、本当かな?』


「あぁ、分かっているぞ。

 試しに、答えるから何か聞いてみろよ」


『じゃあ、俺が試しに聞いてみるぞ、いいか?』


 他のゴブリンが頷いている。


『お前は何をしに、ここに来たんだ?』


「だから、俺はお前たちと話がしたくて来たんだよ」


『話ってなんだ?』


「ちょっと長くなるんだが……攻撃はしないから、手を下ろしても良いかな?」


『お前は何で手を挙げていたんだ?』


「攻撃はしないって意味だったんだが、通じていなかったようだな」


『……信じられないが、話が通じているみたいだ』


 ゴブリン達がざわついている。


「あ~、話を始めて良いかな?」


 やっと、交渉に入れそうだ。


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