第261話 第二次防衛戦(2)
「それで、此処へ穴を掘ってどうするのじゃ?」
「落とし穴を作るんだ。
前にも作っただろ?」
「落とし穴なのじゃ? 同じでは芸がないのではないのじゃ」
「でも、人間はヴィーヴルの様に空を飛べないからな。
人間を相手にするのなら、落とし穴だけで簡単に無力化出来る」
「まぁ、良いのじゃ。
して、どの位の大きさの穴を開ければ良いのじゃ?」
「そうだな……深さは俺の身長の2倍くらいの大きさとして……大きさは、此処からそっち側全部でお願いできるか?」
「造作も無いのじゃ」
あっという間に、先ほど俺が言った大きさの穴を開けた。
そして、その上に土魔法で作ったの板を被せて貰った。
だが、土魔法で出来た板は周りの地面と比べて、存在が浮いている。
草一本生えておらず、整えられて綺麗すぎる。
このままでは、誰も通ろうとしないだろう。
「ここだけ綺麗すぎて、罠があると丸わかりなのじゃ。
誰も通ろうとは、思わんのじゃ」
「こっち側も、土の板を上に被せて貰えるか? 後は、俺がここで待ち受けていれば、相手は突っ込んでくるだろ?」
「正々堂々と戦わないのじゃ?」
「正々堂々と戦わないといけない理由がないからな。
ただの力比べとかならば、正々堂々と戦えば良いだろうが、今こちらに向かって来ているのは、紛れもない敵だ。
相手だって、正々堂々と来るとは限らない。
それに、こちらが負けたら略奪されるだろうし、虐殺だって始まるかも知れないしな」
「ノアは敵を殺す気は無いのじゃ」
「あぁ、作戦さえ立てれば、殺さずに追い返せる。
人を殺したら、どうしたって恨みが起こってしまう。
殺さずに済ませられるのならその方が良いだろうし、それが出来るだけの力が此方にはあるからな」
「此処が無かったら、どうするつもりだったのじゃ?」
「その時は、ルシフェルに木を伐って貰えば良いだろう。
俺が伐っても良いけど、ルシフェル程に早く切り倒せないからな」
「妾がおるのじゃ。
妾にも頼るのが良いのじゃ」
「ヴィーヴルは、面倒なことはやりたがらないだろ?」
「今の生活と村を守る為ならば、構わんのじゃ。
リンゴの木も守らねばならんのじゃ」
「そうだったな。
次からは、ヴィーヴルにもお願いするよ」
「分かれば良いのじゃ」
「敵がある程度近づいてきたら、土魔法の床を消してくれ。
それで、敵を落とし穴へ落とせば、まずは終了だ」
「分かったのじゃ」
「ヴィーヴルは、一応、後ろで隠れていてくれるか? どんな攻撃があるか分からないからな」
「ノアの横に居るのじゃ」
「いや、危ないからな。
それに、確実に床を消してくれないと困るし」
「いざとなったら、ノアを抱えて空を飛べば大丈夫なのじゃ」
「危ないから、隠れていてくれ。
間違って俺が死んでも、被害は1人で済む。
ヴィーヴル、ルシフェルがいれば、村は守れるだろう」
「村は皆が揃っておらぬと駄目なのじゃ。
皆の中には、当然、ノアも含まれておるのじゃ」
 




