第250話 再び使者がやってくる(1)
「村長、門前に王国より使者が来ました。
アルルさんが対応されていますが、村長を呼んできて欲しいとのことです」
開拓地への水路の様子を見ていた時、連絡係のケンタウロスから伝えられた。
「ありがとう、すぐに門へ向かうよ」
瞬間移動で門へと移動しようとしたが、対外的なことはルシフェルにお願いしたのを思い出した。
(ルシフェルも連れて行かないとな)
「ヴィーヴル、ルシフェルの居場所は分かるか?」
「ちょっと待つのじゃ……あやつは、自分の家にいるようじゃ」
「ありがとう、じゃあ、家に行ってみるよ」
「門に来るように言われておったのじゃ?」
「対外的なことはルシフェルに任せようと話し合ったんだ。
こういうことは、俺より慣れているだろうからな」
「分かったのじゃ。
じゃあ、連れて行くのじゃ」
既に、ヴィーヴルは頭数に含まれているんだな……まぁ、別に構わないのだが……
ヴィーヴルを連れて、ルシフェルの家へと瞬間移動する。
扉をノックをすると、ベルゼバブが出てきた。
「如何なさいました?」
「王国から使者が来たらしいから、ルシフェルにも来て欲しいんだ」
「畏まりました。
只今、呼んで参りますので、少々、お待ちください」
ベルゼバブが扉を閉めようとしたのだが、閉まりきる前に再び扉が開いた。
「ノア、聞ここえていたのだ。
早速、参るぞ」
「あぁ、よろしく頼む」
ヴィーヴル、ルシフェルとともに門の前へと瞬間移動で移動する。
ベルゼバブはルシフェルの家で留守番だ。
「ノアさん、遅いよ~」
ドアを開けて小部屋に入るなり、アルルに怒られてしまった。
「済まない、ルシフェルを呼びに行っていたんだ」
「ルシフェルさんを? どうして?」
「対外的なことは、ルシフェルに任せようと話し合って決めたんだ」
「じゃあ、今度からはルシフェルさんを呼べばいいのね」
「あぁ、お願いするよ。
でも、今回は俺も同席させてもらうよ」
「分かったわ。
それで、王国からの使者の件なんだけど……」
「私だ」
この前の戦いで、隊長だった男がそこにいた。
「王に伝えたのだがまともに取り合ってくれず、あのような結果を招いてしまった」
「兵を門の前に並べたとても、結果は変わらないであろう。
手間が多少省けただけなのだ。
前はあの程度で終わったが、次はもっと大規模に破壊するつもりであるぞ」
「今度は、妾が壊しに行くのじゃ。
城を壊しても良いとノアが言ってくれたのじゃ」
「おいおい、俺が言ったんじゃないだろ? 壊しても良いとは言ったが」
使者を置いてきぼりにして、3人で盛り上がってしまった。
その使者は青褪めた顔をしていたが、気分でも悪くなったのだろうか?
「済まない、こちらだけで盛り上がってしまったな。
それで、今回は何をしに来たんだ?」
「うむ……その……」
「大方、以前の条件を幾分緩和して交渉に来たのであろう」
ルシフェルの指摘に、使者の顔が引きつっていた。




