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第248話 魔族が街にやってくる(5)

「ノア、此度は済まなかったな」


 早朝、ルシフェルが俺の部屋へとやって来て謝罪された。


「いや、ルシフェルのせいじゃないし、何事も無かったからな。

 俺より、リチャードに謝罪してきたのか?」


「あぁ、彼方にも謝罪を申し入れ、受け入れて貰えた」


「それなら、この件はもうお終いで良いだろ?」


 話を聞いたところ、昨日俺が村へ帰ってきた後に、例の魔族が街へと現れた。

 その魔族を確認しようと良く見てみると、その魔族はアザゼルだった。

 急ぎアザゼルの下へと行き、何をやっているのかを聞いたところ、酒屋を探していたとのこと。


 理由を聞いた所、以前渡された酒をアザゼルが、飲み物を子供達がいたく気に入り、探し求めてやって来た。

 しかし、村のはずれに住む時に、ルシフェルから理由もなく他者に危害を及ぼすことが無いように誓わされた。

 街に降りると、話している内にその誓いを破ってしまうかもしれないと考えたため、降りることなく探していたとのことだった。


 アザゼルなりに気を使った結果ではある。


 ルシフェルは、既に用意がされているからと晩餐にのみ参加し、宿泊は辞退してアザゼルを家へと連行して帰って来たそうだ。

 そして、今に至るのだが……


「今後、このようなことが無いようにとアザゼルにはきつく言っておいたが、アザゼルや子供達も人間の食を覚えてしまったようでな。

 このままずっとお預けというのも、なんだか哀れなような気がするのだ。

 何とかならぬものか?」


「う~ん、アザゼルが此方に害を及ぼすことが無いとなれば受け入れても良いのだけどな。

 直接、話したりしたらどうなるか分からないと自分でも思っていたから、今回は空から街を見ていたんだろうしな……」


「それでは、住まいはあのままとして、アザゼルは門番としてくれぬか? 我には劣るものの、魔族としての実力は上位であるから問題ないであろう」


「その報酬として、食料や飲み物、酒を渡すという事か。

 うん、それなら問題は無さそうだな。

 ただ、俺達が持って行っても、問題が起こらないとは限らないからな……そこをどうするか? だな」


「それならば、我かベルゼバブが持っていけば良かろう」


「そうだな。

 それなら大丈夫だろう。

 うん、よろしく頼むよ。

 アザゼルにもそう伝えてくれ」


「分かったのだ。

 しかし、そうすると我とベルゼバブの働き口が無くなってしまうな」


「このまま、門番を続ければ良いんじゃないか?」


「いや、明らかに多すぎるであろう。

 アザゼルとその家族だけで充分であろう」


「子供達の他にも家族がいるのか?」


「うむ、他にアザゼルの両親とアザゼルの弟が1名、来ておるな」


「そんなに来ていたのか?」


「あの時は他の者をベルゼバブに見ておくように言い、アザゼルのみを連れてきたのだ。

 全員で来ると、此方の方が困ってしまうと思ったのでな」


「確かに、それだけの人数で来られたらな。

 それじゃあ、今後渡す食料なんかは量を増やした方が良いかな?」


「いや、あれぐらいの量で構わんだろう。

 元々、我々魔族に食料は必要ないのであるからな。

 量より質の方が重要であろう」


「そうか……」


「周辺の察知は家の中でも十分できるであろうから、人数としても問題ないであろう」


「それなら、ルシフェルとベルゼバブは、その門番に食料を届ける仕事という事で良いんじゃないか?」


「それだけを仕事として良いものか?」


「良いんじゃないか? それでも納得できないのなら、対外的な対応役になって貰うよ。

 対魔族はルシフェルの方が話が早いだろうし、人間、亜人にしたって、今回の様に『元魔王』の肩書が有効かも知れないしな」


「しかし、対外的なことなどそうそう起こらんであろう。

 普段は何もしないと言うのは、気が引けるものであるぞ」


「普段は、今もだけど俺の手伝いもしてくれていただろ? そこまでしていたのに、文句を言われる筋合いは無いだろ?」


「分かったのだ。

 今後、我の力が必要な時は、今以上に行使することとしよう。

 ノアも、気軽に申し出るのだ」


「あぁ、そうさせてもらうよ」


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