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第233話 開拓地向け水路の完成(2)

 原理は難しくない様なのだが、それを思いつくかどうかは別の問題だ。

 色々と作っているドノバンだから作れるのだろう。

 水を汲み上げる機械の中を覗いてみたが、数々の歯車と繋がれた棒が真ん中に通されていて、その棒には斜めに板が付けられていた。


(なんで、これで水を汲み上げることができるのだろう?)


 そっちの方面には疎い俺には分からないが、今までドノバンが作ったもので上手く動かなかったものは無い。

 ドノバンに任せておけば間違いは無いのだから。


「お主たちは水路を作るのじゃ。

 儂らは、これにもう一工夫しようと思うのじゃからな」


 ドノバン達は工房へと引っ込んでいった。

 何を作るにしても、無駄にはならないだろう。


「ヴィーヴル、お前の出番だぞ」


「漸くなのじゃ。

 待ち草臥れてしまったのじゃ」


 ヴィーヴルと共に、水路造りを始めた。

 いつも通り、ヴィーヴルが装置で緩やかな傾斜を測っていく。

 俺はその傾斜に合わせて水路を作っていく。


 どういう経路で水路を作るか指示されなかったが、邪魔にならない様に作っておけば問題無いだろう。


 この作業にも慣れて来たので、ヴィーヴルとの作業は順調に進んだ。

 その為、昼飯の前には水路が出来上がってしまった。


「こうまで順調に行くとは、思っても見なかったな」


「この作業はお手のものなのじゃ」


「さて、あっちはどうなったかな?」


 ドノバン達が作っている一工夫が気になったので、村の方へと帰って来た。

 帰るのは、瞬間移動ですぐに帰って来られるから楽なものだ。


 丁度、ドノバン達が水を汲み上げる機械に羽根を付けていた。


「ただいま。

 水路の方は出来たぞ」


「うむ、此方も丁度、羽根を付け終えたのじゃ」


羽根(これ)は?」


「取っ手の根元を伸ばして、そこに羽根を付けたのじゃよ。

 風の力だけで回れば良し。

 足りない時には人力でも回せば良いじゃろう」


「今みたいな時は、人力も合わせてってことか」


 今は風はある事はあるのだが、そよ風が吹いているだけだ。

 羽根もそれほど勢いよく回転していない。


「それでも、人力だけよりは楽に回せるじゃろう」


「それじゃ、試運転と行くか。

 水車の水門を開けてくるよ」


 瞬間移動で水車へと移動する。

 そして、水門を開けて、水路へと水を流す。


「開けてきたぞ。

 じきに水が来ると思うぞ」


 暫くして、水が水路を流れ伝って来た。

 こちら側の貯水槽の水路を塞ぎ、開拓地側の水路へ水が流れるようにする。

 程なくして、機械の入った箱の中に水が溜まってくる。


「そろそろ、水が汲み上がる筈じゃが……」


 今はまだ、そよ風だけの状態で機械を動かしている状態だ。

 だから、それ程速く羽根は回っていない。


「お、見てみろ、少しだけ水が来たじゃろう」


 穴の所から少しだけ水が出てきた。


「回転が遅いから、少ししか汲み上がらないのじゃろうから、そこの取っ手を回して、速く回すのじゃ」


 取っ手の近くに待機していたオーガが、取っ手を掴み回し始めた。

 すると、穴から出てくる水の量が増え、遂には水路を流れているのと変わらないくらいの水量が出てきた。


「不思議な物なのじゃ」


「本当だな。

 何故、こんな風に水を上げられるんだろう?」


「そんなことより、水路は大丈夫か確認せんといかんのじゃないか?」


「そうだった、忘れていた」


 俺は、水路の脇を見上げるように確認しながら歩いて行った。


 ヴィーヴルは水を上げる機械を眺めていた。

 長いこと1人でいたからか、新しく出来上がる機械や装置が目新しくて興味が惹かれるのだろう。

 俺も、あの機械は気になるが、今は水路の確認が先だ。


 開拓地の貯水槽まで歩いてきたが、異常はないようだ。

 貯水槽にも水が入り始めていた。


 今は、俺が水魔法で入れておいた水もあるので満たされている。

 明日からは、あの装置を使ってこの貯水槽を満たせるはずだ。

 これで俺が居ない時でも、開拓地側への水の供給を心配する必要がなくなった。


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