第230話 門の破壊(2)
門前へと歩いて行くと、門番が槍を向けてこちらへと近寄ってきた。
隣に角が生えた人間が居るのだから、当然の対応だよな。
「お前達、此処へ何をしに来た。
街に入れることはできんぞ」
「それ以上近づけば、お前達を捕縛する」
まぁ、いきなり襲って来ないだけ、ましな対応だろう。
「今から10日前に俺の村が王国に攻撃された。
撃退したが、報復措置として今からこの門を破壊させてもらう」
「何を馬鹿なことを言ってるんだ? 大人しくするんだ」
「王や王族などには通達が来ているはずだ。
確認してみろ」
「そんな世迷言をまともに聞き入れられるか。
お前達を捕縛する」
「仕方ないな」
土魔法で、門番の周りを囲った。
これだけで、門番は何もできなくなる。
「事が終わったら解放してやるから、そこで大人しくしていろ」
そうして、門の方へと声を上げた。
「俺達の村は今から10日前に王国から攻撃を受けた。
その報復措置として、今から門を壊す。
瓦礫が飛び散るかも知れないから、避難するのなら急ぐんだ」
門を通っている人々は、「何言ってんだ? こいつ」と言う様な顔をしている。
まぁ、そうだよな。
「ルシフェル、門の横の壁をちょっと壊してくれないか? 本当に壊すんだということを見せないといけないようだしな」
「良かろう。
どうせならば、派手に壊しておくとするのだ」
「程々で頼むよ」
ルシフェルは、土魔法に魔力を高めた岩を作りだし、それを壁の上に落した。
その後、落とした岩は魔法で消していたので、壁だった部分は抉られ穴が開いていた。
「あのまま置いておいても良かったのだがな」
「いや、好きにやって貰って構わないよ」
一呼吸おいて、再び声を上げた。
「今のは壊せることを示しただけだが、次は本当に門を壊す。
怪我をしたくなかったら、避難するんだな」
この一言がきっかけで、門を通っていた人たちが我先にと街の中へと駆けこんでいく。
いくら急いでいるからといっても、馬車を走らせたら危ないと思うのだが……
暫くすると、門の周りには誰一人いなくなっていた。
遠くから、兵士らしき者が此方へと向かってきているのが見えた。
誰かが兵士に告げたのか、先ほどの騒ぎを聞きつけてやってくるのか?
「ルシフェル、兵士が此方に来る前に門を壊してくれ」
「良かろう」
先ほどより大きい、門全体を壊せるほどの大きさの岩を門の上に落とし、門を破壊した。
先ほどと同じように、岩は魔法で消していた。
「それじゃ、此処は終了だな」
門番を囲っていた土魔法をキャンセルで消して、自由にしてやる。
「俺達は、やるべきことをやったから帰る。
お前達の職場を奪ったことは悪かったと思うが、お前達が此方の村に手を出してきたことの結果だからな。
次は門だけではなく、街を壊すかもしれない事を王に伝えておくんだな」
壊された門を茫然と見ている門番を置いて、俺はルシフェルとベルゼバブの手を取り、瞬間移動で最初に降り立った場所へと移動した。
壊された門の前からルシフェル達と飛んで行っても良かったのだが、瞬間移動での移動を選んだ。
あんな台詞を吐いた後に、出荷状態になるのはどうにも格好がつかないと思ったからだ。
降り立った場所に、一応でも目印を設定しておいて良かった。




