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第219話 村の近況

 あれから、何日かが経過していた。

 王国側から兵がやって来たという知らせもなく、街へ行って仕入れをしたり、店を開いたりして暮らしている。


 魔王領から此処へと、何人かの亜人もたどり着いていた。

 ドワーフ、オーガ、ミノタウロス、ケンタウロスなどなど……


 それらの人達は、羊達が草を食べて新たな開拓地となった所に、種族ごとに纏まって住んでもらった。


「難民となった我々には、受け入れて貰えるだけで十分です。

 食事まで提供してもらえるなんて、これ以上は何も望みません」


 来た者は、異口同音でこんなことを言っていた。


 この村の村民となった以上、働ける者は働いてもらうという条件にも、皆首肯してくれた。

 身の回りの仕事や、新たに開拓作業を手伝う仕事など、それぞれのやりたい事、出来る事で仕事をしてもらった。


 オーガの中から門番として希望する者が4人程現れたので、昼はアルルが、夜はオーガが2人1組で担当することとなった。

 これで、1日中、門には門番が居る状態になった。


 3人のドワーフからは、工房として仕事をしても良いかと聞かれたので、炉を作るのかと身構えたが違っていた。

 それぞれの希望は、革の工房、家具の工房、チーズの工房だった。


 家具の工房を希望した職人は、昔、木こりもやっていたそうで、木を伐るだけでは飽き足らず、自分で加工することも覚えたそうだ。

 そのため、木こりの仕事を覚えてもらえないかと募集を掛けた所、3人のミノタウロスが名乗り出てくれた。

 とにかく体力を使う仕事だと思うから、ミノタウロスから名乗り出てくれたのは非常に有難い。


 ケンタウロスには、主に畑の仕事や連絡係の仕事に就いてもらった。


 そんな感じで、人数はどんどん増加していった。

 人が増えれば、当然、食べる量も多くなるし、調理をするにも時間が掛かるようになる。


 量はまだ蓄えから出せているので問題ない。

 少なくなってきたら街へ仕入れに行けば良いし、その元手も十分にある。

 ドノバンが作ってくれた装備が売れれば、素材の分を引いても、十分すぎるほどに手元に金貨が残される。

 暫く経てば、畑からの収穫も期待できるだろう。


 問題は作り手の方だ。

 今の食堂の台所では、一度で村民全員分の料理を作れるほど広くない。

 それに、アイリス達だけでは、作るのでも大変な作業だろう。


「もっと大きな食堂を作れば良いのじゃ」


「それはそうだけど、アイリス達だけじゃ無理だろ?」


「新しく来た者たちからも、料理ができるものを出してもらえば良いのじゃ」


「それしかないよな……」


 アイリスは今は楽しんでいるかもしれないが、この事が負担となり料理が嫌いになるようなことにはなって欲しくない。

 難民となったドワーフにも子供が居たから、その子と一緒に遊べる時間を取れるようになって欲しい。


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