第213話 シュラウド達への販売
朝の騒動も収まり、ヴィーヴルと2人で椅子に座りながらまったりと過ごしていた。
暫く休んだら、畑の作業でもして、少しは身体を動かそう。
村では皆が働いているのに、このまま何もしないで過ごすって言うのは、何だか申し訳なく感じてしまう。
「もう少し経ったら、畑の世話をしに行くぞ」
「分かったのじゃ」
ヴィーヴルは、イチゴのドライフルーツを摘みながら答えた。
そして、そろそろ畑へ向かおうという時に、ドアが開いた。
何で、こう、タイミング良くと言うか、悪いと言うか、絶妙なタイミングで来るかなと思いつつ、目をドアの方へ向けると、そこには見知った顔があった。
「よお、ノア。
暇そうだな?」
「随分なご挨拶だな。
何をしに来たんだ?」
「おいおい、俺達に装備を売ってくれる約束だろ? 忘れたんじゃないだろうな?」
「残念ながら覚えていたよ。
ちょっと待ってろ、お前達の分を持ってくるから」
そう言って、シュラウド達が村で予約していった装備品の数々を取りに行った。
戻ってくると、机の上にそれらを並べた。
「これで間違いないと思うが、確認してくれ」
「あぁ、分かった。
皆、自分の分を確認しろ」
その声と共に、装備の前へと集まり、各々が予約した装備を自分の手元へと集めていた。
「それで、今日はどれを持っていくんだ?」
「俺は、今日はこの剣だけだな」
「俺は、これとこれだ」
「僕はこのチェーンメイルだけだね」
「僕はこれとこの短剣を持っていくよ」
「分かった。
それじゃあ、いくらになるか計算するから、ちょっと待ってくれよ。
分かりやすい奴から行くか。
えっと、セトがチェーンメイルだけだから金貨9枚だな」
「はい、じゃあこれ」
セトから金貨を受け取った。
「1、2……9っと、確かに」
この後、シュラウド、ガイル、ルークに、持っていく装備と金貨を引き換えて渡した。
必要な枚数は、各々があらかじめ計算してくれていた様で、正しいかを確認するだけで終わった。
それでも、久々に頭を酷使した気がする。
買い出しで物を買っても、言われた分だけ金貨や銀貨、銅貨を出していただけだった。
正しいかどうかなんて分からないが、多分、正しいのだろう。
しかし、俺が店先に立つことになったんだ。
早く計算して、客に値段を伝える必要がある。
(計算方法を覚えないといけないな……)
イルデに頼めば、教えてもらえるかもしれない。
今度、店を開ける時までには、何とかして計算方法を覚えたい。
シュラウド達から得た金貨を、ストレージの中へと仕舞いながら考えていた。
「それじゃ、他の物はまた仕舞っておくぞ。
次はいつ来るんだ?」
「そうだな……暫くクエストを熟してきたいから、20日後位だな」
「分かった」
「じゃあ、俺達は行く。
こいつの使い心地も確認したいしな」
「あぁ、ちょっと待ってくれ。
お前達に聞きたいことがあるんだが、良いか?」




