第208話 戦闘準備(1)
「そう言う訳で、王国が攻めてくる可能性が出て来た。
実際に戦うのは、俺とヴィーヴル、ルシフェルとベルゼバブにも協力してもらいたいが良いだろうか?」
「良いぞ」
「承知いたしました」
「私は戦わないの?」
アルルが疑問をぶつけて来た。
「アルルは人間と戦うことになるが、大丈夫なのか?」
「私のせいで戦うんだから、私も戦うよ」
「誰のせいとかは気にするなって言ったろ? 村民を守る為の戦いなんだから」
「うん、それじゃあ、私も村を守る為に戦いたい。
相手が人間でも魔物でも、関係ないよ」
「分かった。
それなら、アルルもだ。
その他の者は、村で待機していて貰いたい」
「儂も戦えるぞ」
「ドノバンはムッティーと共に、ゴブリン達やオーガ達、そして家族を守って貰いたい」
「そう言う事か……分かったのじゃ」
「ファーティは俺の近くに居てくれ。
そして、アインスとツヴァイは、村を囲む壁に異変が無いか、敵が居ないかを走り回って調べて欲しい」
『御意』
「戦い方や、その他の事は追々決めていくとして、大まかな態勢はこんな感じで考えているが、どうだろうか?」
「問題無いと思うのじゃ」
「良いと思うぞ」
「攻めてくるとしても、早くても10日ぐらいは掛かるだろう。
その間に、ドノバンには皆の武器や防具を用意してもらいたい。
必要な素材は、出来る限り用意しよう」
「では、後で必要なものを伝えるとしよう」
「ファーティは、兵士達がやって来た方向へ警戒範囲を拡げて欲しい。
軍隊がこの森を進んでくるとすれば、それ程早く移動できないはずだ。
ファーティの警戒範囲に掛かってから、態勢を整えても十分間に合うだろう」
『御意』
「ファーティが敵を見つけるまでは、今まで通りの生活をしていくつもりだが、良いだろうか?」
「良いと思うのじゃ」
「それで、問題無かろう」
「私達に何かできることは無いのかい?」
ルトルーラからの質問だ。
「そうだな……」
暫くの間、虚空を見つめながら考えてみる。
「ノアよ、兵糧の確保は重要であるぞ」
「兵糧か……戦いの最中に料理するのは難しいからな。
皆で作り置きしておいて貰えないか? 出来たものはストレージに入れて保存しておこう」
「どういうおりょうりを、つくればいいの?」
アイリスからの問いだ。
まだ、戦いの中で食べる料理なんて作ったことは無いだろうしな。
「簡単に作れて、すぐに食べられるようなものが良いのだが、作り置きするのだから簡単に作れなくても良い、すぐに食べられるようなものだな」
「すぐにたべられるもの……パンをたくさんつくっておいたほうがいいかな?」
「パンか……そうだな、沢山作っても、ストレージの中に入れておけば腐らないし、良いと思うぞ」
「パンに焼いた肉や野菜を挟めば、そのまま食べられるわよ」
イルデがパンの美味しい食べ方を提案してきた。
「うん、そんな感じで、色々作っておいて貰えるかな? 味も素っ気もないものを食べるより、戦える気がするからな」
「わかった~、いろいろかんがえてみるね」
「あぁ、期待しているよ」




